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LA DOLCE VITA

春雷や 女ばかりの 雛の宿、今の我が こころと似たり 春嵐、前者は俳壇の大御所である高浜虚子、後者はその弟子であります大正時代の俳人、阿部みどりの秀句なんですが、それにしても今朝の大分は随分と激しい雨です。この雨雲、どうやら日本列島を縦断し台風並みに強い由、梅は咲いたか桜はまだかいな、とてもとても花見どころじゃありませんし、皆様もどうかお気を付け下さい。

この季節、啓蟄というか清明というか穀雨というか、いずれにしても、生命の息吹を感じさせる時期なんですが、それに相応しい記事がありました。時事通信に依りますと、「南アフリカ北部にある洞窟で、人類が約100万年に草木を燃やし、獲物の動物を焼いて食べたと見られる跡が見つかった。人類が火を使った確実な証拠としては最古のものという。」だそうで、将にヒトという生き物の曙と言えますし、ここが全ての始まりだったのではないでしょうか。人類が発展していく上で、火や道具の使用は当然ですが、男女が愛し合って増えていった訳ですよね。僕、この春嵐の凄まじい音を聞きながら想起したのは、最早古典とも言える恋愛映画「愛の嵐」なんです。

この映画、未見の方の為にさわりだけ書きますが、1957年のオーストリアはウィーン、男はホテルマン、女は指揮者の妻、フロントのロビーで10数年ぶりに再会するところから始まります。この2人、かっての大戦中、男はナチス・ドイツの将校、女はユダヤ人、出会いは強制収容所だった過去があるんですね。収容所で男は女を散々弄び、おもちゃにしていた訳でして、ところが戦後になり立場は逆転、男はユダヤ人への残虐行為で日向を歩けない身分、一方女が警察に証言すれば男は死刑、という設定なんです。まあ、この女優さんの表情の素晴らしい事、外面如菩薩内面如夜叉と言いますか、般若か母神か、将に圧巻と言えるでしょう。結末がどうなるかは、ご覧になってのお楽しみであります。

さて、古今東西を問わず、男女の性愛を扱った映画に傑作が多いのは、それが物事の本質だから、と僕は解釈していますが、もう幾つかご紹介しましょう。まずは当然と言いますか、イタリアの巨匠、世界の映画監督ベスト10には必ずランク・インする、フェデリコ・フェリーニの一連の作品群です。「甘い生活」、「女の都」、「サテリコン」、ミュージカル「NINE」の原作である「8 1/2」、「カサノバ」、猥雑で混沌としていながら名画を思わせる抜群の映像センス、道化師達のサーカスのシークエンス、大きなお尻と乳房を持つ女性達が数多く登場し、将に性愛を扱った映画の巨匠と言えるでしょう。僕、フェリーニを好むのは、そのオプティズムなんです。「どんな物も何かの役に立っている。この石ころだって。」「人生は祭りだ。一緒に楽しもう。」、何だか元気が湧いて来ませんか?

そして、同じくイタリアの巨匠、「ラスト・エンペラー」「シェルタリング・スカイ」「シャンドライの恋」で知られる、ベルナルド・ベルトリッチ監督の問題作、「ラスト・タンゴ・イン・パリ」でしょうか。フランシス・ベーコンの具象絵画をモチーフにした芸術的な作品ですが、テーマは、男女が密室でひたすら性愛に耽る、というものなんですね。主役のマリア・シュナイダーと「ゴッド・ファーザー」で知られるマーロン・ブランドの演技は圧巻です。特に、マーロン・ブランドの中年男の哀愁漂う存在感は、ワン・アンド・オンリーでありまして、饐えた様な大人な薫りと、行き場の無い閉塞感を感じさせる映画と言いますか、こういうものを観ると、ハリウッドはお子様ランチという感は否めませんねえ。

それにしても時代と言いますか、当時はR指定なんてありませんから、上記の作品は母に連れられて封切で観ているのは、僕、ちょっとした自慢ではあります。

最後は日本代表、よっ待ってました、大島渚監督の「愛のコリーダ」です。阿部定事件をモチーフにした本作は、男女の愛の極限まで表現していると言えるでしょう。この映画の完全版を、大分唯一のミニ・シアター、シネマ5という劇場で独りで観たのですが、僕以外のお客さんは全て女性でして、非常に居心地が悪かったのを覚えています。藤竜也の色悪ぶり(三船敏郎以来、欧州で絶大な人気を誇った、数少ない日本人男優でしょう)は必見ですし、相手役を務めた松田瑛子も、本作以降輝きを失う程の強烈な印象です。また、祝言を揚げるシークエンス、芸者衆が唄い奏で、幇間が舞い、そして薄暗い照明と金屏風のコントラストは、大谷崎じゃありませんが、将に陰翳礼讃、日本美の極地でした。

これらの性愛をテーマにした作品群、どれも独特の映像美があり、ビビッドで美しかったのが印象的ですが、世の東西は関係無く、男女の関係性が逆転してしまうのが、とても興味深く感じました。いずれの映画も冒頭は、強い男性と、か弱い女性が描かれているのですが、何時の間にか立場が入れ変わっちゃうんですよ。何時の世も男性は女性の下僕、只の召使いなんだなあ、と何だか身につまされる気もします。

おっと、今日の本ブログも僕の趣味が大爆発、興味の無い方には大変申し訳ありませんが、これから会議に行って来ます!
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