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THE BALLOON FISH (゜))<<

ええ~、今日も早い時間から大勢の皆様方にお集まり頂いて、お足元のお悪い中、誠にありがたい事でございまして、人より大きい頭を深く深く、これこうして下げますてえと、床にめりこんじゃうんで、痛くてしょうがないんですが、ブラジルの皆さん、聞こえますか~、何つって、漫才のサバンナの八木君(結婚おめでとう!)じゃないんですから、地球の裏側まで声が届く筈はございません。それにしても寒いですな。皆様より高い所に座ってますが何だか深々と冷えて参ります。昨日の大分は、何だかえらくどんよりとした空模様、ゾクゾクッと来やがるんでね、身体を暖めなくちゃいけねえや、ってんで、ここはひとつ鴨鍋をこさえまして、昼からお神酒を頂いて、だいぶ聞し召しちまいまして、顔は真っ赤っ赤、これじゃあまるで猩猩だ、という塩梅でございました。身体が温もる事暖まる事、鴨ってのは偉いもんですねえ、伊達に何万㌔も渡り鳥稼業をやってる訳じゃないですな、その肝臓をフォアグラにして喰っちまうんですから、人間ってのも業の深い生き物ですが、それにしても、こくのある脂肪に凝縮された旨味と少々血の味が滲む肉質なんざあ、何が合うって、米どころ新潟辺りの純米大吟醸かフランスはボルドーの赤か、てなもんですが、そんな贅沢は申しません。赤穂義士の四十七士が討ち入り決行前、蕎麦屋の二階で酌み交わしたという銘酒、創業永正二年、五百年以上続く灘の生一本、黒松剣菱さえたっぷり頂けりゃあ、何の文句もございません、って、今、お客さんから図々しいにも程があるよお前さん、とお声が掛かりましたが、酒を飲んで書と親しみ、将棋を指して絵を見て映画に行くぐれえしか、あっしには道楽が無いんでね、恐れながらお目こぼしの程を何卒宜しくお願い申し上げます。

あたくし、生まれも育ちも豊後大分、この温暖な地には多くの日本一がございますな。慶應義塾と一橋大学の創始者、天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずの福沢諭吉、軍神広瀬武夫、日本画の田能村竹田、海軍中将堀悌吉、彫刻家の朝倉文夫、洋画の高山辰雄に福田平八郎、多士済々ですな。そして、何と言っても温泉でござんして、源泉数に湧出量は勿論日本一、別府や由布院は勿論の事、日田に竹田に玖珠に国東、大分に九重に久住に宇佐、多すぎて地元の皆さんも良く分かっておりません。無論、鈍いあたくしも正確な数は知りません。続いては所謂どんこ、と呼ばれる乾し椎茸でございます。ほら、大相撲千秋楽に、優勝力士が一年分の椎茸を貰っておりますが、あれですな。肉厚でジューシーで旨味があって出し汁が出て、従来の椎茸の概念を覆される事間違い無しの逸品でございます。それにこれまた日本一のカボスを絞って食べた日にゃあ、極楽浄土の蓮の上、という心持ち、そして全国四万四千の八幡宮の総本山は宇佐神宮、そして豊予海峡や周防灘に別府湾と、その豊饒な海で取れる多くの魚達--鰯に鰤に太刀魚にカレイ、車海老伊勢海老岩牡蠣、鯵鯛伊佐木にカマス、蛸烏賊に渡り蟹、多くの貝類等々--はその種類の豊富さと味わいは全国一でございましょう。中でも、この時期のとっておきがござんして、それは河豚なんですな。銀座なんぞでちゃんとしたフル・コースを食べますてえと、平気で五万円なんて数字が飛び込んで来ますから、目ん玉飛び出るとはこの事でして、とてもとても手が出るものではございませんな。大分ですと、1万円にも満たずに美味しく食べられる店がごまんとありまして、おまけに、肝が付いてるんで。この河豚の肝、人間国宝の歌舞伎役者、八代目坂東三津五郎、関脇沖ツ海の命を奪った憎い奴、今でも素人の方が捌いて酷い目にあったりしてますが、全国では何故か大分だけで、この肝を食べる事が出来るんですな。この肝とタレで肉厚の刺身を食べまして、程良い暖かさの日本酒を飲みますてえと、法悦恍惚有頂天な心持でございます。この歓びを知らない全国の皆さん、是非大分にお越しになって、味覚極楽の世界を味わって頂きたい、切に願う所でございますな。

上方は商都大阪の都、そこの大旦那さん、ひょんな機会から、河豚を頂いたんですな。関西では、河豚の事をてっちりと呼びまして、この言葉、鉄砲から来てるんですな、そう中れば死んじまう、という訳でございまして、喰えば美味しいのは分かってる、ところがどっこい、下手すりゃあ見事命中、てっんで、怯えていたんですな。丁度良い具合に、出入りの商人の熊さんが仕入れの品を持ってやって来まして、どうだい熊さん、良かったらこの河豚鍋、食べへんか、と誘ってみたんですな。酷い大旦那があったもんで、憐れ熊さんは毒見役、という訳でございます。いえいえ、大旦那より先に箸を付ける訳には参りまへんわ、商人の掟だす、そうか、でもなあお前さんはお客やで、客より先に箸は付けられへん、と押し問答の譲り合い、途方に暮れてますてえと、これまた折良く物貰いがやって参りました。なあ、熊さん、先にあいつに食べさせて様子を見るのはどうやろ、それは名案でんなあ、食べた後、一刻経って何とも無ければ大丈夫らしいでっせ、と話がまとまりまして、物貰いに少々河豚をやりましたところ、数刻経っても何の変化もございません、寧ろ食べたそうにしているぐらいで、こりゃあ大丈夫だ、ってんで、やれ酒を持って来い、三味を弾く綺麗どころを呼んでくれへんか、踊りも頼むわ、と大はしゃぎ、二人で鍋の中身を全て平らげてしまいました。ほな雑炊にして貰おうか、至極満足の二人のところに、先の物貰いがひょっこり戻って来まして、「あれまあ、旦那さん方、大丈夫でしたか、ほな私もゆっくり呼ばれましょうか。」

十返舎一九の原作、二代目桂小南の名演で知られる「河豚鍋」の一席でございました。俳聖芭蕉が、あら何ともなや 昨日は過ぎて 河豚と汁、と詠んだ句はつとに広く知られる所、大分県ではこういった事は決してございません、皆様どうぞ連れ立ってお越しになって、絶妙な風味と滋味溢れる河豚鍋を是非ご賞味頂ければ幸いでございます。本日は生憎の霧雨が随分強くなって来た様子、どうぞお足元をお気を付けになって、ご無事なお帰りを。
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