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THE ODESSA FILE

皆様、週末は如何お過ごしでしたか?大分は超大型台風が接近している由、昨日自転車に乗っていましたら、燦々と晴れているのに、遠くの方にはぼんやりとした霧の様なもの、大きな黒い塊が地表を覆っていまして、もしかして雨、と思う間も無く、もうスコールでしたねえ。幸い、左程濡れずに済んだのですが、やはり自然現象って驚異ですよね。昔の人達が、雲や雷を見て、龍が登っていく、なんて表現したのも何だか分かる気がします。さて、僕、自転車を漕ぎながら思わず、サザン・ロックの雄、クリーデンス・クリアウォーター・リバイバルの往年の大ヒットナンバー、ハブ・ユー・エヴァー・シーン・ザ・レイン?のフレーズを口ずさんでしまいました。古過ぎる曲でスイマセン…。この曲、邦題は「雨を見たかい?」でありまして、桑田佳祐さんがカヴァーした事で一躍知られた様に記憶しています。この曲がヒットしたのはちょうどベトナム戦争の頃でした。嘘か誠か、この曲中にある「雨」とは、アメリカ軍がベトナムに落とした大量の爆弾、そして爆撃後は何故か雨になる事が多いそうで、その暗喩だろう、と囁かれていたんですね。不思議なもので、戦国時代の歴史書にも、同様の多くの記述が残されているのですが、戦の後には何故か雨が降り、大地に流れた血を流すのでしょうか。

ベトナム戦争当時は1960年代ですが、2000年代の今も尚、内戦や戦争は絶え間無く続いていますし、僕、その手のニュースを見る度に、心が痛みます。つい先日も、シリア内戦を取材中の邦人女性ジャーナリストが、命を落としました。謹んでご冥福をお祈り致します。そして、大学院時代の拙い知識を総動員しまして、あくまで我流ではありますが、故人の為にも、少しでもシリアの事を知って頂くべく、少々綴ってみたいと思います。

シリア、この国は、個人的に是非一度行ってみたい場所なんですね。と言いますのは、この国の首都であるダマスカス、この地は、もしかすると世界でも最古の都市と言われています。まずは、非常に農産物に恵まれていた事がその理由です。高校の世界史の教科書に良くある記述ですが、ユーフラテス川が流れる、所謂「肥沃な三日月地帯」でありまして、麦にオリーブが大量に収穫されたそうです。そうなると当然人口が増えますよね。勿論世界遺産に認定されていますし、多種多様な遺跡群があり、掘っても掘っても何かが出て来て、際限が無いと言われている程です。驚くのは、紀元前に数万点もの粘土版を保管していたというんですから、こりゃあ世界初の図書館と言えるでしょう。

これには理由がありまして、最大の要因としては、やはりその場所でしょうね。東西はイラクにレバノンですからイスラム文化圏、南はイスラエルでユダヤ圏、北はトルコと地中海に面していますから中央アジアと欧州、殆ど全ての文化文明に囲まれている訳です。また、シリア人はイスラム教を信奉しており、この宗教は人の定住を勧めないんですね。どんどん移住しなさい、というコーランの教えですから、ありとあらゆる宗教や文化が共存している訳です。少々話がずれましたが、それだけ様々な人種がおり、エジプト・中近東・欧州の中間点ですから、交通の要衝として、非常に栄えた訳です。そうなりますと、その豊かな土地を手にしたいと思うのが、権力者の常ですから、シリアの主は二転三転する事となります。ギリシャにローマにアラブにフランスにトルコにオスマン帝国(イスラムですね)…。そして、現在のバース党(反米でアラブ至上主義の社会主義政党です)の独裁体制が40年近く続いている訳であります。

このバース党の独裁も、決して悪い事ばかりではありませんでした。宗教・文化・人種・慣習、多種多様なシリアにおいて、国の創立期には、或る程度の独裁は必要悪だった様に思います。実際、石油資源にも恵まれ、農業も非常に充実、社会主義特有の計画経済も上手く行きました。ところが、自由な発言を求めるのは、人々の当然の権利ですし、現体制の一党独裁もそろそろ半世紀になりますし、お互いが衝突し、現在の内戦状態になってしまったんですね。悪い事に、現在の大統領は、少数民族の出身で、国内の大多数を占めるスンナ派は抑圧され続けていますから、益々状況は悪化している、という訳です。

ほぼ単一民族であり、宗教論争や歴史的因縁も殆ど無い、島国の日本では、想像を絶する過酷な状況ですが、人類の歩んで来た道とは、殆ど戦争の歴史とも言えるんですね。或る時は宗教、そして或る時は土地を、或いは独立を巡って流血沙汰が続いて来ました。人間は、火星にまでロケットを飛ばす能力があり、愛を語る素敵な一面があるのに、反面小さな利権でお互いを殺し合うという、二律背反の生き物です。本当に、お互いを思いやる事が出来るのが僕達人類なのですから、ジョン・レノンのイマジンじゃありませんが、戦争が無くなる世の中が、何時の日か来る事を心から願っています。

遠く離れたシリアの地に、僕達が出来る事って中々ありませんが、せめて世界で何が起きているのかを知る事ぐらいは出来ます。それが亡くなられたジャーナリスト、山本美香さんへのせめてもの慰めであり、手向けであり、鎮魂になるのではないでしょうか。地には平和を、天には希望を。
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