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大いなる助走

何ですか、歩道に細い針金を張り、それがちょうど人の首の高さにしてあったそうで、既に被害者も出た由、本当に許せない卑劣な事件ですよね。どうもTVニュースを見ていますと、物騒で凶悪な事ばかりを取り上げる事が多く、僕、常日頃から疑問に思っていました。先進国では稀に見る程のTV局の多さなんですから、気が滅入る様な話は止めて、楽しく笑えるニュースや明日への希望をかき立てる様な話だって、沢山ある筈ですよ。1日、一所懸命働いて帰って来て、TVを見ながらさァ枝豆と冷奴とビールだ、というお父さん達も多いと思うのですけれど、そこで「連続殺人事件」「ストーカー」「放火」とかニュースが流れたら、テンション下がりっぱなしですよね…。TBSに日本テレビにNHK、テレビ東京にフジにテレビ朝日の皆さん、どうか楽しく元気の溢れるニュースを取り上げて下さい、是非宜しくお願いしますm(__)m。

さて僕、非常に憤慨していましたら、光明が射したと言いますか、大分は佐伯出身の小野正嗣さんが、芥川賞を受賞した由、何でも県内では半世紀ぶりの快挙だそうで、いやァ、本当におめでとうございます!!小野さんは芥川賞は3度落選だったそうで、4度目の正直、目出度いですし、良かったですね~。大分は昔から文人は余り居ない土地柄でして、僕が知っているのも臼杵の野上弥生子さんと、高校の大先輩にあたる赤瀬川隼さんぐらいかなァ。何はともあれ、小野さん、もう1度、本当におめでとうございます。大変失礼ながら、小野さんの小説は僕、未だ読んだ事がありませんから、週末にでも早速本を買ってみます。さて、受賞作は「9年前の祈り」というタイトル、大分の海辺の街を舞台に、シングル・マザーの葛藤を描いた物語だそうです。やはり、佐伯のご出身だけあって、作品にどうしても海が出て来るんですね~。そう言えば、小野さんの母校は佐伯鶴城高校でありまして、大分の県南の名門校ですが、当院の先生方も、同校のOBが3人もいらっしゃいますもんね、お昼休みの時、食堂で聞いてみようっと。

さて、僕、この手の賞については前々から素朴な疑問がありまして、これ、文学だけでは無いんですが、毎年毎年、そんなに定期的に才能が出現するのかなァ、という事なんです。ノーベル賞でも直木賞でも何でも良いのですが、2015年は5人受賞者が出て、2016年2017年はゼロ、そういう方が自然な気がします。僕の大好きなプロ野球にしたって、ワインじゃありませんが、ヴィンテージ・イヤーと申しますか、スターが出る年と、大不作の年がありますもんねえ。とっても不思議なんですが、野茂やイチローや松井、松坂にダルビッシュに田中マー君等々、大スターが居る年には、面白い事に、スターが続々と出現するんです。イチローに追いつけ追い越せ、同じ人間の同級生、負けてたまるか、と反発心を刺激するんですかねえ、人間の嫉妬心も、上手く昇華出来れば、有効に働く、という事でしょうか。あ、そうだそうだ、日本の叙勲って、等級が非常に細かく分かれていて、如何にもという感じで好きになれませんし、将棋や囲碁の世界でも同様なのは残念でなりません。歴代総理大臣にはオートマチックに、将棋5段、囲碁6段が授与されますもんね。そうそう、読売新聞総裁、悪名高い渡辺恒夫さん、通称ナベツネさんは、将棋8段ですよ、全く。僕、恥ずかしながら、将棋3段の免状を頂いてますが、恐らくナベツネよりは強いと思うんだけどなあ…。

閑話休題、この賞取りレース、人間の悲喜劇こもごもでありまして、何だかシェークスピアみたいですけれど、受賞して当然の人が取っていない事もしばしばなんです。例えば、村上春樹、謂わずと知れたビッグ・ネームですけれど、彼は芥川賞の候補にはなりましたが、結局受賞は出来ませんでした。ノーベル文学賞にしても、私見ですが、川端・大江よりは、谷崎・三島・安部公房の方が断然上と思うんですがねえ。結局は前者が獲得、後者は長蛇を逸しています。「走れメロス」の太宰治、これまたビッグ・ネームですけれど、どうしても芥川賞が欲しかった様で、当時の選考者に宛てた手紙が残っています。「佐藤さん一人が頼みでございます。芥川賞を貰えば、私は人の情に泣くでせう。さうして、どんな苦しみとも戦つて、生きて行けます。私を助けて下さい。」ですって。太宰さんも、後世の人の目に触れると思っていなかったでしょうから、赤裸々に心情を訴えたんですね。ところが、見事落選しまして、抗議文を発表しているんです。「事実を知り、私は憤怒に燃えた。幾夜も寝苦しい思いをした。小鳥を飼ひ、舞踏を見るのがそんなに立派なのか。刺す。さうも思つた。大悪党と思つた。」、これ、完全なる逆恨み、ストーカーかつきまとい行為ですけれど、太宰先生には悪いんですが僕、大笑いしちゃいましたよ!賞を貰えずとも、太宰治の名は誰でも知ってますよ!そうそう、SF界の巨匠、筒井康隆先生も、泉鏡花賞・谷崎潤一郎賞・川端康成賞・読売文学賞・フランスのパゾリーニ賞と、大変な受賞歴なんですが、直木賞だけは、候補に3度もなりながら全て落選しているんです。筒井先生の凄いのは、「大いなる助走」という小説を書きまして、これ、主人公が「直井賞」という文学賞を取れず、選考委員全員を軒並み殺して行く、というとんでも無い話でした。確かに傑作で、僕も面白く読みましたけれど、筒井先生、直木賞は本当に欲しかったんだなあ…。でも先生、筒井康隆という名前は、文学好きなら誰でも知っていますし、僕もファンですよ!

こういう悲喜劇もね、選考基準が曖昧だったり、選考委員は5人だったかな、少な過ぎるからだと思うんです。僕、ここはフランス式を輸入すれば良いのに、そう思います。フランスには、アカデミー・フランセーズ、という国立の学術団体があるんですね。これ、500年近い歴史を持つんですが、定員はきっちり40名、守備範囲は文学だけで無く、学術や美術にも及ぶんです。この40名が、毎年幾つもの賞を選ぶのですけれど、メンバーは、文学者だけではありませんで、政治家に哲学者、医師に科学者、軍人に聖職者、各界のトップで構成されていますから、学閥や縁故や情実が絡まない選考方式なんですね。日本にも、これを真似た芸術院がありますけれど、あくまでその分野の専門家だけですから、物事の見方がどうしても微視的になりがちです。

僕、文学賞のみならず、様々な分野でフェアな日本になる事を願っています。よし、週末は小野さんの小説でも読もうっと!それでは皆様、楽しい週末をお過ごし下さいませm(__)m。

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