FC2ブログ

EL GRANDE CAMPEON MEXICANO

今朝はかなりの霧でして、視界が悪く、自転車通勤は断念しました。この時期の長雨を菜種梅雨とは良く名付けたもので、春の訪れはもう直ぐなんでしょうね。それでも、こういう気候が続きますと、湿気に弱い僕は、すぐに乾燥した所に行きたくなったり、思い出したりします。という事で、本日の本ブログは、メキシコに関するお話を。

僕、メキシコは国境沿いの街に1日いた程度、それでも、ロサンジェルスやサンフランシスコとの余りの違いに驚いたものです。スペイン語の看板が立ち並び、街並みも貧しいですし、何処からともなく聞こえるマリアッチの調べ、強い香辛料の匂いとドラッグ?の様な甘い薫りが混じり合い、背の高いサボテンが屹立し、娼婦に男娼が笑い合い、そして眼付の鋭い男達が所在無げに立ち、山下達郎の「甘く危険な香り」の歌詞とは随分異なる世界ですが、直ぐにその言葉が思い浮かびましたねえ。メキシコは世界一誘拐が多いという土地柄ですから、暗くなる前に真っ直ぐホテルに戻りました。ライムを入れたコロナ・ビールにテキーラ、ピコ・デ・ガヨやハバネラといった調味料、ケサディーヤ(タコスの一種)にフリホーレス・デ・オヤ(豆の煮込)、ドラゴン・フルーツにノパルはサボテンの果実、独特の料理も興味深かったのですが、それらを夕飯で摂っていましたら、隣接しているバーから大歓声が聞こえるんです。好奇心に駆られて危険を顧みずバーに寄ってみますと、男達はボクシング観戦に熱中していたんですね。野球やサッカーと並んで、ルチャ・リブレと呼ばれるプロレスや、ボクシングといった格闘技が人気のあるお国柄だなあ、男らしさを表すマッチョ、という言葉はスペイン語が変化したものですから、何だか納得したものです。

これだけ格闘技が盛んで人気がある、というのは、メキシコの歴史に遠因がある事はまず間違いありません。マヤ文明やアステカ王国が独自の文化を発展させた事でも分かる様に、メキシコは古い古い歴史を持つ国です。そこにスペインの掠奪者達が侵入し、王国は滅ぼされ、300年に渡る長い植民地時代が続きます。1802年になりまして、漸く独立の機運が高まるのですが、スペインの圧政は続き、混乱に乗じたアメリカから攻め込まれ、所有していた多くの土地--カリフォルニア・ネバダ・ユタ・コロラド・テキサス・ワイオミング・ニューメキシコといった多くの州は元々全てメキシコの物でした--を強奪されながらも、100年近い内戦と革命を経て、遂に悲願の独立を果たしたのが、1917年ですもんね。メキシコの乾いた大地には、幾多の尊い血が浸みこんでいます。

僕、少しだけ嫌味を言わせて貰いますと、アングロサクソン、特にアメリカ在住の皆様方は、大変敬虔なクリスチャンな訳ですよね。でも、ハワイやインディアンやメキシコやフィリピンや黒人にした事は、泥棒が勝手に人の家に侵入し自分の物と主張、住民を殺害或いは追放又は奴隷とし、それを向こう三軒両隣にまで行い、挙句の果てには隣町のマンションまで占拠した、というのと何処が違うんでしょうか。汝の隣人を愛しなさい、右の頬を打たれたら左の頬を差し出せ、ってかなり有名な方の教えであり、それをアナタ方は信じているんでしょ?人はそれを偽善と呼ぶ、そして神をも恐れぬ鬼畜の所業であり、懺悔した程度じゃあ決して許されないんじゃないですか。

閑話休題、近年のメキシコを象徴する存在、と言えば、国旗の中心にある鷲の様な真のマッチョ、80年代から90年代を駆け抜けた伝説のボクサー、ラテン・アメリカ世界の共通の英雄、フリオ・セサール・チャベスしかいないでしょう。チャベスは、有名な貧民窟、スラム街のクリアカンの出身です。旺盛なスタミナと頑健さ、決して諦めない強いハート、基本に忠実な優れたテクニック、必殺の左ボディブローを武器に築き上げたレコードは、何とデビュー以来90戦無敗という前人未到の記録でした。これ、決して弱い相手を選んでいるじゃないんですよ。完全なる敵地での試合、かって盟友であり親友だった相手との試合、階級が上のチャンピオンとの試合。エドウィン・ロサリオという爆発的なパンチ力を持つ相手をKOし2階級制覇。抜群のスピードを誇るメルドリック・テーラーを、最終ラウンド残り2秒で、劇的な大逆転KO勝利し王座を統一。テクニシャンかつ老獪さで知られたロジャー・メィウェザーを、敵地でKOし3階級制覇。チャベスと並ぶスーパースター、同じく無敗を誇った3階級制覇のスピード・スター、へクター・カマチョを大差の判定で退けました。そして、彼のキャリアのピークと言えるのが、93年2月20日、アメリカ人挑戦者グレグ・ホーゲンと戦った10度目の防衛戦でしょう。今までの歴史的因縁がある上に、憎きアメリカ人挑戦者は、チャベスとメキシコという国そのものを挑発し、そして侮辱する様な態度を、記者会見やプロモーションの席上で幾度となく繰り返しました。エスタディオ・アステカ、マドンナやマイケル・ジャクソンやU2がコンサートを行い、オリンピックのメイン会場であり、サッカー・ワールド・カップの決勝が2度行われたこのスタジアムに、我らが英雄チャベス見たさで集まった観衆は何と13万人を超えたのです。試合は勿論チャベスのKO勝利でした。東京ドーム3つ分の観客という訳でして、1人でこれだけの人数を集め、その日のコロナ・ビールの売上とラテン・アメリカのテレビ視聴率は記録的なものだったと言いますから、或る意味、マドンナとU2が束になっても敵わない様に思いますね。そのチャベスの全盛期のファイトは、身体全体からグルーヴがを発していると言うか、スウィングしていると言うか、画面越しからでも音楽が聴こえて来たんですよ。世界有数のアスリートの動きは、リズミカルで美しくしなやか、躰そのものが楽器の様に思えました。チャベスは無敗でのリタイヤを望みましたが、最後は負けて引退、世界中のボクシング・ファンとラテン・アメリカの民は悲しみにくれたのです。しかし、2003年にチャベスの息子さんが何とプロボクサーとしてデビュー、青は藍より出でて藍より青し、将に出藍の誉れ、昨年、遂に世界王座を獲得、今までのレコードは44戦無敗でありまして、若き麒麟児の今後が益々楽しみです。

完全に僕の趣味嗜好に走ってしまった本日のブログでしたが、ご勘弁下さい。それでは皆様、楽しい週末を!!
スポンサーサイト



コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

しもごおり

Author:しもごおり
OSHブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QR