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てふてふ ひらひら いらかをこえた 

温暖温順なる鎮西、西海道は九州の地、我が住みし豊後にも数日来より大寒波が訪れ、いと寒き日々なれど、今朝は殊の外、黒雲重く低く立ち込め、将に英国北部の暗欝な曇天を思い起こすもの也。寒波襲来を喜びけるものは我が飼い犬のみなりて、早朝勇んで野原を駆け廻る事、類稀なる誇り高き日本犬の血を継ぎしもの也とて、我が心も歓びに包まれり。過ぎし日々の寒き事尋常ならざるものなりしが、院内保育所の幼子らの元気溌剌たる歓声は、春の芽吹きを思わせ、思わず微笑が浮かぶもの也。嗚呼、それにしても寒き事甚だし。熱き珈琲を所望し、いざ体内を暖めん。

雪降れば 冬ごもりせる 草も木も 春に知られぬ 花ぞ咲きける、これ即ち、古の妙なる古今の調べ、三十六歌仙、紀貫之の和歌也。柿本人麻呂、大伴家持、猿丸太夫、源公忠、小野小町、いずれ劣らぬ才長けた歌人なれど、我、在原業平を最も好みたる。歌舞伎に言う色悪、色男 金と力は無かりけり、のモデルとなりし人物也。

おはようございます。今日は少々趣向を変えてみまして、文語体から始めてみました。きちんと文法に整ってるかどうか、全く自信がありませんが、間違いがあってもご愛嬌という事で、大目に見て下さい。それにしても寒いですよね~。何でも日本全域が雪だとか。昨日のテレビニュースでは都内で400人近い怪我人が出た由、皆様、車の運転やJRやバスでの移動には充分お気を付け下さい。

さて、今日文語体から入りましたのは、この間の日曜日に古い邦画をまとめて再見しまして、それこそ社長シリーズから成瀬から溝口から黒澤から、あまり好みませんが小津まで堪能する事が出来ました。勿論、現代では失笑する様な演出も偶には散見しますが、僕、何よりも心地良いのは、昔の俳優さん達の綺麗な言葉遣いなんです。特に女優さんですね。記憶の糸を辿って少々書いてみましょう。

まあ素敵ですこと。何がございますの。是非遊びにいらして。よそのお宅ではお行儀よくなさい。ずいぶんねえ。……かしら。それではおいとまさせていただきます。先程お電話を下さったのよ。あなたは召し上がる?ありがとう、いただくわ。ごめんくださいませ。ごきげんよう。おそれいります。宜しくお伝え下さいまし。お父様、お母様、伯父様。差し出がましい申し出でご免なさい、貴方様がもしご迷惑で無ければ、あたくしの家に来て下さっても構いませんのよ。

まだまだあったとは思いますが、ざっとこんな感じでしょうか。雅で品が良く、これぞ大和撫子、日本語って本当に美しいなあ、と感動しますし、成瀬巳喜男監督の「流れる」なんて、芸達者な女優さん達の共演ですから、まあ見事な言葉遣いを味わえますよ。山田五十鈴に田中絹代に杉村春子ですもんねえ。本当に、当院職員の研修に使いたいぐらいの出来栄えです。この言葉遣い、明治時代の文明開化から始まり、所謂山の手言葉、或いはお嬢様言葉と言われていますが、起源は江戸時代からの女言葉らしいんですね。アメリカとの戦争に大敗してから廃れてしまったんです。

それにしてもアメリカのやり口ってのは酷いものです。流石にアングロサクソンの非道ぶりは敵ながら大したもんだ、と感嘆しますねえ。戦争に負ける前までは、歴史的仮名遣い(旧仮名遣い)を日本国民全員が使っていました。平安時代から連綿と続く仮名遣いは、昭和21年にGHQによって廃止、僕達が今使っている現代かなづかいへと変更、ローマ字教育も始まります。漢字も同様なんですよ。これも同じく平安時代に出来上がり、千年以上の時を経て、僕達が親しんで来たものです。これについても昭和24年、GHQにより、難しい漢字は廃止、新字体を採用する事となりました。例えば、獨→独、龍→竜、瀧→滝、といった具合です。大体、戦争に負けたからって、その国が千年以上使って来た言葉を止めさせる、そんな無理難題、無法が通ると思ってんのかい、このコンコンチキめ。どうやらアメリカは、正面切って喧嘩を売って来た日本が余程恐ろしかったのでしょう。最終的には日本語を廃止し、英語或いはフランス語の採用を考えていた節があり、それでローマ字教育を始めた、というのが定説とされています。日本人の精神から骨抜きにする政策を矢継ぎ早に打ち出した訳ですね。この詳細は、以前の本ブログでも触れましたから、割愛しましょう。そして今も尚、アメリカの多大な干渉が長年に渡って続いている事を、忘れてはならないと思います。

このよふな侮辱は許し難し、決して忘るる事なかれ、アメリカのやり方はどふ考へてもおかしひ。

思わず拙い旧仮名遣いになりましたが、お茶の水大学数学教授、名エッセイストとしても知られる藤原正彦先生の名著、「祖国とは国語」という本がありますので、是非ご一読をお勧めします。

では最後に、俳人正岡子規の候文を、当院に来られる患者様へのメッセージとしまして、本日はこれでさやうなら、また明日お会いしませう。

啓 一真一疑、一驚一喜、とうとう本ものときまりて御入院まで相済めば、とにかく安心致し候。ただ此の上は気長くご養生さるべく候。不自由なことがあれば、御申し越し下さるべく候。

一月二十五日夜                              子規
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おばんでやんすなりけり

今も今!たった今

いとまめ男ありけり(笑)

決して 東下りなさらないでおくんなまし!(笑)

しもごおり さん(笑)

ほんま!まめやし 興づら~

大変楽しく拝読させていただきました(笑)

讃岐国より只今帰郷せり(笑)

No title

井出さん、いつもコメントありがとうございます!

帰省先からお帰りになったんですね~、四国も寒かったでしょう…。

蕎友館さんのブログの綺麗な写真、いつも見るのが楽しみです(^^)。

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