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❤ 愛の亡霊 ❤

おはようございます。昨日は、大分県の精神医療界の重鎮の方々と会食する機会がございまして、誠に滋味掬すべきお話の数々でして、大変勉強になる事も多く、非常に刺激を受けました。関係者の皆様方、本当にありがとうございました。心より感謝しております。この場を借りまして、厚く御礼申し上げます。特にM先生、大変笑わせて頂き、非常に楽しい夜でした。

さてさて、今日はどうしてもこれを書かねば、と昨日から決めていたんですね。テレビでは散々取り上げられていて、少々食傷気味なんですが、大島渚監督のご逝去について触れてみたいと思います。

僕、テレビの報道でどうしても我慢出来ないんですが、人間、誰しも変わった部分というか、エキセントリック、奇矯な処ってあると思うんですね。テレビのディレクターは、笑えて目立つ絵面が欲しいだけなんでしょうが、大島監督の怒る処とか、喧嘩している場面、訴訟を起こした記者会見、脳梗塞のリハビリ、そんなのばっかりでして、故人に失礼でしょ!テレビの馬鹿な連中は、恐らく故人の作品を何一つ観た事が無いんでしょう。僕、決して大島監督の熱心なファンではありませんでしたが、彼は日本を代表する偉大なフィルム・メーカーの一人である事は間違いありません。芸術家は、その作品のみを取り上げれば良いのです。従って、大島監督を語るのであれば、作品を主とした文脈で語るべきですし、そういったテレビ番組が皆無なのは残念至極です。イングランド、フランス、アメリカの新聞では、とっくにそうしたアプローチで、記事が掲載されてましたよ。本当に、この国の文化レベルの低さたるや、無残なものです。♫ 灰色のスポットライトは 生き物をマネキンにする 誰と誰が使いものになるかと 当たり前では詰まらぬ プラスチックの世界で 世にも珍しい生き物を創り出すのだ テレビの向こうには 裁判官がいっぱい 生かすも殺すも 自由自在さ そしてピラニアの如く 飽きるまで喰いつき 恥ずかしさは面白く 醜さは楽しく見える ディレクターは叫ぶ もっともっとサービス ディレクターは叫ぶ もっともっと脱いで ディレクターは叫ぶ もっともっともっと でも… ヌカルミじゃさぞ踊りにくいだろう ♫、思わず泉谷しげるの名曲、Dのロックを口ずさんでしまいましたよ、全く。

閑話休題、僕、大島作品を観たのは十指に満たず、そうですねえ、「日本の夜と霧」「飼育」「愛のコリーダ」「儀式」「愛の亡霊」「戦場のメリークリスマス」「マックス モンアムール」、そして遺作となった「御法度」、これぐらいでしょうか。これだけの本数で、大島監督を語るのは恐れ多いですが、早速参りましょう!

大島監督は岡山のご出身、京都大学法学部卒なんですから、大変なエリートでして、官僚の道も選択肢だったとは思います。松竹入社後の、八面六臂の大活躍は皆様ご存じの通りですから、割愛しましょう。一連の大島作品の一般的な評価は、反権力、政治的でジャーナリスティック、アナーキー、というものでしょうか。

でも、僕、あくまで私見ですけれど、大島監督の映画は、物事の本質に極限まで迫る、それが最大のテーマの様に思います。余り有名では無い、「マックス モンアムール」、これは大島監督以外は、資本はフランス--外国からお金が出て監督してくれ、というんですから大したものです--、そして全て欧米人のスタッフと俳優で撮られたものなんですね。さて、本作の主題は恋愛、不倫のお話なんですが、外国大使館夫人の愛する相手は、何と雄のチンパンジーでありまして、両者には肉体関係は生まれないんですね。人を愛する事、その不確かなものとは何か、その本質に迫るのが本作品な訳です。

そして、「戦場のメリークリスマス」です。これはホモセクシャリティが主題ですよね。カンヌグランプリは間違い無し、と騒がれましたが、今村昌平監督の希代の大傑作「楢山節考」とコンペティションを争い、惜敗したのは残念でした。とは言え、これまた外国資本のこの映画、メインの3人、デビッド・ボウイ、坂本龍一、ビートたけし、皆さん夫々本業があり、役者としては殆ど素人同然だった訳で、こんな度胸のあるキャスティング、普通出来ませんよ。映像美、音楽、人間のダークサイド、優れた脚本もまた素晴らしく、必見の傑作と思います。

遺作となった「御法度」も、これまた同性愛のお話ですが、まず、流れる様なキャメラ・ワークは圧巻です。キャスティングも、浅野忠信君に田口トモロヲ、坂上二郎に伊武雅刀と曲者揃いですが大変結構、ワダ・エミさんの黒を基調とした衣装は見惚れる程でした。唸ったのは、神田うのの扱いです。出演するのは知っていましたけれど、スクリーンを観ながら、この傑作が彼女の登場で台無しになるのでは、と恐れていたんですね。そうしましたら、うのの登場は花魁の役でありまして、台詞はゼロ、只歩くだけでした。スタイルは抜群ですが中身が無い、という、これしか無い彼女の使い方でして、確かに綺麗だったんですね、流石大島監督、と感心しました。

アット・ヒズ・ベスト、となりますと、やはり「愛のコリーダ」しかありませんね。これの完全版を、僕、シネマ5という大分のミニ・シアターで観る事が出来、とても嬉しかった事を覚えています。僕、独りで行ったのですが、男性客は僕だけでして、助平親父と思われるんじゃないか、戦々恐々としましたが、いざ映画が始まりますと、直ぐにのめり込みました。これ、全編、性の話でありまして、エッチ♡シーンだらけなんですが、何て言うんですかねえ、男女の性の違いは勿論の事、物事の本質を焙り出すとでも言いましょうか。水晶を削りに削って、その最も純粋で美しい部分を映像化した、そんな感がしました。一つ自慢させて下さい。豊後森駅という鄙びた駅舎の側に、列車の機関庫がありまして、その独特の形状が面白いんです。全国的にも殆ど無いんですね。僕、アマチュアですが、かって映画を数本監督した事があるのですが、その機関庫に無断侵入、或るシークエンスを撮った事があるんです。「愛のコリーダ」でも、全く同じフォルムの機関庫が登場しまして、オッ、僕もここだけは世界の大島と同じ感覚だな、なんて独り悦に入ったものです。閑話休題、この作品の主役の藤竜也さん、やつれて行く容子を表現する為に撮影中は殆ど絶食、何と15㌔落としたそうですが、まあ、匂い立つ様な、というか男の色気がムンムンと充満しているんですよ。むせかえる様ではありました。当時、最もセクシーな東洋人、と欧州の女性達から、熱視線を送られ続けた事は余りに有名ですよね。

う~ん、何だか追悼の意も込めて、大島監督の作品をまた観たくなりましたよ!僕、明日はかなり色々と詰まっておりまして、恐らくブログの更新は週明けになるかと思います。一足速いですが、皆様、楽しい週末をお過ごし下さいませ!!
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