FC2ブログ

♬ テルミン ♫

読者の皆様、おはようございます!随分冷え込んだ処も多かった様ですが、週末は楽しく過ごされましたか!?水枕 がばりと寒い 海がある、これ、三鬼の句ですけれど、僕、風邪気味だった事に加え、割とstressfulな状況が続いたものですから、書店に寄ったりする以外は、基本的に布団の中に居て、ひたすらに惰眠を貪っておりました。お蔭様で体調は薄紙を剥ぐ様に復調して来まして、漸く微熱も取れて参りました。ノロウィルスもインフルエンザも流行りそうですから、読者の皆様方も、手洗いとうがいをどうか欠かさないで下さいませ。

ストレス解消法と言えば、僕、かっては屋上にサンドバッグを吊るして、一心不乱にパンチを打ち込むのが常だったんですが、寒風吹き荒ぶ中、おまけに微熱があっては、そんな事をしていたら肺炎になる恐れがありますもんね。大人しく布団の中で読書をしたり音楽を聴いておりました。色々と思い出したのですけれど、僕、メジャーよりもマイナー、サブカルチャーを好む癖がありますから、変わった楽器にも妙に心を惹かれるものがあります。話は少々ずれますが、乗り物にしても同様でして、特にドイツ軍は妙なフォルムの物が多いんですよね。オートバイに、キャタピラと荷台をくっ付けたケッテンクラート。リモコンで操作し、爆薬を積んだ小さな無人戦車、ゴリアテ。前が2輪、後が1輪、逆三角形をした車のメッサーシュミット。後ろのマフラーの横にスクリューが付いた、水陸両用車のシュビムワーゲン。チェコ製の大砲に車体はソ連製の改良戦車、マルダーⅢ。トラックとキャタピラを合体させた兵員輸送車のハノマーク。砲塔を取り外し可能な戦車のホイッシュレッケ。あ、皆さんの全く興味の無い話を、長々とすみませんm(__)m。

さて、僕が未だ20代の頃ですが、インドに1か月半程滞在した事がありました。拙ブログでも再三、この国については書いて来ましたけれど、当時の友人から、あるお土産を頼まれまして、それがシタール、というインド固有の民族楽器だったんですね。その友人とは、共にビートルズの大ファンでしたから、ギタリストのジョージ・ハリスンが弾いていた、そのシタールが欲しかった由で、割と直ぐに見つけたんです。でもね、これ、弦が19本もあり、僕、ギターは少しだけ出来ますけれど、このシタール、どうやって弾くのか、見当が付きませんでした…。大体、胴体はひょうたん製で弦の張り替えの仕方も良く分からず、旅行中、シタールを出鱈目にかき鳴らしていたんですが、結局上手く弾けなかった記憶があります。キューバは変わった楽器の宝庫でして、同じくひょうたん製で中身をくり抜いた打楽器のギロ、とてもシンプルなティンバレス、これはおかずが殆ど無いドラムです。ひょうたんで思い出しましたけれど、アフリカだったと思いますが、大きく切ったそれを、満々と満たした水に浮かべて叩くんですが、これ、ウォーター・ドラムと言うそうです。キューバのトレス、モンゴルのヤトガ、アラブのカヌーン、ここら辺は変わり種の弦楽器でしょうか。でもね、珍楽器の筆頭は、何と言ってもテルミンでしょうか。

このテルミン、シンセサイザーの原型というのかな、非常に幻想的かつ、何処か物悲しい音色であり、涅槃を思わせるかの様な感があり、本当に独特でして、映画の効果音でしばしば使われたり、ビーチボーイズやレッド・ツェッペリンが使用した事で有名なんですね。さて、このテルミン、電波と周波数をコントロールする長方形の小さい箱から、2本のアンテナが突き出ておりまして、両手を振りかざして演奏する、という訳なんです。アンテナの間は空間であり、両手が舞う事で音が出る、というビジュアル的にも奇妙なんですね。空間の手の位置で音量や音程が決まる由、楽器そのものには決して触れる事はありませんから、非常に珍しいと言えましょう。

この楽器をおよそ100年前に造ったのが、ソ連生まれの物理学者のテルミンさんでした。彼は、ご自身が造った楽器にも似て、非常に数奇な人生を歩んだ方でして、人の運命とは何かを考えさせられます。さて、テルミンさんは元々チェロの名手だったと言いますから、音楽的な才能にも恵まれていたのですが、物理学や天文学にも長け、研究者として大学に勤めていたんですね。大正時代にこのテルミンを完成、そして当時最高レベルのテレビを開発したと言いますから、天才であった事は間違い無いでしょう。昭和の初めに、ニューヨークで世界初の電子音楽団を結成、指揮者を務めた由、ここまでは疾風怒濤の快進撃でした。恐らく、天才故の偏見の無さだったと思うのですが、黒人ダンサーと結婚するんですね。当時は差別が極めて激しい時代ですから、ソ連としても、当代きっての花形学者であり世界的に名が知られたテルミンさんが、人種的に劣るとされた黒人と結ばれるなどは決して許せなかったのでしょう。アメリカから拉致され、ソ連に強制送還されるんですね。挙句の果てには、無実の罪でシベリアの奥地で強制労働という、禍福は糾える縄の如し、人生の有為転変って、何の因果応報なんでしょうか、思わず空を見上げたくなります…。

さて、テルミンさんはその後、ソ連管轄の秘密研究所に送られ、世界初の盗聴装置を造る等、半世紀近くの間、スパイ行為を強要され続けたそうです。余りに飛び抜けた才能故の嫉妬、理解出来ない者への恐怖、出る杭は打たれる等々、理由は様々でしょうが、彼が再びアメリカを訪れたのは、ぺレストロイカ以降の事でして、愛の契りを交わした黒人ダンサーは、既にこの世の人ではありませんでした。彼の後半生は、隠忍自重で臥薪嘗胆の日々だったでしょうし、不本意な事ばかりだったでしょう。しかし、彼の姪っ子達は、世界有数のテルミン奏者として名を馳せた事が、唯一の救いだったかもしれません。

書いていて何だか哀しくなりましたけれど、今も尚、テルミンという楽器は世界中で演奏され続けている訳ですし、彼が在世中、ソ連は無くなりましたからね。ソ連という圧政、悪政は滅び、テルミンという電子機器は世界中で愛されています。謂わば、自由な精神の象徴である楽器が独裁政権に勝った訳でして、テルミンさんの偉業は世界中が知っているのですから、以って瞑すべし、ご本人のインタビューを見た事がありますけれど、枯淡で柔和で穏和な表情だったのが印象的でした。ところで沖縄知事選では、自民党が見事に惨敗、気分が良かったですが、自由な精神は必ず悪政に勝ちます!

今日は、趣味の話に終始して恐縮ですけれど、今週も拙ブログをご贔屓の程、何卒宜しくお願い申し上げますm(__)m。
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

しもごおり

Author:しもごおり
OSHブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QR