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THE HOTEL NEW HAMPSHIRE

やや旧聞に属すニュースですけれど、リッツカールトンも阪神阪急も、そして全国の幾つかのホテルも、お客さんを舐め切ってますよね。そう、食品偽装の問題です。僕、両ホテルともに利用した事がありますけれど、特にリッツカールトンですが、内装は妙に派手でちっとも落ち着きませんし、料理の値段はべら棒に高く、サーヴィスは慇懃無礼という言葉がぴったり、こんちくしょうめ、金輪際使わねえぞ、と感じた記憶があります。

まあ、皆さんお感じになられたと思いますが、あの謝罪の記者会見も、如何にも官僚っぽいと言いますか、論点はずらすわ、「原価は9円しか変わらない」「仕入れ業者のミスだ」等々、ちっとも謝っている感じが無く、かなりのイメージ・ダウンだったのではないでしょうか。リッツカールトンの総支配人なんて、「日本人とは感覚が違うのでは」なんて言ってましたもんね。テメエが誤魔化して詐欺をしといて、これね、明治時代だったら斬られてますよ。貴様、武士を愚弄するか、てなもんです。話がずれますが、幕末期の生麦事件--薩摩の島津の殿様の大名行列に外人が入り込み、斬られた件ですね--の際、護衛のお侍さん達は1㌔近くを全力疾走し、馬に乗ったイングランド人を追い掛け、捕らえ、肩から腰まで一撃で斬り倒したんですもんね、いやはや、凄まじい鍛えっぷりです。

閑話休題、ただ、この食品偽装って、随分前から行われていたんですね。プロスティチュート、売春と同様に、古代ギリシャやローマの時代からあったそうでして、ほら、若いワインってあるじゃないですか。僕、ボジョレーなんてちっとも風味も無く、美味しいと思いませんが、そういった不出来なワインにコクを出す為に、様々な樹脂や鉛まで混ぜて高く売っていた、と言います。パンにわらを混ぜてかさを増やしたりと、様々なテクニックが駆使された様ですが、これ、決してなくなりそうにありませんよね。だって、「遺伝子組み換えでない」と書かれている品も、半分ぐらいは偽装表示しているのでは、と言われて久しいですもん。まあ、勿論そういった偽装を防ぐ為に、中世における「ギルド」や現代の「生協」が生まれた訳ですが、人様の口に入る物にインチキをして、それで利潤を得る連中なんて、品性下劣極まりなく、打ち首間違い無しであります。そうそう、ドイツのマイスター制度でしたか、そういった偽装が無い様に、様々な規制を掛けているんですよね。ちょっと記憶が曖昧なんですが、その手の法律が最初に出来たのが、1165年、「低品質ビールを造った業者は、製品を全て没収の上、営業停止」というルールが造られています。日本でいえば平安絵巻の時代、紫式部が京の都を歩いていた頃ですよ。いや、こういう厳罰を科す事、これこそ食品を扱うプロの誇りと思いますし、ビールの本場ミュンヘンでは、700年続く醸造所があるそうですもんね。

僕ね、皆さん誤解が生じたらマズイと思うので書きますが、「リッツ」は今現在2つの系統に分かれているんですね。「リッツ・カールトン」の方は、アメリカのホテル・チェーンの所有です。まあひたすら利益のみを追求し、高級ホテルの冠をかぶっている、といった処でしょうか。対して、本家である「リッツ」は、イングランド、パリ、マドリードの3か所にしかありません。要は本家と分家に枝分かれしたんですが、僕は断然本家を推します。

さて、本家である「リッツ」の創業者はセザール・リッツというドイツ人でして、先のマイスターではありませんが、兎に角サーヴィスにおいて徹底しているんですね。では、リッツさんの経歴を追ってみましょうか。

彼の人生に非常に共感を覚えるのは、生粋のホテルマンだった、という事でしょうか。実は、僕の経歴を記すのも、大変おこがましいのですが、今の役職に就くまで、実際の医療行為以外の、病院の全ての仕事をしたんですね。そこがリッツさんと似ているかな、と好感を持てるんです。さて、そのお陰か、僕は25歳で事務長となりました。幾つかの病院で修行しましたけれど、レジ打ちから薬局の補助から、カルテ出しから患者さんのクレーム処理から、保険請求に給与計算にボーナスの借入の折衝、医師の招聘や看護師の引き留め、役所の監査に法律的な手続き、天井の雨漏の修理に鼠の駆除、幹部の接待に大学訪問、職員の教育に旅行の幹事、いやまあ、多分書き残している事もあるでしょうが、我ながらよく頑張りました。

リッツさんに話を戻しまして、彼もまた、スイスやフランスやドイツのホテルで、ありとあらゆる業務を経験するんですね。ドアマンにウェイターにコンシュルジュ、フロントにベルボーイにベッド・メイク、営業に企画にポーターと、それは熱心に働いたそうで、何と20歳で支配人に抜擢されます。それからも絶え間無い研鑽を積むんですね。全欧州のホテルを片っぱしから廻り、レストランの味を確認し、サービスを見極め、幾つかのホテルの支配人を歴任し、そして48歳の時に遂に独立、パリの地に「オテル・リッツ」を設立するのです。家具から食器から全てオーダー・メイド、建設図面まで自分で書き、ルーム・サービス用の調理場を2つ造り、当時まだ無かったエレベータを設置しました。これ、1800年代の話ですからね、リッツさんが如何に先進的だったかが分かると思います。その集大成が「リッツ・ロンドン」でしょう。あの傲岸で誇り高いイングランド王室、その唯一のロイヤル・ワラント、つまり御用達がこのホテルなんですね。150室も無い、左程大きくないホテルですけれど、これだけでここの凄さが分かると思うのですが、初代の料理長はエスコフィエというフランス人でして、実はこの人、フレンチの巨人でして創始者の様なものなんです。因みに、フランス料理を極めたシェフに与えられる国の栄誉称号は、「ディシプル・オーギュスト・エスコフィエ」と言いまして、「エスコフィエの弟子」と訳せるかと思います。漫画界で言えば手塚治虫先生が厨房にいる様なものですから、それだけでこのホテルの格式がお分かりになるかと思います。

僕、このリッツの最も好きなエピソードがありまして、大日本帝国海軍山本五十六大将が、ロンドン軍縮会議に出席した時、夜は歓迎のパーティで遅くなり、ルーム・サーヴィスで遅めの朝食を頼んだそうです。そうしましたら、same breakfast,sir?と聞かれ、良く分からず頷きましたら、濃い目のブラック・コーヒー、ハーフ・サイズのグレープ・フルーツ、スクィーズ・フレッシュ・オレンジ・ジュース、薄目のトースト2枚にスリー・ミニッツのボイルド・エッグ、と、山本大将が数年前にリッツに宿泊し、ルーム・サーヴィスで頼んだ朝食と全く同じだったと。

この肌理細やかなホスピタリティ、僕達医療人もサーヴィス業ですから、肝に銘じなければなりませんよね。山本大将の時代から半世紀、分家のリッツカールトンの権威は地に堕ちました。当然、当院が目指すのは、食品偽装なぞ頭の片隅にも無い、本家本元の「リッツ」でありまして、読者諸賢の方々、そして患者様、地域の皆様方のご指導ご鞭撻、叱咤激励の程、何卒宜しくお願い致しますm(__)m。

それにしても今週末も寒くなりそうですし、皆様、楽しいウィーク・エンドをお過ごし下さいね。でも、こう寒くなると、布団から出るのも億劫なぐらいでして、僕、常夏の楽園、ハワイで1か月ぐらいバカンスを楽しみたいですよ…。それでは皆さん、セイム・タイム、セイム・チャンネルで来週またお会いしましょう!
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そういう病院に行きたいです

「医療もサーヴィス業」という視点がある病院に、私も、行きたいです。
命を預ける場所ですから。

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楽々ライフ様、おはようございます。

当院も、より良いサーヴィスを目指し、職員一同日夜努力しております。もしお気づきになられた点や、ご要望にご質問等、何でも結構ですので、ご意見頂ければ幸いです。

それでは、楽しい休日をお過ごし下さいませ。

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