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空には本

おはようございます!今朝はこの冬一番の冷え込みだとか。皆さん、風邪には充分お気を付けて下さいね~。僕の廻りでも咳きこんだりマスクをしていたり鼻をかんでいる人が多く、何時うつされるかと戦々恐々です。

つい数日前でしたか、成人式が各地で盛大に執り行われた様で、誠に目出度いとは思うんですが、僕は現在の日本流のやり方にはあまり好感を持てません。市長や著名人から祝辞を頂いたり、ディズニーランドでやったりと、何だか成人式本来の意味からどんどんかけ離れている気がするんですよね。成人式そのものは、戦後すぐの昭和21年に生まれたものでして、当初は成年式と呼ばれていたものが現在の呼び名となり、1月15日から何時しか日にちも変わり、未成熟な若者達が酒を飲んで乱暴狼藉をはたらくものになってしまいました。

文化人類学の山口昌男先生や民俗学の故宮本常一先生じゃありませんが、成人式とは、或る意味イニシエーションであり、通過儀礼的な意義が大きかった筈です。今では遊園地のアトラクションとなったバンジー・ジャンプも、元々は南太平洋バヌアツ共和国の「ナゴール」と呼ばれた成人になる為の儀式ですし、かってのアフリカでは、ライオンを仕留めなければ男として認められず、古代ギリシャの都市国家、スパルタでは男子は7歳から厳しい軍事訓練を課せられ、やり抜かなければ市民権は貰えませんでした。確かトンガかサモア、う~んフィジーかな、ちょっと自信がありませんが、南半球の多くの島々では、男が成人し妻を迎えるに当たって、新婦の父が巨大な穴を幾つも掘るそうです。新郎は、バナナやヤシの実、塩魚や貝、タロイモや野菜等でその大きな穴を全て満たさなければ、結婚の許可は下りなかったそうです。女や家族を養う事が出来る事を実証してみろ、といったところでしょうか。

我が国日本においても、かっては元服や褌祝、という儀式がありました。元服は武家階級のものですが、15歳前後で神社に赴き、氏神の前で服や髪型や名前を改め烏帽子を付け、ここで初めて大人として認められ、様々な義務や責任も発生する訳です。女性も同様でして、今も尚、祇園の舞妓さんの間ではその儀式が残っていまして、丸髷に厚化粧にお歯黒を付ける事を半元服と称します。褌祝は民間のもの、親の前で褌を付け、性に関する知識を授かるんですね。又、若者組、という組織形態は長く続きました。15歳になるとその組に加入し、或る程度年を取ると脱退し、この通過儀礼を経て、村の中では一人前として認められるのですが、若衆宿、と呼ばれる住宅に寝泊まりし共同生活を送り親睦を図り、農業や村内の警備や祭礼の準備に当る訳ですね。これ、現代の視点から見ても、中々魅力的なシステムの様に思えます。

さて、当院では今年度は成人を迎えた職員はいなかった様ですが、該当者がいる際は、何時も記念品をお渡ししています。今後の研鑽を願う、という事で図書カードが多い由ですが、今日の本ブログは、成人を迎えたばかりの読者の方の為に、僕が、悩み苦しんだ思春期や、鬱々としていた成人の頃や、生き方に苦しんだ際に読んで、人生の道標となった良書を幾つかご紹介したいと思います。

まずは、「うらおもて人生録」色川武大著 新潮文庫、です。この色川先生、僕が全集を読破した数少ない作家のうちの一人なんですが、大ヒット小説で、漫画化や映画化もされた「麻雀放浪記」阿佐田哲也先生、の方が通りが良いかもしれませんね。そう、阿佐田先生と色川先生は同一人物なんです。エンターテインメントは阿佐田の名で、純文学は色川の名で、と使い分けていたんですね。さて、この「うらおもて人生録」、未読の方の為に詳しくは書けませんが、人が生きてゆく為の基本、そのセオリーとは何か、というテーマを平易な文章で綴ったものなんですね。僕自身を含めて、世の中の大多数を占める劣等生達へのエール、とでも言いましょうか。まず基本の基本として、愛し愛されること、から始まります。決して難解では無く、悩み苦しんだ際に、力を貰える事を僕が保証します。

続いて、「努力論」幸田露伴著 岩波文庫、であります。明治の文豪、露伴先生の書かれた本書の白眉は、半ばに記されています、「惜福」「分福」「植福」の項でしょう。聞き慣れない言葉ですが、これ、露伴先生の造語なんです。どういう意味かと言いますと、ほら、ついている人とついていない人、幸運な人と不幸な人っているじゃないですか。それを真面目に考察していくんですね。どういう人が幸運を招く事が出来、どういう人は不幸になるのか、これを丁寧に検証、歴史上の史実も踏まえてライフスタイルを提示する、という或る意味非常に画期的な書でして、僕、読後は目の前の霞が晴れた思いがしました。

最後に、「智恵袋」森鴎外著 講談社学術文庫、です。これは非常に具体的な書でありまして、同じく明治の文豪鴎外先生がドイツ人の処世訓を訳したものなんです。ドイツ人らしいというか、極めて実戦的、「他人の家を訪問する折の心得」「異国の地に赴いた際には」「職を変わるにおいて」等々、人の世における原理原則ってそう変わらないと言いますか、現在でも使えるセオリーが満載です。只一点、「決闘を申し込まれた際には」、これは使えん、と思いました。

その他にも、長い人生に灯りを灯す書として、「僕は運命を信じない 坂本博之物語」田中耕著 西日本新聞社、「インビクタス 負けざる者たち」ジョン・カーリン著 八坂ありさ訳 NHK出版、「赤めだか」立川談春著 扶桑社、「初秋」ロバート・B・パーカー著 ハヤカワ文庫、「将棋の子」大崎善生著 講談社文庫、「春の城」阿川弘之著 新潮文庫、「零戦燃ゆ」柳田邦男著 文春文庫、これらの10冊はきっと皆様の枕頭の書として、長いお付き合いが出来ると、僕、確信しています!成人の方も、もう過ぎた方も、これからの方も、是非お手に取って頂ければ幸いです!
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