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今年竹

皆様、週末は如何お過ごしでしたか!?僕、昨日は床屋に行き、雑用を済ませましたら、出張の疲れがドッと出てしまいました…。何せ移動の連続でしたから、些か体重も落ちた感があり、こりゃいかん、せめて美味しい物を食べようと、頂き物や自分への出張のお土産、そしてスーパーに行きまして、食材を買い整え、早速調理しまして、色々と平らげました。魚好き もっとも鰯 好みけり、先ずは小倉の名物、鰯の糠炊き。別府湾で獲れたと謂う、スズキの塩焼き。佐賀の浅蜊の佃煮。北陸の名産、ホタルイカのボイル。阿蘇名物、山椒味噌。大分の鶴崎の畑で取れた、頂き物の沢庵。同じく大分は宇佐の炊き立てのヒノヒカリ。熊本のあおさ海苔と杵築の小海老を入れたお味噌汁。福岡産のほうれん草の煮浸し。宮崎産のトマトとキャベツのサラダ。そして灘の銘酒、黒松剣菱の冷や。少々食べ過ぎまして、午後からは睡魔と戦っていたのですけれど、全て国産の食べ物であり、安価ですし、日本人に生まれて本当に良かったと痛感しました。やっぱりねえ、夫々の食材がバランス良く役割を果たし、僕の血肉となった感がありまして、大満足でありました。

さて、今朝は当院の新入社員オリエンテーションでして、何と29人もの方々を前に僕、トップバッターとして、お話せねばなりません。でもね、つくづく思うのですけれど、皆さんが夫々の長所を伸ばし、のびのび生き生きと、日々勤務してくれたら良いなァと、切に願っています。先程、其の29人の方々の経歴を全て拝見したのですけれど、年齢も経歴も職歴もバラバラでした。当院のスタッフは本当に個性豊かであり、優秀な人材が揃いつつあると僕、感無量なんです。さっきの食材の話に例えて恐縮ですけれど、様々な人材が揃う事により、京懐石から中華から洋食から、フレンチからイタリアンにエスニック、どんな料理でもお客様にお出し出来そうですもんね~。

でね、今春は本当に素晴らしい映画が多く、今週は僕、時間が出来たら是非、前評判の高い、「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」を観に行く心算なんです。此の映画の世界でも、様々な職種がありますよね。お金を集めるプロデューサー。脚本家にキャスティング・ディレクター。現場を取り仕切る映画監督。カメラマンに大道具に小道具、メイクさんに音声さんにスクリプター。編集に照明に衣装さんと、多国籍の夫々な分野のプロが集結し、そして1本の作品を製作する訳です。此れ、映画のみならず、全ての組織・会社に共通する事と思います。お粗末な処ですと、ガバナンスやマネジメントなぞ皆無、ただただ感情に走ったり、損得のみしか見えず、徒に独裁的になったりして、其れでは傑作映画が撮れる筈がありませんぜ。

でね、僕、毎朝読んでいる新聞って、本当に感心するんです。勿論、新聞を全て信じている訳ではありません。政府に阿ったり、国民をミス・リードする事も多々ありました。でもね、毎日毎日、何十頁もある情報を、僅か100円少々で、僕達の元に届けてくれる訳で、其の日々の努力には頭が下がります。だって、政治経済株価、国際面に事件に芸能、将棋囲碁に漫画に広告、TVラジオ欄に読者投稿に社説と、凄まじいまでの情報量でしょ!?此の量を、ほぼ毎日ですもんねえ…。

閑話休題、昨日僕、岩波文庫から再発した、「今年竹」里見弴著、を読了しました。里見先生は白樺派の一員であり、文化勲章は勿論の事、幾つもの文学賞を受賞、映画製作や数々の舞台演出にも関わった、大変な才人なんですね。ところが、里見先生の諸作品の殆どは、疾うに絶版になっていまして、僕、1度読んでみたかったんです。で、此の「今年竹」、大正8年の作品でして、時事新報--彼の福澤諭吉先生が創刊した新聞社です--に掲載された、連載小説でありました。でね、読んで何故、今の時代に絶版になったのか、其の理由は直ぐに分かりました。本作は、妻子持ちでありながら、多くの芸者衆とラブ・アフェアを繰り返す中年男性達の爛れた日常、と謂ったお話でして、事の善悪は兎も角、うう~ん、しかし此れを福澤先生の新聞に連載してたって、大正時代って、今のモラルとは全く違うんですねえ…。とっても驚きました。

我が国の新聞連載小説の歴史を辿ってみましょうか。先ず、本邦初の新聞小説は、文豪夏目漱石の手に依る物でした。「それから」「門」「三四郎」「虞美人草」「行人」等々、彼の代表作の殆どが、新聞小説であります。そうですねえ、僕、漱石の良い読者とはとても謂えないんですが、其の主題は、「インテリジェンスのある明治人の苦悩」とでも申しましょうか。森鴎外先生も、漱石に対抗するかの様に、毎日新聞に「澁江抽斎」を連載します。此の作品、格調高い文語体の歴史文学でして、明治の人達は、此れをすらすらと読めるだけの教養があったのかと、僕、其処に感心しました。大正期になりますと、先の里見先生を筆頭に、谷崎潤一郎・永井荷風両先生の様な、少々Hな恋愛模様を主体にした、新聞小説が花盛りとなります。戦前戦中は、朝日新聞に長期連載となった、吉川英治の「宮本武蔵」の様な、勇敢な侍を描いた作品が、国民的な大ヒットになるんですね。戦争が終わり、高度経済成長期になりますと、些かアーバンな雰囲気の、獅子文六や阿川弘之に源氏慶太と謂った、明るい新聞小説群が人気となります。其れに続き、司馬遼太郎・松本清張の、戦後最大のヒットメーカーも、新聞小説で実力を競い合います。

そして今なんですが、何と申しますか、歴代新聞小説同様、現代の世相を象徴している感があるんですよ。僕が今、日本で一番実力があると確信している、女流作家の桐野夏生先生は、朝日新聞で「メタボラ」を、毎日新聞で「だから荒野」を、読売新聞で「やさしい大人」を夫々連載しました。未読の方の為、内容は詳しく書けませんけれど、何れもディストピア、今までの日本を支えて来た様々なシステムが崩壊するお話ですもんね。特に「やさしい大人」なんて、日本には福祉と謂う概念が無くなった近未来を描いており、主人公は渋谷を徘徊する、15歳の男の子のホームレスです。漱石の頃の、インテリ明治人の苦悩から、思えば遠くに来たもんだと謂う気がしてなりません。

僕達精神科のスタッフって、一般社会とは、どうも少し離れた処があります。せめて新聞小説でも読んで、此の激動の社会に取り残されない様にしないと。よおし、では此の後の新入社員のオリエンテーション、精一杯頑張って来ます!読者諸賢の皆様方も、年度替わりでお忙しいとは思いますが、共に頑張りましょうね!!
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