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人狼 ZIN-ROH

思い立ったら吉日、善は急げでありまして、僕昨日、取る物もとりあえず、いそいそと映画館に行って来ました。アメリカン・コミックの雄、「スーパーマン」「バットマン」で広く知られるDC社が、満を持して公開した、「スーサイド・スクワット」であります。2億$近い製作費に加え、豪華な俳優陣、監督さんは「フューリー」「エンド・オブ・ウオッチ」がスマッシュ・ヒットした新鋭、デヴィッド・エアーでしたから、僕、否が応でも期待は募るばかりでして、本作を観る機会を、虎視眈々と窺っていたんです。其れにね、中々刺激的なTVCMもじゃんじゃんやっていましたから、ご存じの皆様も多いかと存じます。簡単な粗筋だけご説明しますと、強大な力を持つ、古代の邪悪な魔女と其の弟が現代に降臨、大暴れするんですね。其れを防ぐべく結成されましたのが、スーサイド・スクワット、直訳すれば自殺部隊、であります。要は、余りに強い強敵ですから、終身刑を喰らう様な極悪人にチームを組ませ、戦わせると。上手く行けば儲けものですし、失敗して死んだとしても悪人なんで構わん、という訳です。出て来るキャラクターも、スタイル抜群のセクシーな金髪美人が、ピチピチのホット・パンツとTシャツに身を包み、バットを振り回しやりたい放題であります。剣術の達人で緑の黒髪の大和撫子、炎を操る男に百発百中のスナイパー、投げ縄使いにブーメランの達人、爬虫類の特性を持つ怪人に瞬間移動出来る超人と続々登場しまして、先のヴィラネス、古代の魔女と相対する、というお話であります。些か荒唐無稽ではありますけれど、現在のCG技術は凄まじいですからね、僕、結構楽しみにしていたんです。

うう~ん、ところがね、開けて吃驚パンドラの箱と申しますか、此れ、ちっとも面白く無く、正直に書きますが、世紀の大失敗、愚作でありましょう…。いえね、所々ですが、目を見張る様なシークエンスもありました。劇中歌も、ラップのエミネムから、古いR&Bのエタ・ジェイムスから、有名な処ではストーンズにクイーン、通好みのCCR、ブラック・サバスかAC/DCのハード・ロックあり、中々素敵な選曲でした。先のホット・パンツのお姉さん、ハーレイ・クインを演じたマーゴッド・ロビー嬢も、キュートでセクシーで目を惹きました。悪役のカーラ・デルヴィーニュ嬢も、ミステリアスでエキゾチック、魅力的でしたもんね。剣術の達人を演じた福原かれんさんも、此れがデビュー作とは思えない存在感でした。男性陣も、ウィル・スミスが珍しくカッコ良かったですし、皆さん夫々主役を張れる演技力でした。此れだけ長所があるのに何故駄作か、皆さん不思議に思われるかもしれません。

其れがね、演出と脚本が全く駄目だったんですよ…。2億$も掛けて、良い役者さんを揃えてふんだんにCGを使って、本当に勿体無い…。大体ね、此のお話、大嘘じゃありませんか。ならば、ディティールに細かく拘る事、或いは現実の社会問題とリンクするとリアリティが出るのに、其処を全く怠っているものですから、あ~、こりゃホントに大嘘だな~と、お客さんは置いてけぼりなんですね。そしてね、副音声映画と申しますか、大事な事を、役者さんから口で説明されるもんですから、益々白けちゃう。ホラ、ダメな刑事ドラマでありますよね。電話を取ったら、「何?殺し?四谷三丁目だな?男二人組が逃走中か!よし、山さんとデカ長を行かせる!」ってねえ、口で言わず、映像で説明しなさいっての!でね、大事な処は、しっかり尺を取る、即ち時間を割いて、しっかり丁寧に描かないといけません。本作ならば、敵の悪役が何故ニューヨークを襲うのか、何処から来た魔女なのか、きちんと知りたいじゃありませんか。でも、其の説明は僅か1分程度でして、もうね、こっちは訳が分かりませ~ん。結局、魔女の目的は良く分からないまま、ところでお前誰やねん、何がしたいねん、という感じで終わってしまいました。此れ、主役であるスーサイド・スクワットの面々にしても同様でして、皆さん夫々が、精々1~2分の紹介シーンでしたから、感情移入のしようがありません。見せ場であるバトル・シーンも、夜の戦いという設定は兎も角、照度が合っていないのか、兎に角暗過ぎて、誰が誰やら分かりませんもんね。又ね、敵の身体の色が黒い設定でして、余計見づらいんです。もう、1800円と2時間を返せ~!

閑話休題、でもね、本作の設定である、悪人部隊と言いますか、前科者やはぐれ者、よそ者や問題児を集めた軍隊って、実は昔から世界中であるんですよ。フランスやスペインには外人部隊があります。イギリスは、ハイランダーと呼ばれる、スコットランド出身者だけの部隊があるんですね。グルカ兵、此れは皆様聞き慣れないと思いますが、イギリスがインドと戦争した際に採用した、ネパールの山岳民族の部隊です。高地に住み、急な傾斜にも慣れていますから、グルカ兵は山岳戦になれば世界有数の強さと言います。そして有名なアメリカのバッファロー・ソルジャー。此れは、黒人やインディアン、アジア系等、アメリカに住む有色民族を集めた部隊です。日系人だけを集めた部隊もありました。ソ連やドイツでは、スーサイド・スクワット同様、犯罪者部隊を本当に造り、相当な戦果を挙げたと言います。特にドイツは、人狼部隊と称しまして、年端の行かぬ少年達をゲリラ兵として養成、敵も子供なら安心するだろうと、テロ行為を奨励してたってんですから、鬼畜の所業と言えましょう。でもね、僕、どんな国の人も、嫌な面があると痛感します。要するにどの国も、犯罪者を有色人種を、激戦区に送り込み戦わせ、自らの楯とした訳です。彼の悪名高いダッハウ、ユダヤ人強制収容所ですけれど、激戦の末、此処を解放したのは、アメリカ国籍の日本人、日系部隊なんですよ。

さて、日本陸軍も、教化隊という名称の、同様の部隊がありました。脱走兵、反抗的な軍人、思想犯などを集め、部隊を造り、最前線に送っていたんです。世の東西を問わず、考える事は何処も同じなんですねえ。事実は小説より奇なり、此の部隊に送られる寸前だった、或る有名人が居るんです。其の名は三船敏郎、謂わずと知れた、日本映画界が産んだ、最大のスターであります。さて、三船さん、中々の名家の生まれなんですが、父君が青雲の志止みがたかったのでしょう、生まれ故郷の秋田を棄て、中国は大連で貿易商を営みます。其処で三船さんが生まれたんですね。さて、貿易商の傍ら、父君は好きだった写真館をも開きまして、三船少年は幼い頃から、カメラと共に育ちます。当時は兵役がありますから、三船少年は陸軍に入隊したんですが、元来がやんちゃであり、裕福な家の生まれであり、おまけに野性味溢れる二枚目ですから、上官から憎まれ、顔の形が変わる程の、連日連夜の暴力を受け続けたとか。理不尽な行いに納得出来ず反抗し続けた三船さん、「あんな言う事を聞かない奴は、犯罪者部隊に送れ」という寸前だった様です。ところが、実家の生業だった写真撮影の技術が、三船さんを救いました。偵察機に乗り、敵地の陣地の航空写真を撮る任務を任されるんですね。九死に一生を得た訳ですが、もし三船さんがカメラが好きでは無かったら、スーサイド・スクワット送りは必至の状況でした。となると、「七人の侍」から「用心棒」から「「赤ひげ」から、世界の映画史に燦然と輝く名作群は、生まれていなかった訳です。将に、人間万事塞翁が馬でありましょう。

駄作の映画から、世界のミフネへと話が飛んで恐縮です。明日はまたまた祝日ですし、僕、久方振りに親友のMさんと一献傾ける予定なんですが、其の前に、昨日の口直しとして、ビートルズの新作映画、「エイト・デイズ・ア・ウィーク ザ・トゥアリング・イヤーズ」に行こうかなあ!?其れでは皆様、素敵な祝日をお過ごし下さいね!
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