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☾☆ CITY OF STARS ★☽

引く波の 跡美しや 桜貝、日増しに春めく今日この頃ですけれど、皆様、週末は如何お過ごしでしたか!?僕、先週はわりかし忙しく、床に就く時間帯はバラバラ、よって食事も満足に摂れない事が多く、それでも早朝の愛犬の散歩は欠かせませんから、些か参っていました。昨日は貴重な休日、二度寝を楽しんだりしてたんですが、いかん、此のままでは、1日中寝てしまうと、冷水で洗顔、読書と映画を楽しみました。僕、文学的素養の無い田夫野人でありまして、村上春樹なんて、殆ど読んでいなかったんです。でも、どうした拍子なのか、思わず彼の新刊を手に取りまして、ふらふらと購入、第1部はとりあえず読了しました。村上春樹を読んだなんて、ホント、二十数年ぶり?ぐらいでありましょう。勝手なイメージなんですが、繊細な青年が沢山の女性と付き合いぐじぐじ悩む、というのが村上春樹と思い込んでいまして、違うんですねえ。僕、「パン屋襲撃」に「ノルウェイの森」、そして発売されたばかりの「騎士団長殺し」第1部しか読んでいませんから、こんな輩が村上春樹について語るなぞ、ハルキストからぶん殴られそうですが、どうかご海容の程をm(__)m。

僕、常々、作家って文体だと思っているんです。三島由紀夫なら絢爛たる比喩。志賀直哉ならば精密な風景描写。鴎外なら学識豊かな文語体。谷崎は、料理や女性を、舐める様に愛しむ様に精緻に記します。永井荷風や川端康成は、別の角度から自分を眺めている様な冷静さを感じます。開高健は熟語の使い方の巧みさ。海音寺潮五郎は男性的で凛々しく大らか。阿川弘之は物事のデッサン力はずば抜けています。宮尾登美子は何だか緻密な彫刻の様。林芙美子は観察眼の鋭さが光ります。とまァ、作者によってこれだけ違いがあるんですが、村上春樹って、大江健三郎や安倍公房よりアップ・トゥ・デートした感があり、より洗練された形の、完全なる翻訳体なんですねえ。へええと驚きました。平易でリファインされた都会的な文章でして、成程、僕、今やっと、彼が売れた理由が分かった気がしました。お恥ずかしい…。読んでいて、どこかの翻訳小説を読んでいる気分でしたもん。

でね、未読の方の為、内容については触れませんけれど、僕、村上春樹って、要するに究極の和洋折衷、資生堂パーラーのオムライスやナポリタンやコロッケ、という結論でありました。資生堂パーラーって、銀座にありまして、日本の洋食の最高峰と思うんですね。確かにどれも美味しく、誰しもが満足するんですが、イタリアやフランスで出る物とは全く別の、日本独自の洋食であります。コロッケって、元々はフランスのクロケットから来たんですね。コロッケの中身はじゃが芋ですけれど、フランスのクロケットは、日本で謂う処のクリームコロッケであります。即ち、ペシャメルソースにワインや海鮮が入ったのがクロケットなんですね。でも、明治期の文明開化の日本人に、何せちょん髷を結っていた人達に、いきなり本場のペシャメルソースと謂う訳にも行かず、じゃが芋を使って日本風にアレンジメント、そしてコロッケになったのでしょう。話を戻しまして、村上春樹は、其のクロケットの味を知っているけれど、和洋折衷、東洋と西洋の融合、イースト・ミーツ・ウエスト、という訳で、彼は美味しいコロッケを造る優れた日本職人、というのが僕の結論でありました。全国のハルキストの皆さん、怒らないで下さいね。でも此れ、福澤諭吉も漱石も鴎外も藤田嗣治も、優れた日本の人々は皆、通って来た道なんですよね~。つまり、高度でアカデミックな日本の教育を受けた人が、西洋の異文化と遭遇、其れをどう受容するのか、という図式でありましょう。

閑話休題、でね、昨日観に行って来ましたのが、もう直ぐアカデミー賞授賞式ですけれど、幾つ賞を取るのかが話題になっている、「ラ・ラ・ランド」でした。いや、正直、一言で謂えば王道、悪く謂えばベタ、凡庸な脚本と思うんです。ボーイ・ミーツ・ガール・アフター・ザット、とでも申しましょうか、男女が逢ってそして…、なんですね。で、あえてそういう分かり易い話にしたのも段々分かったんですが、俳優・音楽・演出・撮影が傑出していまして、此処でストーリーまで凝る必要は無い、という監督の判断と感じました。いや、ディミアン・チャゼルという監督さんなんですが将に麒麟児、弱冠31歳で此処まで撮れるとは、超新星と謂えましょう。僕の持論である、「優れた映画は冒頭から観客を其の世界に引きずり込む」のにも成功しています。尤も、親友のMさんに教えられて観た彼のデビュー作、「セッション」も傑作でしたからね。今回の素晴らしい仕事振りも、予想はしていたのですが、其れを大きく上回り、嬉しい誤算でした。古き良きハリウッドを再現した訳で、音楽と演出と撮影については皆様、是非スクリーンでご覧になって頂きたいです♪そして、主演男優のライアン・ゴズリングも勿論素晴らしいのですが、特筆すべきは、ヒロインを演じたエマ・ストーンでしょう。「アメイジング・スパイダーマン」でも可愛らしかったですが、今回の彼女はよりキュートでチャーミング、ガールズ・ネクスト・ドアの雰囲気もあり、とっても素敵です。特に、彼女の或るシークエンスは誠に圧巻でして、僕、思わず貰い泣きでした。こうなりますと、此の作品が幾つアカデミー賞を取るのか、其れが気になりまして僕、今朝WOWOWを予約録画した次第です。

評論家筋からも抜群の高評価の本作ですが、僕、観ていて感じましたのが、「原点回帰」という事だったんです。其の一例が、デジタル撮影では無く、あえてフィルムを使い、シネマスコープという昔懐かしいスタイルを採用しました。要所要所で、かっての名画へのオマージュも沢山あります。古くからの映画ファンなら、思わずニヤリとされるのでは。そうですねえ、食べ物の喩ばかりで恐縮ですけれど、オールド・ファッションド・ドーナツに、最新のフレーバーの甘味を付け、そしてビターな大人の隠し味とでも申しましょうか。本作のテーマはやはり、「原点回帰」、そして、「異文化の許容」だった様に感じました。

「騎士団長殺し」「ラ・ラ・ランド」、共にメガヒットでしょうが、僕、痛感しましたのが、時代と寝ると謂いますけれど、両作品ともそうなんですよね。将にタイムリーと申しますか、「東西融合」であり「原点回帰」であり「異文化の許容」、此れって、不安と不寛容と排他主義である現代社会へのアンチテーゼでしょ。僕、日頃は、村上春樹もミュージカルスも、殆どご縁が無いのに、何故書を手に取り、劇場へと足を運んだのかと問われれば、クリエイターと同じ時代を生き、同様の不安を抱えているから、そう思えてなりませんでした。此れだけの格差社会であり、アメリカン・ドリームなぞ夢の又夢でありましょう。此れ、アメリカだけで無く、欧州でも日本でも、どの先進国でも同様です。厳しい現実があるにせよ、其れでも夢は叶うという事がひしひしと伝わって来まして、こりゃあ、世界的ヒットは間違い無しでしょうね。

今日の拙ブログは、拙いながらも、文藝と映画の評論でありまして、未だ未読未見の方が多いとは思いますが、是非ご覧になって頂けたら幸いです。では、現実の世界に戻りまして、今日も仕事を精一杯頑張ります!!
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