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TRAIL OF TEARS

おい!馬鹿な神よ、お前は何時だって無力だ、泉谷しげるの名曲、「地下室のヒーロー」の一節ですけれど、僕、とても悲しくなっちゃうんですが、ほら、シリアの内戦が延々と続いているじゃないですか。宗教と歴史的因縁、欧州と中東とイスラエルに囲まれた複雑な地勢的要因、復讐と恨みの連鎖、その所為で難民は何と200万人を超えている、というんでしょ。僕、衝撃を受けたのは、母国シリアに居られなくなり、挙句の果てに、これから冬になろうと言うのに、戦乱を逃れて欧州に渡るのは良いんですが、お金も交通手段も無いものですから、老若男女は皆、厳寒のアルプス山脈を越えて行く、という由なんです…。

僕、登山に全く興味が無いので、体感した事はありませんが、厳冬期のアルプスが、どれ程厳しいか、頭では理解している積もりです。このアルプス越えと言えば、紀元前のカルタゴ国の英雄ハンニバルと、フランス皇帝ナポレオンが有名ですけれど、屈強な兵士達も寒さでバタバタと倒れてしまった訳ですよね。ほら、ナポレオンが、白馬に跨り手を掲げる、新古典派の画家、ジャック=ルイ=ダビッドに依る有名な絵画がありますけれど、あれはアルプス越えの模様を描いたものなんですね。古来より、アルプスを越えるには、グラン・サン・ベルナールという峠を通って行くのですが、ここ、標高2500㍍もありまして、積雪は最大25㍍、あ、因みに首の所にブランデーや食べ物を詰めまして、人々を救ったセント・バーナード犬は、ここの産なんですよ。このアルプスを、恐らく充分な準備もせず、碌な防寒着も無いであろう、シリアの難民の人達が渡ろうなんて、酷すぎますよ。冒頭、神は居ないのか、と僕が呟いたのがお分かり頂けましたでしょうか。少々条件は異なりますが、「涙の道」という言葉がありまして、それはインディアンや黒人奴隷達が、アメリカ人により、強制移住させられた時の事なんです。着の身着のまま、人跡未踏の荒野の1000㌔の道を歩かされ、1万5000人のうち、8000人が尊い命を落としたのですが、シリアの方々が置かれている環境も、それと対して変わりませんよ。この悲しい内戦が一日も早く終結する事を祈りますし、微力ですけれど、何か僕に出来る事は無いのかなあ…。読者諸賢の皆様方、何か良いお知恵がありましたら、どうぞご教授下さい。そして、何だか厭世的になってしまいますが、シリアの首都ダマスカスは戦乱に巻き込まれている訳ですが、とても哀しくなるのは、この街、紀元前1万年前から人が定住していた事が分かっており、恐らく世界最古の都市だろう、と言われているんですね。それだけの長い長い歴史を誇りながら、まだ戦争をやっている訳で、人間は素晴らしい存在ではありますが、その反面、救いようもなく愚かですよね…。

でもね、シリアも悲惨ですけれど、僕、前々から密かに注目している国がありまして、それはチェチェン共和国なんです。この国に住むチェチェンの民、彼らの苦難の歴史は、涙無くしては語れません。まず、彼らは、古代、紀元前からカフカス地方、カスピ海近くに定住していた古い古い民族なんですね。敬虔なイスラム教徒だったのですが、半世紀に渡る抵抗も空しくソ連に併合されてしまい、縁も所縁も無い、チェチェンの山岳地帯へと強制移住させられます。先のインディアンと同じ扱いを受け、何十万人もの人達が亡くなった、と言われています。宗教を押し付けられ、共産主義体制に組み込まれ、反発すれば投獄されて、シベリアに送られ、不満のマグマは溜まりに溜まっていました。ところが人間万事塞翁が馬、移住させられたその地から、石油が出たんですね。チェチェンとしては財源が確保出来た訳です。ロシア正教とイスラム教の違い。スラブ民族とコーカサスの民の差。今までの弾圧の歴史。となりますと、当然ロシアからの独立の機運が高まり、建国を宣言したのです。ところが、ロシアがむざむざと油田を手放す筈も無く、2回に渡る戦争が起き、無理矢理にチェチェンを占領したんですね。

チェチェンの民の歴史を辿りますと、どうもアサシネイト、暗殺者として他国に雇われていた事もあるようで、ナイフの扱いやゲリラ戦が得意で、非常に武力に長けた人達なんです。そして、七生報国という言葉がありますけれど、彼らは、もし恥辱や侮辱、或いは血縁者が傷つけられた際は、7代前まで遡って復讐する由でして、いやはやなんとも、凄まじい家訓ですよね。ロシアも馬鹿だなあ、独立を認めてあげれば良かったのに、と思いますけれど、肉親を殺された多くのチェチェン人達は、アンダーグラウンドの世界へと身を潜めます。海外のイスラム教徒の協力を受け、劇場や学校の占拠、ハイジャックにバス爆破、偽札造りにドラッグ売買に武器密輸、まあ、ありとあらゆる手段で、ロシアへの抵抗を続けているのです。つい3年前ですか、ロシアの首都モスクワの地下鉄が爆破されましたけれど、これは、戦争で夫や恋人を殺されたチェチェン人の若い女性2人の自爆テロでして、彼女達は、通称ブラック・ウィドウ、黒い未亡人という地下組織を結成、日夜復讐を誓っているんですから、プーチン君もおちおち眠れないでしょうねえ。

僕、この問題を解決するには、ロシア側が面子を捨てて、公式に謝罪をし、チェチェン人に対し、物心両面で多大な貢献をする事、それしか無いと思います。チェチェン人の恨みも分かりますけれど、何の罪も無いロシアの学生さんを沢山殺す必要は何も無いですもんね。お互いが不幸です。憎しみや恨みからは、幸せって生まれないじゃないですか。僕、夢想的かもしれませんが、こういう時こそ、マルコムXでは無く、マーティン・ルーサー・キング牧師の様な人の出番と思うんですよ。声高に宗教を押し付ける必要は無く、キング牧師の名言を換骨奪胎しますと、「私には夢がある。いつの日か、チェチェンの血塗られた大地の上で、ロシア人とチェチェン人が、兄弟として同じテーブルにつく、という夢である。」でしょうか。これ、仕事でも恋愛でも友人同士でもそうでしょうが、人間関係を潤滑にし、愉快に楽しく暮らすには、寛容と忍耐と笑顔ですよ。

何だか、最後は辻説法の様になりましたけれど、シリアとチェチェンの地に、1日も早く幸せが訪れます様に。
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