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winner take nothing

錦織君、いやァ残念でした。以前に較べて、サービスはかなりパワフルになり、長足の進歩だと思いますし、昨日の試合の最後、ドロップ・ショットのミスはご愛嬌としても、ストローク・ボレー・ロブ、テクニカルな面では、流石は世界のトップ5だと感じました。メンタルにおいても、大崩れする事も減りましたし、かなり強くなったんじゃないかなあ。それでも、グランド・スラムを獲るには何かが足りない訳ですよね…。これは以前、拙ブログで書きましたけれど、僕、かって豪州に居た時分に、毎日の様にテニスをして遊んでいたんですが、兎に角格安というかタダなんですよね。プレー・フィが殆どありませんで、それはゴルフも同様、クラブを借りボールを買って18ラウンドを廻って、たったの1000円であります。テニスやゴルフをプレイする敷居が非常に低いですから、当然プレイヤーが増える訳で、日本の貧弱なスポーツ環境とは雲泥の差があります。僕、全豪オープンは1度観戦に行きました--wowowで現在のメルボルンの景色が映っていて、随分変わりましたけれど、スタジアムの近くを流れるヤラ川の風景はあの時のままで、無性に懐かしくなりました。--けれど、超一流プレイヤーの練習風景もタダで見る事が出来ました。当時の女子チャンピオン、シュテフィ・グラフをガンガン口説いている野次馬オヤジとか居て、当然無視されてましたけれど、その話はいいですね。話を戻しまして、日本でゴルフをするならば、万単位のお金が掛かるのは常識ですもんね。そういった厳しい状況の中、錦織君が現れたのは素晴らしい事と思いますし、年齢の壁もありますから、ここ数年の内に、何とかグランド・スラムを獲って欲しいなあ…。僕、錦織選手はやっぱり、球足が遅くなり、ストロークに長けた選手が有利の、全仏を狙うしか無いと確信しています。幸いというか、現在のコーチのマイケル・チャンは、年間グランド・スラムの北欧を代表する名プレイヤー、ステファン・エドベリを下して、全仏を制した事がある、唯一のアジア人プレイヤーですもんね。兎に角、錦織選手、日本人初の偉業、グランド・スラム制覇を期待しています!頑張れー!

その錦織選手を見ていて感じましたのは、僕の大好きなボクシング、そして頭脳の格闘技とも言える将棋との共通性、だったんです。テニス・ボクシング・将棋、何だか落語の三題噺の様ですけれど、これらに共通するのは、1対1の格闘技という事でありましょう。テニスならばグランド・スラム、ボクシングならば世界チャンピオン、将棋ならば名人位と、夫々の頂点がある訳です。これねえ、偶然なのか必然なのか、頂点に近づく人って、3つのタイプがあります。そこにある果物を取る様に、すんなりチャンプになる人。そして、紆余曲折を経て臥薪嘗胆の末、誰もが「もうチャンピオンは無理だろう」と思ってから頂点を極める大器晩成の人。最後に、己のオリジナルな武器を磨き上げ、頂点にあと一歩まで行くのですが、何かが足りないのか、惜しくも届かない人。

もうね、世界チャンピオンとかグランド・スラムとなると、運も勿論或るんでしょうが、最早人知を超えた世界でして、僕、その苛烈でリアルな生き方に強く惹かれます。そしてね、大名人も確かに素晴らしいんですが、ヘミングウェイじゃありませんが、「勝者には何もやるな」、僕が共感するのは実は敗者の方なんです。だって、完全無欠な人よりも、何処か欠点を感じさせる方の方が、何だか人間味がありませんか。よおし、では今日の拙ブログは、その美しい敗者について、少々触れてみましょう。暫しの間、お付き合いの程を。

先ずは、将棋の名人位が直ぐ近くにありながら、それを逃してしまった、大内さんのお話を。大内さんは数年前に引退され、もうその名を知る人も減りつつあると思います。でもねえ、全盛期の将棋の切れ、豪快な攻めは一世を風靡した名棋士でした。彼の先見性は、1970年代の昔に、現在では、将棋の必須の戦法である「穴熊」という作戦に注目、これを採用したんですね。この穴熊、王様を盤面の一番隅に入れてしまう、という一見消極的な作戦でして、江戸時代からあるものでした。そのディフェンシブに見える処が災いし、「穴熊を指す様では決して一流になれない」、というのが棋界の定説でした。大内青年はそれに真っ向から反論、温故知新である穴熊戦法で連戦連勝、颯爽と名人に挑戦します。3勝3敗で迎えた最終局、大内さんの作戦が大成功、序盤で桂馬を只取りし、おまけにと金が出来る、という大優勢となりました。新聞各紙は「大内新名人誕生!」と原稿を書いていた程の大差でありまして、そこから僕が指し継いでも名人に勝てるんじゃないか、というぐらいだったんですね。そして終盤を迎え、後1手で大内名人誕生、その瞬間でした。魔が差す、というんですかねえ…。手順前後、というんですが、後から指すべき手を勘違いして先に指してしまう、という痛恨の大失敗をしてしまうんですね…。プロ将棋の恐ろしい処は、指した瞬間に自分で悪手と分かるそうで、この時、大内さんは冷や汗??が出たんでしょうか、着ていた和服に大きなシミが出来、何度洗ってもそれは決して落ちなかったそうです。そして、この大チャンスを名人が見逃す筈も無く、この将棋は引き分けに持ち込まれてしまいます。指し直しの一番では成す術も無く破れ、大内さんは、二度と大舞台に現れる事はありませんでした。大内さんにとって、確かに痛恨の大敗北だったと思います。それでも、大内さんは生粋の江戸っ子であり、その颯爽とした将棋はとても美しかったんです。そして江戸時代の戦法をアレンジして蘇らせ、それが今も主流作戦の1つ、というのは将棋史に残る偉業だと思うんですね。

お次はボクシング、これは不遇というか、後1歩で世界に届かなかったボクサーは非常に多いんです。彼の世界戦は全て生で観戦したライト級の坂本博之、ジュニア・ウェルター級の吉野、サラリーマン管理職ボクサーとして名を馳せた横田、この3人については随分以前の拙ブログで触れましたから割愛しましょう。今日ご紹介するのは、葛西裕一選手です。葛西選手は甘いマスクの高校アマチュア・チャンピオン、基本に忠実なスタイリッシュなボクシング・スタイル、日本タイトル・東洋・太平洋タイトルも制し、そして、業界一の名門、帝拳ジムの秘蔵っ子として、エリート街道一直線、無敗のまま世界に挑戦しました。錦織君の様に、この世界戦は、wowowが日本のボクシングとしては初の生中継でして、かなりの注目を集めたんですね。相手は年老いたロートルのチャンピオンであり、恐らく葛西選手が勝つだろうと見られていました。ところが、開始123秒で3度倒されるという、強烈なKO負けに終わったんです…。名物解説者のジョー小泉さんは、「葛西選手が負けた事も悔しいんですが、折角、wowowさんのご厚意で生中継して頂いたのに、全国の皆さんに葛西選手の良い処を何も見せられなかったのが悔しいんです!」と号泣する始末でした。ジョーさんの哀しみも伝わって来ましたが、無理に笑顔を浮かべる葛西選手もまた痛々しく、中継時間はたっぷり余っていますから、KOシーンを流すしか無く、あの放送は見ている方も辛かったなあ…。そして、葛西選手は再度チャンスを掴み、世界に挑戦します。セコンドには、先程の号泣解説者のジョー小泉さんも付いていました。実はこの試合、僕、横浜アリーナで生で見ているんですが、何時もの葛西選手の華麗な動きが全く無いんですよ。ノー・チャンスのまま最終ラウンド、葛西選手は劣勢をひっくり返すべく、果敢に前に出たのですが、チャンピオンの猛攻を喰らい、またしてもKO負けでした…。葛西選手が倒れた時、2万人の横浜アリーナが静寂に包まれ、後頭部を打つ音だけが聞こえたのを覚えています。悔しい思いで翌日の新聞を見た処、葛西選手は数日前から高熱と嘔吐下痢に苦しみ、歩くのがやっとだった由、それでも根性で12ラウンズまで頑張った訳で、僕、涙が暫く止まりませんでした。引退後の葛西選手は、トレーナーに転身して大成功、選手をサポートしアドヴァイスする側に廻り、自身が果たせなかった世界チャンピオンを4人育てあげました。

勝者には何もやるな、敗者はあらゆる物を得る。流石にヘミングウェイは良い事を言いますよ。ともあれ、仮に今取り組んでいる事で成果が出なくとも、必死に懸命に真摯に取り組んでいれば、見ている人は必ずいるものです。もし、今不遇と感じている方が居たとして、明けない夜は無く、夜明け前が最も暗いんですから、葛西選手や大内さんの様に、めげずに頑張るのが問題解決の一番の近道ですよ!僕も頑張ります!
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