FC2ブログ

THE BROTHERS GRIMM

おはようございます。僕、自転車通勤でして、20分前後漕げば病院に到着するのですが、ここ数日は風が冷たくなってきたのを肌で感じます。今年は秋が短いそうで、いきなり冬が来そうな勢い、東北の仮設住宅で暮らす方々の事を思うと胸が痛みますが、特に今日はこの秋一番の冷え込みだそうで、そろそろ通勤時には薄手のコートが必要ですね。皆様も風邪には充分お気を付け下さい。

さて、先週末は体調を崩して仰臥してばかりでしたが、何もせずボ~ッとしていますと、想念が飛び交い、様々な事を思い出したり調べたくなったりします。随分前に読んだもので「鬼の研究」馬場あき子著 ちくま文庫、という本がありまして、その事を思い出したのですが、著者は歌人であり、能の研究で知られ、数多くの文学賞を受賞した文芸評論家、内容はタイトル通りでして、鬼とは何者?なんですね。

僕なりの考えを加味して大胆に要約してしまいますと、鬼とは、まず人間の暗部、暗い情念--嫉妬、憤怒、欲情、蔑視--を体現した存在であるという事です。ほら、能面があるじゃないですか。僕、あれは世界に誇れる日本の伝統芸能と思いますけれど、あの出来って凄くないですか。基本形は60パターン、細分化すると約250種類あると言われていますが、お爺さんである翁や尉の面、生霊や死霊を扱った怨霊の面、神霊に狂言の面。女性を表現する面だけでも、淑やかな少女から知的で都会的な中年女性から多くの老女から嫉妬に狂う般若まで、平安時代に表現しているんですから、将に驚異的、アメージングとしか言えませんし、世界中にファンがいるのも納得ですね。そして、鬼の面です。赤い肌、大きな瞳、頭には角が生え、巻き毛の頭髪、鋭い爪と牙、虎の毛皮を腰に巻き、という姿を連想しますが、僕、これって白人なんじゃないか、と思うんですよ。天狗もそうですが、顔のフォルムがアジアじゃないですよね。ロシアの漁師が日本海で漁をしていて、嵐で日本に漂着、街中では暮らせず、山中に逃げ込んだのでは?なんて夢想してしまいます。

節分の日の歌にある様に、鬼は外界から来たものであり異質で異形のもの、と言えるでしょう。鬼の存在が、「宇治拾遺物語」や「今昔物語」、「伊勢物語」といった各種文献に現れるのは平安期でありまして、この時代は、古代から中世への過渡期とも言える時期、奈良時代からの中央集権制が壊れ現実と乖離し、陰陽師のお告げで国政が左右され、天皇は幾度と無く変わり、武士が生まれ幕府が開かれる、という激変期です。世は乱れ混沌としますから、盗賊や追い剥ぎも鬼と呼ばれたでしょうし、中央集権制から外れた人達--サンカと呼ばれる山岳民族、仏教では無く山岳信仰の山伏、帰化人、大和朝廷に敗れた出雲の民達--も異なる価値観ゆえに鬼の扱いを受けた事でしょう。史上最も有名な大江山の酒呑童子は、京から金銀財宝や酒、姫をさらって来ては召使いにし、御殿の様な家に住み、多くの鬼どもを従えた頭領、という話ですから、こりゃあどう見ても山族の親玉でして、実社会からはじき出されたアウトサイダーの象徴ですよね。

また、日本各地に鬼の存在があった、というのも軽視出来ない様に思います。東北圏の多くで、なまはげの行事が今も尚行われていますし、全国各地の日本建築の屋根には鬼瓦があり、僕達大分県民に所縁のある別府地獄めぐりでは、鬼山地獄がありますもんね。何故ワニが沢山いるのかは良く分かりませんが(^^)。そうそう、京都左京区八瀬には、鬼の子孫として知られ、歴代天皇の棺を担ぐ役を務めて来た、八瀬童子、と呼ばれた人々も多くいるんですよ。

「鬼」というスタイルではありませんが、平安時代のほぼ同時期のドイツでは、グリム童話で世界中に知られた「ハーメルンの笛吹き男」のお話が生まれているんですね。皆さんご存じと思いますが、何処からともなく現れた笛吹き男が、ネズミの被害で悩まされていた街を救うのですが、報酬は支払われず、怒った男は多くの子供達を連れ去ってしまう、という何だか不気味な話ですよね。これ、実話でして、ドイツ・ハーメルン市には当時の正式な記録が数多く残されているんです。何故子供達を連れ去ってしまったのか、諸説入り乱れ真実は闇の中ですが、古代から中世への過渡期において、ドイツと日本という違いはありますが、笛吹き男や鬼、といった異形の者が社会を脅かす、という構図は全く同じでして、偶然の符合とはとても思えません。

歴史ってとても奥深いもので、少し角度やアプローチを変えるだけで、新発見や新たな解釈が生まれる様に思うんです。だから僕、中近東から中南米から少数民族の歴史、神話から伝承から言い伝えまで、興味津々でして、書店廻りは一生止められませんね(^^)。ど素人の僕による、我流の文化人類学と史学とでも言える今日のブログでしたが、皆様いかがでしたでしょうか?自分が興味のある事ばかり書いたんで、受け入れてもらえるかちょっと不安ですが、このブログの言う事聞かない子はいねえが~、笛吹いてどこかに連れてくずら~、という訳で又明日お会いしましょう!!
スポンサーサイト



コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する