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✈♪✉ あの娘のレター ✉♪✈

村雨の 露も未だ干ぬ 槇の葉に 霧立ち昇る 秋の夕暮、新古今集の寂蓮の歌ですけれど、其れにしても、最近の大分は雨ばかり、盛夏の暑い盛りの頃が嘘の様に、よくまァ毎日降りますねえ☂しかし、寂蓮先生の風景描写は誠にビビッド、鎌倉期の雨上がりの景色が、平成の今、鮮やかに目に浮かびます。僅か三十一文字なのに、素晴らしい表現力ですよねえ。この世では 酒と女が かたきかな 是非かたきに 巡り合いたい…、僕が造れるのは、此の狂歌のパロディが精一杯、いやはや何とも、彼我の才能の違いを思い知らされます。

其の才能という意味で、僕、昨日本当に感心したんですよ。お天気も下り坂、ならば映画日和と謂う訳で、封切られたばかりの、「ハドソン川の奇跡」、「ザ・ビートルズ エイト・デイズ・ア・ウィーク ザ・トゥアリング・イヤーズ」の2本を観て来ました♡此の両作品、ジャンルは大きく異なるんですが、何れ劣らぬ傑作でありまして、僕の中のランキングでは、本年度1位を争う映画でした。

先ず、「ハドソン川の奇跡」ですけれど、御年86歳、クリント・イーストウッド監督の新作であります。いや、もうねえ、此の人、撮る物殆どが傑作なんですが、此の歳にして未だ進化している感があります。日本を代表する洋画家、梅原龍三郎は晩年、最早筆を使わずに指で描き、幾多の傑作を物にしていました。又、落語の大名人、古今亭志ん生も、晩年の高座では、出るだけでお客さんが忍び笑い、噺に入る前のくすぐりで大爆笑ですもんね。将棋界も同様、最年少名人の谷川先生の色紙には、「名人、危うきに遊ぶ」と書かれていた筈です。ピカソもそうでしょ。晩年の頃の絵、僕1枚持ってますが、段ボールにクレヨンで描いた物でして、一見子供の落書き風なんですが、何処か人の心を掴んで離さないんですよね。漫画の神様、手塚治虫先生も、死の直前まで常に進化を続け、新たなチャレンジの繰り返しでしたもんね。クリントも同様でありまして、映画の全てを知り尽くしている感があり、どんな題材であれ、どんな俳優でも使いこなせるという、将に守破離、大名人の風格がありました。

緊迫感のあるオープニングで一気に其の世界に引きずり込み、後はもう、酒と食事と会話に酔い、気付いたら朝、ベッドの上で全裸で目覚め、隣には知らない男性が…と申しますか、お下品な例えで大変恐縮ですが、クリントの成すがままでした。96分という、映画では最適と言われる尺の長さ。主役も脇役も端役も素晴らしい。社会批判はさり気無く随所にちりばめる。緩急自在な演出、練りに練ったであろう脚本は非の打ちどころがありません。撮影は淡々としていましたが、ドラマティックな話ですからね、寧ろ抑え気味の方が、物語がより光るという事だったのでしょう。ご自身で造った音楽も上品ですし、ラストのシークエンスなぞ、往年のハリウッド黄金時代を想わせるかの様、何とまァ粋なと、僕、気付いたら泣いてましたもん。館内も皆すすり泣き、エンド・ロールも飽きさせません。食前酒のシャンパーニュから始まり、紅白ワインを嗜みながらソルベの付いた豪奢極まりないフル・コースを堪能、別室での食後酒のマールとキューバ産の葉巻で〆、といった、極上の一時でありました。

そうは書きながらも僕、実際は貧相な物でして、お昼を食べる間も全く無く映画の梯子、お次のビートルズを観ました。もうねえ、「ツイスト&シャウト」「キャント・バイ・ミー・ラブ」「エイト・デイズ・ア・ウィーク」「ハード・デイズ・ナイト」「ヘルプ!」「アイ・ソー・ハー・スタンディング・ゼア」「抱きしめたい」と名曲と世界的メガ・ヒット曲のつるべ打ち、隣のカップル、前に居たお兄さん、斜め前の妙齢のお姉さん、皆がリズム取るのも当たり前です♪気付けば僕も、足や膝が動いてましたもんね!其れもね、半世紀前の音源なのに、今のデジタル技術って凄いんですねえ、かって聞いたレコードにあったノイズなんて、全く無いのには吃驚しました。そして、ジョン・レノンの艶のあるシャウトも、ポール・マッカートニーの高音域も、此処まで声が出ていたのかと、今更ながら傑出した天才作曲家であり、ずば抜けた歌い手であり、そしてビートルズは優れたライブ・バンドだったと痛感しました。そうですねえ、学生時分に慣れ親しみ、毎日付き合いのあった先輩達から、素敵なタイム・カプセルが届いた感があり、僕、確かに受け取りました♡未見の方の為に多くは書けませんけれど、見所は大層多いですよ!

♪退屈なこの国に エア・メールが届く 遠くからとても遠くから わがままばかり言ってた お前にイカレてたよ 遠くからのレター おいら読めるぜ お前の匂いさ♪、RCサクセションの名曲、「あの娘のレター」を想い出し、僕、またまた涙が溢れました。 そしてね、ビートルズの面々はピカピカに輝いていまして、粋で頭が切れ歌が上手くカッコ良く、そりゃあ万人が惹かれるでしょう。本作の優れている処は、今までビートルズを知らない人でも、興味を持つ造りになっているんですよ。当時の社会との繋がりも丁寧に描いていますし、僕、知らなかった事が2つありました。1つは、スコットランドの野外の大会場のライブで、数万人の老人壮年青年少年の男どもが肩を組み、「シー・ラブズ・ユー」を大合唱するシークエンスです。此の「シー・ラブズ・ユー」、恋歌でして、武骨な男達には、正直似合わないんですが、其れでも魂を揺すぶる大合唱、まるでラグビーのワールド・カップの迫力でして、ビートルズは此処まで人気があったのかと再認識しました。そしてね、アメリカ公演の際、当時は黒人差別が凄まじかったですから、あらゆる場所において、有色人種は白人と同席出来なかったんですね。つまり、黒人はビートルズのライブは聴きたくとも聴けない訳です。ところが其れにビートルズのメンバー全員が猛反発、「僕達の音楽に肌の色は関係無い」と報道陣に啖呵を切り、黒人もライブに来られる事になり、やがて全米の会場が其れに追随するんですが、いやあ、しびれる程のカッコ良さでした!其れにしても、僕が幼い時、母に連れられ、ホテル・オークラの「山里」という和食堂に行きましたら、ジョン・レノンが近くに居たそうなんですが、何の記憶も無いんですよ。ジョンを覚えているのは亡母だけ、僕の人生の痛恨事の1つなんですが、妙などてらを来たおばちゃんは何故か覚えてまして、其れはオノ・ヨーコだよ!本当に悔しい!亡母曰く、「ジョンが、おしぼり下さいとか言ってたわよ。」ですって…。まァ、同じ場所に居た事だけでも感謝しましょう。

昨日は僕、傑作映画を2本も観る事が出来、とってもハッピー、素敵な1日でした。でもね、僕、気付いたんですよ。ビートルズとクリント・イーストウッド、共に世界的な大成功を収めた訳ですが、両者には共通点がありました。其れは、他者に対して偏見が無い事、誰にでもフランクにフラットに接する事、ポジティブで明るく自助努力の人、自分の世界を常に広げようとする人でしょうか。そして、自分の愛する人好きな物は、何よりも大事にするという事です。「ハドソン川の奇跡」、公開されたばかりで未見の方が多いでしょうから、内容に触れられないのが残念ですが、本作を脈々と流れるテーマは、人と人との繋がり、無償の心と愛ですもんね。此れ、裏を返せば、成功しない人間像も直ぐに分かります。他者に対し偏見のある人。立場経歴、性差年齢、役職力関係等々で人を判断する人。ネガティブで暗く人の所為にする人、自分の世界に閉じこもり他の価値観を排除する人。そして、自分の愛する人好きな物を大事にしない輩、でありましょう。幸い僕、クリントやビートルズの様にありたいと、一所懸命生きて来た心算ですし、今後も其れを変える気は毛頭ありません。となると、もしかして当院の裏山から大判小判がざっくざく、大成功するかも!?なんちゃって…。
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