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チキン・ジョージ 

いやあ、北欧から吉報が入りましたよねえ。此れで日本人は3年連続でノーベル賞受賞の由、大隅教授の快挙に、心より拍手を贈りたいと思います。ノーベル医学生理学賞を見事受賞した、大隅先生の研究はオートファジーの由、聞き慣れない言葉ですけれど、不要物を分解してリサイクルする細胞内の働きだそうです。此のオートファジーの働きにより、蛋白質がアミノ酸になったり、病原体を分解するとの事でした。此のオートファジーが、癌やパーキンソン病に大きく関与しているそうなんです。疾患の原因解明や画期的な新薬、そして新たな治療方法に結び付く事は必至だそうで、大隅先生、本当に凄い人と感服しました。其れもね、此の研究、他の研究者は見向きもしなかったそうでして、大隅先生はきっと、豊かな感性をお持ちの方とお察しします。しかもね、受賞後のコメントがまた素晴らしい物でした。「此の歳になって、豪邸や外車が欲しい訳ではありません。人様のお役に立てればいいなと思っています。若い人達の研究をサポート出来る仕組みを作りたい。其れが出来れば、社会的にノーベル賞の意味がある。私が生きている間に、其の一歩が踏み出さればと思います。」、うう~ん、偉過ぎます!大隅先生、人格的にもノーベル賞ですね!只、非常に気になりましたのが、大隅先生はこうも仰っていたんです。「日本の科学水準は極めて高い。只、今は過去の遺産を食い潰している。長期的な展望で仕事をする事が難しくなっていて、それだけは何とかしたい。」僕、つくづく思いますけれど、全く無意味な特殊法人や官僚の天下りに、兆単位の莫大なお金が流れていますよね。ならば其のお金、研究者の皆さんに有意義に使って貰った方が、余程人類の幸福に貢献すると思いますよ。為政者の皆さんには猛省を促したいです。

さて、其の他の研究も凄まじいですよね。理研の研究チームのマウスを使った実験では、感情や記憶を操作出来たそうなんです。マウスの脳内の、特定の神経細胞に光や電気を当て刺激した処、忘れていた古い記憶を蘇らせたり、人工的に特定の相手を好きにも嫌いにも出来る様になったとか。ひえ~、此れ、何だか背筋が寒くなる様な話と思いませんか!?

そして、もっと凄いのが、「ポスト・ヒューマン」と呼ばれる概念です。現在、人間のDNA情報は全て解読されてますよね。では何れ、人間に対する遺伝子操作も行われるだろう、という考え方なんですね。神をも恐れぬ所業、という感がありますけれど、人為的に、人間の遺伝子組み換えを行い、其れを何世代も繰り返すとどうなるのか、という事なんですよ。此の操作を続け、何十年かすれば、やがて全く異なる生物、即ち、「ポスト・ヒューマン」が生まれるだろうと。そして、其の間に科学や技術や薬は飛躍的に発達し続けるだろうから、其れをポスト・ヒューマンに使うと。そうなりますてえと、IQ500の頭脳と、100㍍を5秒で走る体力を兼ね備え、二枚目であり美女であり、寿命は300歳という、超人間が生まれるのでは、という考え方なんですね。何だか、ナチス・ドイツの優生学か、ニーチェの超人思想か、はたまた出来の悪いSFやアメリカン・コミックの様な話でして、ちょっと僕、怖いなァ…。でもね、此の遺伝子操作、かなりの処まで進んでいる事は間違いありません。と申しますのも、恐竜が進化して鳥になったと言われてますよね。今の遺伝子の技術ならば、鳥の遺伝子を逆に戻し、新たな、より優れた恐竜を造れるのでは、という事なんです。チキンにかけてチキノザウルスと勝手に命名してましたが、まるで出来の悪い大喜利ですが、此の話が出たのが2011年なんですよね。という事は、もっと研究が進んでいる筈ですから、何処かの研究室では既に、此のチキノザウルスが生まれている可能性がありますよね!?くわばらくわばら…。

僕のこよなく愛するアメリカン・コミック、マーベル社の作品に、「インヒューマンズ」というキャラクターが登場します。此の「インヒューマンズ」、人類と宇宙人の合いの子、という凄い設定なんですが、つい先日、木星の衛星であるエウロパで、高さ200㌔もの高さの間欠泉が吹き上がったとか。エウロパの表面は、ぶ厚い氷で覆われているのですけれど、其の下には、広大で暖かい海があると考えられています。全ての生命の源は海ですよね。となりますと、エウロパには、微生物なのか昆虫、或いは原始的な魚なのか、何らかの生命体が居る可能性が高いんです。とうとう、地球外生命体を此の目で見られる日が来るかもしれませんし、楽しみではあります。でもね、其の微生物を地球に持ち帰り、増殖させ、マウスに注入するとか、科学者達が必ずやりそうな気がするんですよ。そうしましたら、其れこそ、先のインヒューマンズならぬインマウスズ?でありまして、いやあ、僕の想像を大きく超えてしまい、善悪定かではありませんで、もう何とも言えません…。

でもね、僕、科学の進歩は大歓迎ですけれど、根底にある考え方が間違っていては、良い方向には進まない、そう思うんですね。縷々述べて来ましたけれど、大隅先生の研究は全く違いますが、ポストヒューマンにせよチキノザウルスにせよ、より優れた遺伝子のみで組織を構成し、社会を良くしようという発想でして、僕、其れは間違っていると思います。話は大きく遡り、かって、古代ギリシャに、スパルタという強国がありました。今も残る、スパルタ教育という言葉がありますけれど、此の国では、7歳から厳しい軍事訓練を施していたんですね。病弱だったり、訓練の途中に重傷を負った子供達は皆、谷に棄てられるという、凄まじい教育でした。其の甲斐あって、ギリシャ全土を支配する処まで行くのですが、自由かつ平等なシステムを持つローマ帝国には連戦連敗、結局は其の傘下に属する形となりました。此れ、第一次大戦後のフランス陸軍や、第二次世界大戦時の日本陸軍も同様でして、極端なまでの精神主義であり、24時間戦える超人兵士と謂うと大袈裟ですが、其処まで禁欲的に組織を造り上げたにも関わらず、両軍共に歴史的大敗ですもんねえ。又、此の優生学を国是としていたのが、悪名高いナチス・ドイツですが、ユダヤ人抹殺という暴挙に出た挙句、結局は滅びました。其のナチスが、劣等民族と決めつけたユダヤ人である、オッペンハイマーやアインシュタイン達が、アメリカに逃げ、其処で最強兵器である原爆を造り上げたんですから、皮肉なもんですよねえ…。そうそう、「ベスト&ブライテスト」という有名な本がありまして、此れはアメリカ政府の優秀な首脳陣のお話なんですが、米国内のエリート達の叡智を結集したのに、ベトナム戦争で完敗するという、大層シニカルな結末でした。

僕、つくづく思います。有能かつ優秀な人達ばかりが揃い、鉄の規律の組織を造り上げ、皆が同じ考えで物事を動かせば、一見上手く行く様に見えますよね。でも、上記の様に、スパルタも、日仏陸軍も、ナチス・ドイツも、米国政府も、完敗した訳でしょ。今の日本の国会にせよ官僚群にせよ、皆さん高学歴で立派な経歴をお持ちですが、原発も年金も少子高齢化も、何1つ解決出来ず、挙句の果てには借金1000兆円という大失敗じゃありませんか。

彼らが間違っていますのが、物事を動かすのは人の心であり、素質より努力であり、多様性である、という大前提が抜けている処でありましょう。幾ら天賦の才に恵まれていても、努力を止めて伸びる人なぞおりません。其の努力も、決して強制では無く、好きこそ物の上手なれ、じゃありませんか。其れも知らずにね、何でもかんでも規制だ規則だ法令だと押しつけがましく、画一的で閉鎖的で排他的、そして唯我独尊なシステムにしておいて、上手く行くもんですか。人が暮らす上で、楽しさや余裕や笑いが無くては、生きていけません。優生学を推し進めれば、お笑いも芸術も娯楽も無くなる訳で、其処には何の余裕も発展性もありませんやね。ですから僕、当院のスタッフの皆さんは、1日1度は大きく笑って欲しいですし、他者を認める多様性や寛容性、そして視野の広さを持って欲しい、切に切にそう願っています。

「やりにくい時代だけれど、冒険して、楽しいと思う事をやって欲しい。チャレンジすると、サイエンスはとても楽しくなる。」、冒頭触れました、大隅先生のお言葉です。其の心が無ければ、ノーベル賞受賞の栄冠は掴めなかった訳で、僕、此の言葉を拳拳服膺、此れまで以上に益々頑張ります!
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