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行水や 美人住みける 裏長屋  子規

落書の 顔の大きく 梅雨の塀、これ、虚子の句ですけれど、一昨日からの強い雨が上がり、すっかり快晴となりまして、いやあ、今朝の大分は蒸しますねえ…。僕、自転車で通勤したのですが、えらい汗をかきまして、閉口しました。いきなり武張った話題で恐縮ですけれど、ウクライナにせよシリアにせよイスラエルにせよ、おっと勿論イラクもですが、凄まじい内戦状態ですのに、あの戦争好きのアメリカが沈黙を守っているのが不可思議でなりません。どうも、オバマさんは当面の間空爆はしない旨を明言したそうで、どうなるんですかねえ…。僕、1日も早い平和な日が来る事を強く望みますけれど、昨日でしたか、「宮本武蔵」「三国志」「新・平家物語」「私本太平記」「新・水滸伝」で広く知られる国民作家、吉川英治さんの戦時中の未発表の和歌や俳句が発見されたそうです。何だか、この大作家が、昨今の世界情勢を鑑み、あの世からのメッセージ、という感もしますけれど、戦争は 重患に似たり 薬なし それ唯昏々 大熱を発せよ、との句が残されています。何だかシニカルだなあ、とも思いますが、拙ブログではかって、荷風や鴎外や芥川の俳句を紹介した事がありまして、今日は少々異なる世界の俳人について、綴ってみたいと思います。

山吹の 垣根に白き 手がのぞき、春雨や 橋新しく 素足かな、春の川 白脛ながれ 紅みだる、人妻と なりける君に おぼろ月、襟足の 黒子あやふし 朧月、ほつれ毛に 遊ぶ風あり 青すだれ、朝から何なんですが、どうも艶っぽい句ばかりですけれど、これ、大正浪漫の代表選手、美人画で有名な竹久夢二の句なんですね。皆様ご存じの様に、彼は大変女性にモテた画家でして、たまきさんにお葉さんに彦乃さん、皆さん夫々艶なる美人揃いですけれど、夢二はそれらを絵にし、俳句にし、そして、当時まだ珍しかったコダック社のカメラで、彼女達の写真を多く残しているんですね。

雲のゆく 萩のこぼれて道祖神、秋の野犬 ぽつんと 日暮れて、すだれ打つ 夕立聞くや 老いし猫、年賀だけで しのぶチイママの いる場末、ベースボール 遠く見ている 野菊かな、何だか物悲しい感がありますけれど、これ、意外な事に、誰もがご存じでしょう、生まれも育ちも葛飾柴又、帝釈天で産湯を使い、姓は車、名は寅次郎、人呼んでフーテンの寅、そう、名優渥美清さんの句なんですね。渥美さんは、東京は上野の貧しい家に生まれ、幼い頃から病気を患い、長じては任侠の世界に身を置いた事もあり、肺結核で3年の闘病生活を経て、そして芸人さんになるのですが、中々売れず、寅さんの役を得たのが40歳になってから、という大変な苦労人でして、俳号は風天、句にもその悲哀というのかな、それが表れている感があります。

風鈴よ 自分で揺れて 踊ってみたまえ、梅酒たいらげ 梅をかじって 舌づつみ、ぬぐってもぬぐっても汗みどろ、蟻ん子 手の平にのせ 我侘びしむ、水中花 何想う 水なのか、ううん、これが女性の句とは思えませんよね。これらは、美人薄命、27歳の若さで亡くなられた女優、夏目雅子さんの句なんです。夏目さんの生家は、徳川家の御典医だったと言いますから、歴代将軍の侍医の家系、大変な裕福なお家のお嬢さんだったんですね。人は自分に無いものに惹かれるもの、生涯を放浪して過ごした、種田山頭火や尾崎放哉に私淑していたそうで、俳号は海童、何だか自由奔放さを感じます。でもね、僕、これは涙無くしては書けないんですが、夏目さんの辞世の句がありまして、急性白血病に侵されての入院中、ご主人の作家の伊集院静さんに抱き抱えられながら、病室の窓から神宮外苑の花火を見て作ったそうなんです。間断の 音なき空に 星花火、ああ、病院の窓は恐らく固く閉ざされていたのでしょう、無音の花火を見る夏目さんを思うと、涙がこぼれる思いがします。私事で恐縮ですが、僕、母を癌で高校1年生で亡くしていまして、何だか他人事とは思えない句なんです…。

白き手が 開ける夜寒の 障子かな、降る雪が 別るる人の 瞳にも降る、片想ひ すでに三とせの 春着かな、ゆく春の 沖降りかくす 雨に眠る、春惜しむ 人の流れに 流さるる、これらの句は写実的と申しますか、随分映像的な感がありますけれど、これ、日本初のトーキー--音声入りという意です。--を撮った映画監督、五所平之助さんの手に依るものです。五所さんは、ベルリン国際映画祭やアメリカのゴールデングローブ賞も制した、戦前の大監督、俳号は五所亭ですけれど、僕ね、面白い事に気付いたんですよ。

竹久夢二、渥美清、夏目雅子、五所平之助、皆さん、映像に関連のある方ばかりでありまして、それで思い出しますのが、邦画の黄金期を支えた、世界的な大監督、黒澤にせよ小津にせよ成瀬にせよ、皆さん拙いながらも、余暇には一句造るのが趣味だったそうなんですね。特に小津は、「映画監督なるもの、必ず俳句を作るべし」とまで言ったそうで、僕、素人ながらもフィルム・メーカーの端くれと自負していますから、その気持ち、良く分かります。と申しますのは、映画の本質とは、平面の画像を立体的に見せ、動きのある絵を瞬間的にフレーム内に切り取る事の繰り返しですから、俳句と共通項が多いんですよね。僕、気分だけは小津の感覚が分かる気がしました。

僕が外 出たら大雨 何故だろう、まあ我ながら酷い駄句ですが、今日はこれから外出予定でして、傘をさして頑張って来ます!!あっ、明日は朝からスケジュールがタイトでして、もし更新出来ない際は、日曜に書きますね。宜しくお願い致しますm(__)m。
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