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☽☀ 夕暮特急 ☆★

正月や 宵寝の町を 風のこゑ、お屠蘇気分も漸く抜け、今日から仕事始めの方も多いかもしれませんが、皆様、此の三連休、如何お過ごしでしたか!?僕、些か体調不良で風邪気味、どうしても行きたい映画があったのですけれど断念しまして、終日大人しく静養していました。そうそうご酒を戴く訳にも行かず、専ら読書とTV三昧、でも、ラグビー観戦がじっくり出来て、勿怪の幸いでありました。社会人・大学・高校と、夫々のカテゴリーのトップ・レベルの試合を観たのですけれど、いやァ、ラグビー日本代表の躍進の所為か、以前より格段にレベル・アップした気がしましたねえ。オールド・ファンの僕としては臥薪嘗胆が実り、嬉しい限りでしたけれど、非常に興味深かったのが、シンクロニシティと申しますか、特に大学・高校の全国大会決勝戦、殆ど同じ様な試合展開だったんですよ。即ち、戦力に劣る側のゲーム・プランが実り、試合終了間際まで有利に進めるも、一瞬の隙を突かれ惜敗と謂う形でした。何だかビデオのリプレイを観た気がしましたけれど、勝った側の帝京大と東海大仰星高にはおめでとう、負けた方の明治大と大阪桐蔭高はご苦労様でした。好ゲームでしたし、試合が終わればもうノー・サイド、選手の皆さん、次の進路に向かって頑張って下さい、心から応援しています!

旅に病んで 夢は枯野を かけ廻る、僕、体調不良で余り動けなかったものですから、ベッド・トラベルと申しますか、せめて脳内の中だけでも旅をしようと、鉄道旅行作家の本を読み耽っていました。日本の鉄道文学の作家と謂えば、内田百間、阿川弘之、宮脇俊三のお三方ですけれど、皆さん何れ劣らぬ名文家なんですよね。でね、先にシンクロニシティと謂う言葉が出ましたけれど、此の3人、共通項が本当に多いんです。先ず、全員が東京帝大卒でしょ。そして皆さん、名家のご出身です。内田先生は岡山の大きな造り酒屋の一人息子であり夏目漱石門下、陸軍士官学校・海軍機関学校・法政大学のドイツ語教授を務め、作家に転身しました。阿川先生は満州の大会社の経営者の息子さんでして、支那方面艦隊司令部の海軍大尉として従軍後、志賀直哉に弟子入りして作家となりました。宮脇先生は、父君は衆院議員であり実業家です。ご本人は中央公論社の編集長及び重役を長年務め、西洋史中国史日本史に大変詳しく、モーツアルトと西洋美術に造詣が深いと謂う、とても立派な経歴を持ち、作家となりました。皆さん、立場や時代は違えども、大変な知識人であり大インテリなんですよね。其れがどうして汽車ぽっぽに夢中になるのか、ネッ、何だかシンクロしてますでしょ!?しかもね、此の3人、ご自身の教養や知識を、なるべくと謂うか殆ど、文章に出さないんですよ。奥床しさと申しますか、行間の美と謂いますか、本当に美しい日本語でして、未読の方には是非ご一読をお勧めします。

此れ、海外でも同様なんです。イブン・バットゥータ、世界で最も偉大な旅行家と謂われている人なんですが、彼は1300年代の人でして、日本では鎌倉時代の終わり頃、モロッコに生を受けました。彼はウラマー、即ち法律家であり、国の指導者の家に生まれたのですが、旅の魅力に憑りつかれたんでしょう。21歳の時、聖地メッカの巡礼の旅に出たんですが、帰国したのは其れから24年後でした…。アフリカ・中近東・インド・東南アジア・中国を旅しまして、書いた本の名前が「大旅行記」全8巻、うん、確かに其の名前、ぴったんこでありましょう。「鉄道大バザール」、ポール・セローと謂うアメリカの作家が書いた、鉄路による世界一周の大紀行なのですけれど、訳したのが先の阿川先生でした。此のセローさんも、2つの大学を出て大学院を卒業した大知識人であります。又、「日本奥地紀行」で広く知られるイザベラ・バードさん、彼女は明治期にも関わらず、日本からカナダから、ハワイにインド、チベットにトルコ、モロッコに中近東まで旅し、著書として残した大紀行作家です。彼女も裕福な牧師さんの娘ですものね。

此れ、日本を代表する古典紀行文学を見ても同様でして、「土佐日記」の紀貫之は従五位の貴族の出であり、「更級日記」の菅原孝標女も公家の娘、「とはずがたり」の後深草院二条も、皇太子に仕える女官でしょ。時代が下がり、俳聖芭蕉の「おくのほそ道」「野ざらし紀行」にしましても、彼には有力なパトロンが多くおり、財政面で多大なバック・アップを受けました。明治期の鴎外の「独逸日記」、永井荷風の「西遊日誌抄」にしましても、両文豪とも名家の出であります。

でね、僕、此れら一連の紀行文学について思うのが、一種の貴種流離譚と申しますか、高貴な人が、其の立場や身分を棄て、日常から脱出、世俗とは一線を画し、何の用事も無い漂泊の旅をすると謂うフォーマットが、千年以上前からあった様に感じるんです。惜しむとて 惜しまれぬべき 此の世かな 身を捨ててこそ 身をも助けめ、古の西行法師に通ずる処があるんじゃないかしらん。ちっとも高貴な家の出では無い僕ですら、「何処か旅に出たいなァ…」と、日々常々思う位ですから、此の手の紀行文が、ずうっと廃れないのも分かる気がしますよね~。

特に鉄道文学に至っては、先の従来のフォーマットに加え、旅情や抒情、感傷に憂愁と謂った情緒が加わりますから、如何にも日本的で堪りません。鉄道って最早、レトロであり、滅びゆく物への哀歌と謂った趣があります。でね、花柳小説と謂うジャンルがありまして、芸者さん達を題材にした物なんですが、此れも又、消え行く存在でしょ。ですから、鉄道紀行文学に構造が良く似ているんですよ。其れを手掛けた吉行淳之介、舟橋聖一、丹羽文雄、志賀直哉、永井龍男、佐藤春男、里見弴、織田作之助、そして永井荷風と、当代屈指の名文家揃いですものね。そうそう、最近の方では、領家高子さんと謂う女流作家が、花柳小説の傑作三部作、「向島」「墨東」「言問」を書かれて驚きました。領家先生、寡作な方ですから、余り目立たないのですけれど、東京外大を出てロスで仕事をされたと謂う、大変な才媛ですものね。

週の初めから、僕の趣味の話に終始、長々とお付き合い頂き恐縮です。インチキ文藝評論家となりまして、大変失礼致しましたm(__)m。でももし、ご興味を覚えた方がいらっしゃったら、是非書店に行かれて、鉄道紀行文学の本を手に取られたら幸いです。アッ、そうだ、松本清張の一連のミステリーでも、鉄道がふんだんに登場しますから、日本情緒に浸れる事請け合いですよ!よおし、では、頭を切り替えまして、今週は中々ハードですからね、とりあえず朝の打ち合わせに行って来ます!読者の皆様方もいよいよ忙しくなるかと思いますが、お互いに頑張りましょう!!
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