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☃ A SNOW FAIRY ☃

昨晩は親友のMさんと飲みに出まして、楽しい一夜を過ごす事が出来ました。将棋を指したり、ももいろクローバーZをYOU TUBEで見たり、愚痴を聞いて貰ったり、焼酎をこぼしたり、Mさん、本当にありがとうございました!それにしても昨夜は寒かったですね~。お店に着くまで僅かな距離を歩きましたが、思わず声が出る程の凄まじい強風、天気図を見ると、日本全国に雪マークが付いていましたから、読者の皆様も凍える思いをされたのではないでしょうか。

雪は天からの手紙である、とても美しいリリカルな言葉を残したのは、雪の結晶の研究で知られる物理学者、世界で初めて人工雪を作った故中谷宇吉郎教授です。皆様はどの様なイメージを雪に対して思われるでしょう?かまくらに雪合戦、スノーボードにパウダー・スノー、雪おろしにアイス・バーン、雪だるまにスキー、こな雪 つぶ雪 わた雪 ざらめ雪 みず雪 かた雪 春待つ氷雪、ってこれは新沼謙治の名曲「津軽恋女」の歌詞ですが、僕はなんといっても雪女でしょうか。そう、小泉八雲、ラフカディオ・ハーンです。

このハーンさん、非常に面白い経歴の方でして、アイルランド人の父とギリシャ人の母との間に生まれ、その両国は勿論の事、フランスやギリシャにカリブ海、ロンドン、アメリカ、インドと渡り歩き、まるでボヘミアンかバカボンド、はたまたコスモポリタンか、という放浪ぶりだったんですね。16歳で事故により左目を失明、当時はまだ19世紀でしてタブー視されていた黒人との結婚と離婚、優秀な新聞記者として鳴らしていましたが、居酒屋を経営し、出版社通信員として40歳間際になってから来日し、東京帝国大学の英語講師となり、作家となり小説のみならず、評論に随筆に紀行文と、欧米でもベストセラーとなり、日本人女性と結婚、帰化して日本人となり、日本国から叙勲を受け、島根県松江や熊本、神戸と東京に住み54歳で死去、将に波乱万丈という言葉通りの人生でした。彼の経営していた居酒屋は、「不景気屋」と言いまして、クレオール料理が売り、という珍しいスタイルなんですね。クレオール、あまり聞き慣れない言葉と思いますが、別名をケイジャンとも言い、アメリカ南部はニューオリンズ、ジャズ発祥の地ですが、ここはメキシコ国境に近く、フランス人やスペイン人、そしてイタリア人が移民として多くやって来た地でもあるんです。よって、上記の国々に加え、アフリカから連れて来られた黒人奴隷達の味覚まで加味された、という多国籍かつ無国籍料理、フュージョンというかクロス・オーヴァーでありまして、如何にもハーンさんが好んだ様に思いますね。そうですねえ、ジャンバラヤという料理が最も知られていますが、パエリアというかピラフというか、はたまた炊き込みご飯の趣もあり、とても美味しいですよ。

さて、そのハーンさんの代表作は、皆さんご存じの通り「怪談」でありまして、耳なし法一に雪女、むじなにろくろ首、おしどりに葬られた秘密と、いずれも日本古来からのお話をアレンジメントしたものです。明治時代の水木しげる、とでも言えるでしょうか。そして、ハーンさんは隻眼ですし、日本語は余り上手く無く、節子夫人から聞いた話--妖怪に物の怪に民話に伝承--に、独自の視点と新たな解釈を加えて再構成した一連の作品群は、謂わば日本人と多国籍人(こういう言い方は無いと思いますが…)の合作と言えましょう。将にクレオール料理の趣でして、食が人を造り、名は体を表す、僕はハーンさんの小説が大好きです。

そして、忘れてはいけないのは、忘れ去られつつある日本の伝統美、故川端康成さんや歴史家の渡辺京次さんじゃありませんが、その美しさと情緒を、たおやかに丁寧にビビッドに表現している事でしょう。また、これはあまり指摘されませんが、隻眼だった事も彼の繊細な文章に大きな影響を与えた様に思います。異国の地を転々としていた長い放浪生活の中、聴覚に頼らざるを得ない場面は多かったと思います。ほら、耳なし法一なんて、眼を瞑ってお化けが来るのを待つ場面、あれはハーンさんの体感というか経験を増幅して書いたんじゃないかなあ。草木も眠る丑三つ時、盲目の法師がかき鳴らす大気を切り裂く鋭い琵琶の音。凄まじい吹雪の夜、何処からともなく現れる雪女、そして何時止むとも知れない風の音。この推測を裏付けるエピソードがありまして、ハーンさんは非常に虫の音を愛し、あれはコオロギだ、クツワムシだ、鈴虫だ、と幾つもの鳴き声を見事に聞き分けられた、という事。そして、懐石料理の折、お吸い物が出て、上蓋を取る際に、キュッキュッと音がしたそうなんですね、ハーンさんは「この器が鳴いています」と表現したそうなんですね。雪女にしても、黄泉の国から法一を連れに来る平家の亡霊達も、この世からしてみれば異邦人な訳で、ハーンさんのそれまでの人生のメタファー、と考えるのはうがち過ぎでしょうか?

その作家の歩んできた道、ライフスタイルや食生活、異性関係まで加味して小説を読むと、より一層読書が楽しめますよ~。

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