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わだばゴッホになる

いや~、ここ大分は、連日よくまあ飽きもせず降りますね。ま、この雨が無ければ秋の実りもあり得ない訳で、湿気が酷いですが、ここはじっと我慢の子であります。さて、本当にありがたい事に、本ブログを始めて約1年半になりますが、とうとう総計で10万拍手を突破致しました!これも一重に、読者の皆様のご愛顧の賜物です。謹んで心より感謝しております。日本全国のみならず、海外からのアクセスも頂いている様で、本当にこのブログを始めて良かったです。少しだけ自画自賛をさせて貰いますと、毎日異なるテーマを取り上げ続けた、この多様性が良かったのかなあ、と自負しております。

折角の10万拍手記念という事で、当初は他の話題を考えていたのですが、急遽予定を変更しまして、その数字に因んだお話と参りましょう。

北関東は埼玉や群馬でのみ売られているお菓子、その名も十万石饅頭、という銘菓がございます。こしあんがたっぷり、皮は薄く柔らかい独特の食感でして、キャッチ・フレーズは「うまい、うますぎる」というもの、まあその通りなんですが、この言葉を発したのは、世界的な版画家の棟方志功さんであります。このお菓子の表装にも彼の絵が使われているんですよ。僕、この棟方さんの画風に以前より強く惹かれていまして、その事を語ってみたいと思います。

棟方志功、彼は世界的な高評価を得た、日本一の版画家です。刀鍛冶職人の子として青森で出生、幼い頃にゴッホの絵を見て以来、芸術家を志し21歳で上京、全くの独学で己の道を切り開く事と相成ります。当時の帝展、今ならば日本美術展覧会、日展ですが、そこに出品を続けますが落選続き、26歳にして漸く初入選となります。これには、独学でのし上がった棟方さんへの強い偏見があったそうで、名声を極めてからも、画壇からの、嫉視や蔑視の眼は常にあったと言われています。さて、初入選からは将に昇り龍、向う所敵無しの怒涛の快進撃が続きます。画廊の壁を全て埋め尽くす巨大版画を製作し、その代表作の1つである、釈迦十大弟子、もこのころ彫られたものです。谷崎潤一郎、柳宗悦、岡本かの子ら、文壇や民藝家らの絶大な贔屓もあり、アトリエを完成、日本全国で個展が開かれるんですね。特にこれまた僕の大好きな谷崎との交流は深く、彼の殆どの作品の装丁を担当、これぞコラボレーションの始まりとも言えるもの、共に日本が世界に誇る2大アーティストの共演でありまして、この作品群を読む方が、詰まらない学校の授業を受けるより、百倍、為になる事は僕が保障します。谷崎の晩年の大傑作に、「谷崎潤一郎 渡邊千萬子 往復書簡」というものがあるんですね。これ、最晩年の80前の谷崎が、20代の脚の綺麗な遠縁の女性に入れ上げ、プレゼント攻め--靴に着物に洋服に現金にダイアモンド、ありとあらゆる小物等々--の大攻勢をし、この2人は世間の眼もあるのに、親戚同士でどうなっちゃうの、というスキャンダラスな実話なんですね。本当に女性は羨ましいなあ、と思うんですが、後述する様に、全世界で認められた棟方さんに、谷崎が、その女性にプレゼントする為だけの版画を彫って貰う様に依頼します。誠に美しい版画でして、その写真は見た事がありますが、これ、下手すりゃ億ですよ…。すいません、話がずれましたね。

閑話休題、彼のスケールの大きさは、最早日本国内で収まるものではありませんでした。世界三大美術展覧会と言えば、これは僕の独断ですが、イタリアのヴェネツィア・ビエンナーレ、ドイツのドクメンタ、ブラジルのサンパウロ・ビエンナーレと思います。このうち、ヴェネツィアとサンパウロ、2つのグランプリを制したのは、日本人では唯一棟方さんのみ、ついでに書きますと、スイスで開催されたルガノ国際版画展で最高賞を獲得、そして2年間という長い期間、欧州全土で個展が開かれるんですね。返す刀で、同じくアメリカ全土でも個展を開催されます。僕、とても憤慨するのは、優れた日本人芸術家は皆そうなんですが、本当に真価を認めるのは、必ず海外が先なんですよ。黒澤明しかり、今村昌平しかり、近年では北野武もそうですよね。日本人の芸術の素養の無さには、ほとほと呆れかえる思いがします。閑話休題、棟方さんの場合も全く同じでして、昭和40年に、イタリア芸術院名誉会員となる栄誉を得ますが、日本からの叙勲は昭和45年の文化勲章でありまして、この5年間のタイム・ラグって一体何なんでしょうね、本当に恥ずべき事と思います…。

さて、彼の版画の最大の魅力、それは、女性を描く際の優雅な曲線美とビビッドな色彩感覚でしょう。原始、女性は太陽であった、これは明治の女流作家、平塚らいてうの有名な言葉ですが、将にそれを想起させるのが、棟方さんの版画でありましょう。僕、幾つかの彼の版画を間近で観ましたが、それはもう見事なものでしたし、強いパワーとバイタリティと迫力を感じました。精魂を込めて彫る、それがまざまざと感じられましたし、優れた絵は、美術館にあれば一目瞭然、その存在感で浮き上がって見えて来るのが常です。そう、一目見れば、その人の作品と分かるのが優れた芸術家でして、これは絵画も小説も漫画も映画も同様ですよね。

ところで、谷崎の様に、僕に棟方さんの版画を下さる様な奇特な方はいませんかねえ、本当、誰か宜しくお願いしますよ~。それではごきげんようさようなら、明日又お会いしましょう!
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まとめtyaiました【わだばゴッホになる】

いや~、ここ大分は、連日よくまあ飽きもせず降りますね。ま、この雨が無ければ秋の実りもあり得ない訳で、湿気が酷いですが、ここはじっと我慢の子であります。さて、本当にありが...