FC2ブログ

波止場 

今日はいよいよプロ野球ドラフト会議でして、僕、勤務の都合上、オン・タイムでは見られないんですが、毎年楽しみにしているんですよ。表現は宜しくありませんが、謂わば、公開の入社式と謂うか、白昼堂々の人買い?でありまして、其処には、夫々の選手の進路希望は勿論の事、12球団の思惑や情報戦やお金も絡む訳で、僕、こんなに面白い番組って中々無いと思うんですよね。大変気の毒ではあるんですが、意中の球団に指名されず顔面蒼白になる人が居て、くじ引きで選手を引き当て満面の笑みとなる監督がおり、悲喜こもごもの、人間ドラマのライブと申しましょうか。またね、球界の人達って、良い意味で単純ですから、将に喜怒哀楽が其のまま表情に出るんですね。去年のヤクルトの真中監督、心底欲しかった選手をくじで当てたと思いインタビューを受けたんですね。「高山君、一緒に神宮で野球をやりましょう!」と、こちらも吊られる程の嬉しそうな笑顔でした。ところが、其れ、見間違いで外れくじでして、当たったのは阪神、そうしましたら金本監督が満面の笑みで大爆笑、途端に真中監督、まるでお葬式の出席者の様な、憮然悄然愕然といった表情でした。当の高山選手も唖然としておりまして、いやァ僕、申し訳無いと思いながら、笑ってしまいましたもん。さて、我が愛する阪神タイガース、誰を指名するのか気になる処です。今年の目玉は、何と言っても、驚異の防御率を誇る、大学生の田中投手でしょう。でもね、僕、何とか作新学院の今井投手か、履正社高校の寺嶋投手を指名して欲しいんですよね~。共に前途有望な好投手でして、先ず今井君は、ボールの切れと伸びとコントロールが素晴らしいです。寺嶋君は、高校生なのにもう、社会人で数年やっているかの様な貫録がありまして、其の如何にもやんちゃな面構えが気に入っています。勿論投げるボールも良いんですよね。でもねえ、どうやら今井君は中日、寺嶋君はソフトバンクらしく、あ~あ、トホホ…。でもせめて、今の阪神は投手もそうですが、内野手の層が薄いですから、せめてショートだけでも獲って欲しいなァ。

閑話休題、プロ野球はフランチャイズ制、夫々本拠地があります。やっぱり、どのチームも、其の土地にあったチーム・カラーがありますもんね。例えばホークス、地元九州の逸材をズラリと揃え、豪快ですもん。ジャイアンツですと、六大学のスターを集め、何処となく洗練されたイメージですよね。でね、僕、昨日、寝つきが良くなく、枕頭の書を読んでいたんですが、作家にも其れがある様に思いました。昨晩読み耽りましたのは、岩波現代文庫で復刻されたばかりの、「花と龍」、火野葦平先生の作品であります。昭和27年の作品なんですが、流石は映画化7回、ドラマ化4回というだけありまして、血沸き肉躍る、将に巻を擱く能わず、非常に面白かったですねえ。未読の方の為に、粗筋を簡単に記しますと、火野先生のご両親のお話を小説仕立てにした物でして、舞台は北九州の若松であります。火野先生の父君は沖仲仕--港湾労働者ですね。そうそう、小泉元総理の生家も、同様の仕事を生業としていました。--なんですが、度胸と義理人情で荒くれ者達を束ね、侠客としてのし上がるという、青年の成長物語であり、立志伝中のお話であり、当時の世相も描写され、喧嘩と恋も絡み、波乱万丈のストーリィなんですよ。当時の日本はアメリカに占領されていましたから、日本人よ、其れに甘んじず、誇りを持ち自立せよというメッセージも含まれ、いや、こりゃあ、メガ・ヒットしたのも分かりますねえ。僕、こんな骨太で雄大な物語を読みたいと、心底欲していましたから、読みながら、とっても嬉しかったです。またね、著者の火野先生ご自身も、大変豪快な九州男児でありまして、父君の造った「玉井組」は勿論、大勢の人達の面倒を見ながら文人として生きた訳で、其の情の厚さに、出会った人は皆、熱烈なファンになったとか。

僕、其の作家の本領は、風景描写に表れる、というのが持論なんです。火野先生の様な九州の作家は、非常に爽快と申しますか、凛々しい文体です。此れが都内の作家ですと、繊細で嫋やかなイメージでしょうか。試しに幾つか抜き出してみましょう。先ずは長崎生まれの白石一郎先生、そして鹿児島生まれの海音寺潮五郎先生、トリは江戸っ子の永井荷風先生です。

夜明けが始まっていた。水の上を這うような淡く頼りない燭光がさし、それにつれて海面に漂う藻草の燐光が消えてゆく。とつぜん血を流したような一条の朱の色が海面を走り、水平線の周囲が強烈な輝きにみたされたと思うと、深紅の太陽がせりあがってきた。まばゆい閃光がいちめんに放射され、同時に海の色が一変した。黒ずんだ海は濃緑色に彩られる。

おりから雲が切れ、明るい真昼の陽の光は、眼下の山々、平野、はるかな川に、黄金の矢のように射そそぎ、それらを一斉にもえ立つ炎のようにかがやかせた。万象が声をそろえて歓呼する感じであった。

堤の上に長く横たわる葉桜の木立は此方の岸から望めば恐ろしいほど真暗になり、一時は面白いように引きつづいて動いていた荷船はいつの間にか一艘残らず上流の方に消えてしまって、釣の帰りらしい小舟がところどころ木の葉のように浮いているばかり、見渡す隅田川は再びひろびろとしたばかりか静に淋しくなった。遥か川上の空のはずれに夏の名残を示す雲の峰が立っていて細い稲妻が絶間なく閃いては消える。

如何でしょうか!?どれも素晴らしい名文と思いますけれど、九州のお2人は男性的、都内の作家は女性的ですよね。やっぱりねえ、九州は景色が雄大ですから、豪快な文章になるのかなァ。ラーメン1つとっても、豚骨と醤油では、全く違いますもんね。出汁も豚骨と鶏がらでしょ。細麺と太麺でしょ。関東のラーメンには、鳴門巻きやほうれん草が入ったりしますが、九州では見た事がありません。逆に替え玉は関東では無いでしょ。

それはさておき、火野先生海音寺先生白石先生の様な、九州男児って、面倒見が良く武骨で骨太で硬派、義侠心に富み正義を好む、そういう良いイメージがありますよね。僕、血は水よりも濃し、というのは本当だなァ、と思いますのは、火野先生の血縁の方で、甥っ子さんなんですが、世界で活躍するドクターがいらっしゃるんですよね。其の名は中村哲先生でありまして、僕、インタビューや著書を読みましたけれど、将に国手、本当に偉い方だと尊敬しました。頼って来る者はとことん面倒を見るという、火野先生の血は、脈々と生きているんだと感動したんです。

さて、其の中村先生、九大卒業後、勤務医として働いた後、青雲の志を抱き、海外に雄飛します。赴任したのはパキスタンやアフガニスタンでして、何れも飢餓と戦乱の地でありました。中村先生、勿論診察もされているんですが、極限の地では、それどころでは無く、先ずは生きる事が最優先であり、其の為には水が必要不可欠だ、と思い立つんですね。ホント、海外に住めば痛感しますけれど、日本程水に恵まれている処はありませんからね~。水道水を飲めるだけでも幸せなんですから。僕、ネパールに行った際、其れを痛感しました。だって、水道から出る水は常に濁った茶色でして、飲むどころか風呂すらとても無理でした。さて、中村先生は、ドクターというよりも土木技師となりまして、井戸掘りと用水路建設に着手するんです。掘った井戸は1600本、そして25㌔を超す用水路が完成、其のお蔭で何十万人もの人達が助かったとか。でね、僕、泣いちゃったんですが、日本政府の援助は皆無、アフガンの地は戦乱が続き、そして国土の殆どが険しい山岳地帯であり、ろくな機材も資材も無いと。凄いのがね、戦国期や江戸時代の井戸掘りの技術を使い、何とか水を得たとか。水の確保が成り、そして必要な物は教育と心の支えだと、中村先生、今度は礼拝堂であるモスクや、学校建設に着手している由なんです。僕、偉いなァと感心しますのは、先生は実はクリスチャンにも関わらず、イスラム教の施設を建てるだなんて、本当にデカい器の男だなあと、同じ日本人である事を誇りに思いました。

先の「花と龍」、貧しい沖仲仕達の面倒を見る為、主人公は市会議員を目指し、社会の貧困や矛盾を無くそうと、大変な努力をするんですね。雀百まで踊り忘れずと申しますか、三つ子の魂百までも、火野先生の次の世代になっても、此の世をより良くしようと、海外の地で奮闘している訳で、人間到る処青山あり、中村先生、本当に素晴らしいドクターと思いますし、僕、及ばずながら、せめて募金ぐらいはしなくては!

よおし、今日も忙しないですが、九州の偉大なる先輩方に少しでも近づける様、精一杯頑張ります!
スポンサーサイト



コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

しもごおり

Author:しもごおり
OSHブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QR