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前進出来ない駒は無い

何だか全国的に下り坂の天気の様で、ここ大分もはっきりしない空模様でして、非常に湿気がありどうやらポツポツと降り出した気配、「月さま、雨が…」「春雨じゃ、濡れて参ろう」、これは新国劇で演じられ、幾度と無く映画化された「月形半平太」の名台詞ですが、とてもそんな粋な気分にはなりませんで、風雨に舞い、散りゆく桜が哀しげに見えてしまいます。ところで僕、色気が無くて申し訳ありませんが、ずうっと目が痒く鼻が出るのですが、やはり花粉症なのでしょうか…。

閑話休題、実は昨日から始まりました、歴史的な大勝負がありまして、ちっともテレビやニュース等では扱って貰えないものですから、本ブログにてご紹介したいと思います。実は今年、2012年は、織田信長が見出だし、徳川家康が将棋名人位を制定してから何と400年目、という節目の年でありまして、いよいよ昨日より、東京都下屈指の名園として知られ、豪華ホテルが隣接する椿山荘にて、森内18世名人対羽生19世名人の7番勝負が始まった、という訳です。前夜祭には歴代名人が打ち揃い、立会人は谷川17世名人と、徳川宗家第18代当主の徳川恒考さん、観戦記は大ベストセラー作家兼医師の海堂尊さん、将に千両役者の揃い踏みの観がありますね。

ここで将棋界のシステム及び名人位への道程を簡単に記しておきましょう。全国津々浦々から、将棋に長け大人達を軽く負かす様な天才少年達--主に小学生達が主です--が、奨励会、という組織の試験を受け、将棋指しの卵となります。6級から始まり、5級~1級と勝ち進み、初段2段を経て、3段となり、そこでリーグ戦を勝ち抜き4段となり、年間4人だけがプロになれるのです。この世界で最も厳しいのは年齢制限がある事でして、26歳だったかな、それまでにプロになれなければ、問答無用で解雇、という残酷なシステムなんですね。晴れてプロ棋士になっても、そこからは1年間を通して過酷なリーグ戦が待っています。C2~C1~B2~B1~A、夫々のクラスを勝ち抜き昇格し、そして最後のA級で優勝して名人位に挑戦出来る、というピラミッド型でして、大相撲の番付と同じ、と考えて頂ければ分かり易いのではないでしょうか。登山と同じで、上のクラスに行けば行く程、道程は急峻となり、険しくなるばかり、名人位に挑戦するまでに、どんなに少なく見積もっても10年は掛かる、という完全実力制であります。もう1つ書き加えますと、~世名人、という意味は、名人位を5期以上獲得した棋士のみが名乗れる名称でして、この400年間の長い長い歴史の中でも、僅か19人しかいないのです。今回の7番勝負はその19人の中の2人が勝敗を競う訳ですから、目を離せない大勝負と言えるでしょう。

この名人位を巡っては、数々の人間臭いドラマが満載です。名人に一瞬でもなれたら死んでも良い、そう公言した棋士。その座を目前にしながら病魔に倒れた棋士。7番勝負の直前に剃髪して現れた棋士。誰も見た事の無い、画期的な新戦法を擁して挑んだ棋士。九分九厘名人に近づきながら、土壇場で大失敗の手を指した棋士。6度挑戦し全て惜敗、7度目に獲得した棋士。20歳で初挑戦し、苦杯を喫し続け、42歳で名人に就いた棋士。かと思えば、21歳の初挑戦で戴冠した男がおり、13連覇した怪物がおり、誰もが資質を疑っていたのに名人になった者がおり、事実は小説より奇なり、ボクシングと並んで、これ以上面白い勝負が他にありますか。

プロ将棋の過酷さ、それは名人戦の持ち時間を見れば一目瞭然です。両者共に9時間を使える2日間制でして、考慮時間1分以下は切り捨てとなります。朝昼晩と、超一流ホテルの豪華な食事を採り、お八つも夜食も食べ、そして水分摂取は際限無く、1日5㍑を優に超え、頭皮は充血して真っ赤っ赤、そして勝負の後は5㌔近く落ち、ラガーマンも試合後それぐらい体重減になるそうですから、棋士達の頭脳や体力はどうなっているんでしょうね。ここまで来ると、棋士達は、オリンピックのメダリストクラス、トップ・アスリートに近いと僕は思います。

少々自慢させて貰いますと、僕、谷川17世名人と加藤一二三名人は、すぐ傍で見た事があるんですよ!大分の東洋ホテルのこけら落としにこの両雄が来られて、将棋を全く知らない友人のS君と共に出掛けたんです。S君、盤と駒を持って行って、「俺と勝負しろ」と言う、何て冗談を飛ばしてましたが、ホテルのフロントでいざ両名を見た途端、「とても無理だ、何かオーラが出てるわ」ですって。一将棋ファンとしては、何も知らない人にも、一芸に秀でた名人達の凄み、その存在感を理解して貰えた様で、非常に誇らしかった事を覚えています。

いや~、将棋の話は尽きませんが、最後に1つだけ。取った駒を使えるのは日本の将棋だけでして、世界中の同様のゲームにはそれが無いんですね。よって、ドメスティックなボード・ゲームという位置付けだったのですが、インターネットの爆発的な普及により、状況は激変しました。2009年にNYで行われた世界将棋大会は、21カ国の参加でしたが、現在、ネットで将棋を指す人達は何と85カ国に激増しています。特に中国では爆発的な人気とか。日本の囲碁界は、既に世界一の座を奪われて久しいですが、この400年続く将棋の歴史に、アメリカ人の名人が誕生、なんて僕は嫌ですよ。棋士の皆さん、頑張って世界一の座を保ち続けて下さいね!
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