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エルサレム・ウィンドウ

いやァ、其れにしても蒸し暑いですねえ…。何でも、昨日は全国的にも、今年一番の暑さだった由でしたし、湿気が尋常では無かったですよね。常もなき 夏の草葉の おくつゆを 命とたのむ 蝉のはかなさ、此れ、平安期の後撰集だったかな、もののあわれを感じさせますし、とても印象に残る秀句と思います。でもね、むく犬や 蝉鳴く方へ 口をあけ、此れ、一茶の句なんですが、我が愛犬の甲斐犬のコロちゃん、其の儚い蝉が何故か大好物でして、夏が来る度、其れを楽しみにしています。息絶え絶えな蝉が、公園の隅っこなどに落ちており、未だ鳴いているんですが、其れを頭からガブリとやりまして、何だか可哀相な気もするんですが、犬にとって貴重な蛋白源の様ですし、彼女もどうやら満足気ですからね、毎年黙認しています。

さて、全国紙各紙で大きく取りあげられていましたけれど、イスラム国、ISが支配していたイラク北部のモスル地域が陥落しました。イラク首相は勝利を宣言、各国も称賛していまして、モスルって確かに要衝、イスラム国の勢力が随分と削がれた事は間違い無いでしょう。此のモスル、メソポタミア文明の頃から栄えていまして、2つの大河に挟まれて水運が盛んな商業地であり、そして肥沃な土地であり農作物は大層豊富、おまけに石油もふんだんに出るんですね。人口は200万弱、福岡と名古屋の間ですけれど、博多で毎日大量に石油が出たとしたら、そりゃあ街が潤って仕方がありませんよね。さて、其のモスルを喪ったのは、確かにイスラム国にとって痛いでしょうが、僕、彼らの抵抗はまだまだ続くとみています。

僕の見る処、イスラム国が台頭して来た事には必然性があるんですね。先ず、中近東の国々は、欧米から植民地にされ、はっきり謂って奴隷の扱いを、何百年も受けた訳ですが、其の上、国境線を勝手に決められちゃったんですよ。主としてイングランドが決めたのですけれど、其の土地毎の風土や部族関係なぞ考えず、己の利権のみで勝手に国境線を引いたんですね。中近東諸国が独立した際、イングランドはとても抑えきれずに逃げたんですが、其の当時の国境線が未だに残っており、紛争の火種な訳です。そして、息子の方のブッシュ大統領が、フセイン後のイラク統治に大失敗した事が挙げられます。だって、イスラム国の指導者達、例えばバグダディなぞ、米軍の収容所に居る時に、過激派との人脈を築いたと謂われてまして、此れ、藪をつついて蛇を出す諺どおりじゃありませんか。

もう1つ、忘れてはならないのは、中近東諸国には、西欧流の民主主義が根付いておらず、カリフと呼ばれる指導者や、王族や首長による独裁的な体制がずうっと続いているでしょ。女性の人権も無ければ、宗教的なタブーが多過ぎ、極めて閉塞的な社会ですもんね。そして、部族間民族間の対立があり、貧困や格差や失業問題があり、其れに加えて西欧諸国からの宗教的な偏見もあります。テロや誘拐等、方法論は大きく間違っていますが、先の矛盾を解決すべく、イスラム国が台頭した訳で、こりゃあ此の動き、中々沈静化しないと思うなァ。又、欧米国のイスラム国包囲網も穴だらけ、各国の思惑が入り乱れていますから、益々収まらない、と謂うのが現状でありましょう。僕、此れを治めるには、相互理解と寛容の精神と思うのですけれど、前途多難であります。でね、イスラム国って、どうも今までの国の概念が当てはまらないんですよ。そうですねえ、イナゴや鼠の大群にも似て、食糧のある処に移動、其処で犯罪や略奪を繰り返している節がありまして、占領した場所を統治すると謂う考えは薄い様です。しかも、ネット等を通じて、世界中に信者が居る訳で、様々な国でテロが頻発してますもんね…。今までの「国」と謂う考え方は通用しません。

確かにね、兵器1つを考えても、パラダイム・シフト、変遷がある訳で、かっての海戦では、戦艦が主力でありナショナル・プレステージ、其の国の威信の象徴でもありました。其れが飛行機や空母になり、そして原子力潜水艦となり、今ではステルス戦闘艦、相手のレーダーに捕捉されない艦船が主力ですもんね。今後は恐らく、AIやスーパーコンピュータを駆使した船を、各国が持つんじゃないかなァ。

閑話休題、フィリップ・K・ディックと謂う、SF界の大作家が居ます。昨日の拙ブログの仮説通り、彼も又、スコットランドにルーツを持つ人であり、全米各地を転々とした方なんですね。其れはさておき、彼の諸作品の多くは映画化されていまして、「ブレードランナー」「トータルリコール」「マイノリティリポート」、何れもハリウッド大作であります。さて、彼の作品群には共通項がありまして、何れもナイトメアでありディストピア、悪夢であり暗黒の未来を描いた物ばかりなんです。即ち、テクノロジーが進化して、人間は住み易くなる筈なのに、現実は管理社会となり、人々のアイデンティティは崩壊して行く、と謂う話ばかりなんですね。最も有名なのが「ブレード・ランナー」でして、世界的な傑作SFと謂われています。只、公開当時、余りに先取りであり新奇だった為、お客さんは全く入っていませんでした。僕、高校時代に、劇場で観てますから良く知ってます。其れはさておき、此の「ブレード・ランナー」、遺伝子工学により生まれた、レプリカントと謂う人造人間達は、奴隷扱いされて汚れ仕事に従事していると。其れに反抗するレプリカント達は、人間社会に密かに入り込み、テロや暴力で、復讐を企てると謂う粗筋です。

事実は小説より奇なりと申しますけれど、此の物語の図式、レプリカントを中東の民に置き換えれば、今の現実と、何だかそっくりな気がしてならないんですよ。作者のフィリップ・K・ディックの先見性には驚かされます。でね、大変有名な作品ですし、多くのバージョンがあり、僕は全ては観てませんが、公開された当時の物は、人間とレプリカントの共存共栄と謂うハッピー・エンドでした。そしてね、満を持して、「ブレードランナー2046」と謂う続編が、今年10月にいよいよ全国公開なんですよ。僕、予告編は劇場で観ましたけれど、何とも期待が持てる出来でして、今から楽しみなんです。メガフォンを取ったのは、大傑作「ボーダーライン」を撮ったフランスの新鋭、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督ですから、「ブレードランナー」の続編も、面白い事間違い無しでしょう。

でもね、つくづく思いますのは、ムスリムもクリスチャンもユダヤ教も、元々は同じ神様を拝んでいた訳でしょ。だから、3つの宗教の聖地は、イスラエルのエルサレムでみんな一緒な訳です。イスラム教ではアラー、キリスト教ではゴッド、ユダヤ教ではヤハウェ、謂い方や概念や捉え方の違いです。となるとですよ、夫々の指導者達が、数年間温泉宿に泊まり、美味しいご飯を食べお酒を酌み交わし、胸襟を開いてじっくり話し合えば、様々な問題は解決出来ると思うのですけれど、余りに楽観的ですかねえ!?
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