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♪ 新世界より ♪

今朝の大分は左程寒くは無かったんですが、此れから週末にかけて気温は下がる一方、今度の日曜日なぞ最低気温が1℃の由、今しばし しばしとかぶる 蒲団かな、でありまして、もう立冬を過ぎ、小雪大雪の節ですもんね。そりゃ寒くなって当たり前、皆様、風邪やインフルエンザには充分お気を付け下さいね。

さて、毎朝恒例、愛犬の甲斐犬のコロちゃんの散歩を済ませて出社、日経新聞の電子版を見ていましたら、非常に興味深いニュースがありました。先月あったチェコの下院選挙で、反イスラム政党が躍進したと。其の党を率いたのが、日系のトミオ・オカムラ氏の由でして、彼の特集記事だったんです。オカムラさんは、お父さんが日本人、お母さんがチェコ人の45歳、東京のマンモス団地である、高島平のご出身です。幼少時にチェコに渡るも、17歳の時に当時の共産党政権が崩壊、日本に戻られるんですね。しかし様々な苦労をされ、馴染めずチェコに逆戻り、日本語教室教師や、日本人観光客向けのガイドとして成功します。其の特殊な体験を本にすると其れがベストセラーとなりまして、頻々とTVに出演、そして政界に転身した、と謂う訳なんです。オカムラさん、チェコの有権者の10㌫の票を集め、議席数では第3党となり、其の党首ですから、もしかして連立政権となれば、大臣の座を射止めるかもしれません。オカムラさん、どうやらイスラム教徒を極力排除する主張をされてまして、僕、其れはどうかと思うんですが、彼の様な方がチェコに現れたって、何だか象徴的な気がしたんです。

と申しますのは此のチェコ、ヨーロッパの中でも、際立って特異な国なんですよね。古代には、スコットランドやアイルランドのケルト系の人達が暮らしていたんですが、ドイツ系のゲルマン人に占領されます。其の後、モンゴル+ハンガリー系のマジャール人に支配されます。一時期はチェコ人の国王も出るのですけれど、ポーランドから、オーストリアから、スウェーデンから、またまたドイツから、服従を余儀無くされます。其の間、プロテスタントとカソリックの苛烈な宗教戦争があり、ソ連に攻め込まれ共産主義国となり、挙句の果てにはスロバキア地方が独立し、現在のチェコ共和国となりました。ネッ、複雑過ぎるでしょ。ですから、誰を何を信じて良いのか分からず、欧州では珍しく、国民の大半は無神論者なんです。チェコ人には多くの民族の血が入っている訳で、日本人のハーフであるオカムラさんが台頭しても、おかしくは無い土壌があったと謂えましょう。

国の成り立ちも不安定でしたし、実存と不安とでも謂うんでしょうか、チェコを代表する人達って、人間の存在の本質に迫る方が多い気がするんですよ。最も有名な人は矢張り、作家のカフカでしょうか。彼の諸作品、若かりし頃に一応読みましたけれど、代表作である「変身」は、自分が或る朝目覚めると巨大な芋虫になっていた、と謂うお話でしょ。「審判」は、理由の分からないまま裁判を起こされ、無残に死んで行くお話。「城」は、王様に雇われた測量士が、どうしてもお城に入れないストーリー。「失踪者」は、少年が様々な出来事に翻弄されながら、アメリカ全土を放浪するお話でした。僕、読んでいてどんどん不安になった記憶がありますけれど、チェコ国が置かれていた立場其のもの、と謂う気もしたんですね。アカデミー賞を2度獲得した名匠、映画監督のミロス・フォアマン、幾多の傑作がありますけれど、彼も又チェコ人であります。「カッコーの巣の上で」「アマデウス」「宮廷画家ゴヤは見た」「マン・オン・ザ・ムーン」、題材は全て異なるんですが、何れも人間の本質に迫る、鬼気迫る作品群でした。遺伝学の父と呼ばれるメンデル、彼もまたチェコの産ですよね。「メンデルの法則」ですけれど、遺伝子の研究、此れもまた、人間とは何か、と謂う事ですものね。ドボルザークの「新世界より」、スメタナの「わが祖国」にせよ、勿論此の偉大な作曲家のお2人もチェコ人ですが、タイトルの通り、国のアイデンティティを、交響曲で表現したのではないでしょうか。

大き河 ドナウの遠き みなもとを 尋めつつぞ来て 谷のゆふぐれ、此れ、歌人斎藤茂吉が、チェコ一帯を清遊した時の句ですけれど、僕、彼の国に行った事はありませんが、料理は食べた事があるんですよ。四ツ谷だったか代々木上原か、亡母と共に、チェコ人が営むお店に行ったんですね。メインはタルタルステーキでして、此れ、生の牛肉の上に生卵と香辛料が乗った物なんですが、まァ韓国のユッケと同じでありましょう。此のタルタルとは、タタール人の意でして、モンゴルの遊牧民なんです。ジンギスカンの時代、此のタタールの兵士達は欧州まで攻め込んだ訳で、此のタルタルステーキがチェコで出るのは、其の当時の血腥い歴史其のままでありましょう。ソーセージやビールの種類が矢鱈と豊富なのは、ドイツの影響でしょうねえ。魚料理は鯉でした。欧州料理の食材では珍しいのですけれど、此れを好むのは、鯉は神聖な生き物と謂うロシア民族、即ちスラブ系の人達なんですね。よって、チェコではロシアの影響も大きかった事を痛感しました。そして、ブランボラークと謂う、じゃが芋入りの、お好み焼きそっくりの料理が出たのですけれど、お店の人に聞いた処、ハンガリーが発祥の食べ物なんですって。最後に出たのがターキッシュ・コーヒーでした。此れ、トルコの淹れ方でして、コーヒーを水から煮立て、上澄みを呑むんですね。うう~ん、僕、チェコ料理を頂きながら、欧州の激動の歴史に思いを馳せた事を覚えています。又、母を亡くす寸前に、一緒に食べた料理でしたから、忘れられない思い出でもあります。

息を呑む程に美しい首都、「黄金のプラハ」と呼ばれる位ですけれど、街其の物が世界遺産でしょ。でも此のプラハにしても、華麗な大聖堂や、ユダヤ教の教会シナゴーグと謂った歴史的建造物があるんですが、其処に住む人達の殆どは神様を信じていない訳で、僕、こんな壮大な皮肉って無い気がするんですよね。しかし、其の虚無的なチェコ人にもイスラム教への不安感ってある訳で、其処を指摘して、日系人政治家が台頭して来たとは、とても興味深い事象の様な気がしてなりません。でもオカムラさん、徒に危機感を煽ったり、排他的な政策は取って欲しくないなァ…。彼がもし閣僚に成れば、今まで余り縁が無かった、日本とチェコの架け橋となるでしょうし、是非とも成功して欲しい、僕、そう願っています。

さて僕、今日は会食なんですが、そろそろ忘年会シーズンとなりまして、呑み過ぎない様に気を付けなくては。読者諸賢の皆様、季節柄もあり、此れから飲む機会が増えるでしょうが、肝臓にはお互い気を付けましょうね~(^O^)。
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