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☥ 項羽と劉邦 ☥

其れにしても毎日暑いですねえ…。今日の大分は、午後から雷雨と猛暑の由でして、月影の ふところにさす 浴衣かな、此れぐらい風流を楽しむ余裕があれば、炎暑をやり過ごす事も可能でしょうねえ。縁台に打ち水に風鈴、甚平に団扇に行水、ここら辺が夏の風物詩なんでしょうが、今ではマンションに居てエアコンを入れるのが関の山、これじゃあ粋じゃありませんよね。昔の日本人は、風鈴の音色で涼を感じていた訳で、道理で縄文の昔から、土鈴があったんですもんね。もっと羨ましいのは古代の冷蔵庫、氷室でしょうか。冬場に出来た天然の氷を、洞窟に穴を掘って保存しておくんですが、此れが氷室でありまして、炎天下でも保冷出来ていたとか。平安期からあったそうでして、当時の天皇家は、盛夏の頃、正倉院の天下の宝物を愛でながら、山海の珍味を揃え、日本酒のオン・ザ・ロックを飲んでいたんじゃないかしら。何だか羨ましいぞ!

閑話休題、其の暑さの苛々が伝染した訳じゃないんでしょうが、皆様、昨日のアメリカ共和党の党大会の模様、ご覧になりました?とうとうトランプが共和党の大統領候補として正式に認められたんですが、其の会場は大混乱でありました。トランプ反対派は、大声を上げ垂れ幕を持って猛烈な抗議をする始末ですし、退席する議員も多く出た上、党の重鎮である元大統領ブッシュ親子は欠席でしょ。おまけに参加者は白人ばかりでありまして、ヒスパニックや黒人の姿は殆ど見られませんでした。本当に僕、憂慮しているのですけれど、米国内の過激団体--異人種間の対立を煽り、暴力を肯定し賛美する組織です--は増加する一方だとか。黒人達が造ったのが新ブラック・パンサー党、そして悪名高い白人至上主義のKKK、此の2つが代表格ですけれど、同様の団体が年年歳歳増殖するばかりでして、米国内には何と900近くもあるそうです。謂わずと知れた、銃の所持を認められるアメリカで、こんな危険な連中が徘徊している訳で、こりゃあもう、何時内戦になってもおかしくありませんよね。そしてね、来週の月曜日、25日に、アメリカ民主党の党大会が開かれ、其処でヒラリーが大統領候補として正式に選出されます。現在の世論調査では、僅差でヒラリー優位だそうですが、僕、此れ、ひっくり返ると思うんです。と言いますのも、党大会の前日の24日に、「クリントン・キャッシュ」というドキュメンタリー映画が全米で公開されるんですね。此の映画、どういう内容かと申しますと、クリントン夫妻が、多くの海外企業から、如何に不正に献金を受けて来たかというお話でして、此の違法行為はどうやら事実であり、原作は既に全米でベストセラー、こりゃ幾ら何でも旗色が悪過ぎます。となるとですよ、ヒラリーの評判は地に堕ち、まさかまさかのトランプ大統領の誕生です…。こんな排他的な差別主義者が、アメリカを支配するとしたら、本当に内戦勃発かもしれません。

でもね、日本だって人様の事は言えないんですよ。大手メディアは一切報道しませんけれど、海外の主要紙は皆、日本の右傾化を危惧し、ファナティックなファシズムの国に成りつつあるのではと、懐疑の目を向けています。安部政権に対し、例えばイギリスのエコノミスト紙は、「過激な国家主義者の政権である」と非難しています。アメリカのワシントン・ポスト、ニューヨーク・タイムズ、ウォール・ストリート・ジャーナル。豪州のABCニュース。イギリスのガーディアンにロイター。フランスのオブス。ドイツの南ドイツ新聞。皆、同様の論調でして、海外から見れば我が国は、恰も中国と同じ様に捉えられている訳です。此れが国際基準であるという事は、知っておいた方が良い、僕、そう思うなァ。

さて、此の排他的なナショナリズム、今や世界的な傾向なのですけれど、此れは本当に良くありませんや。大体ね、歴史書を紐解けば直ぐに分かる事でして、天下を治める様な組織は何れも、異分子に対して寛容ですよ。先ずは我が国の織田信長公です。信長公の下には、多くの武将が馳せ参じました。其の中で軍団長にまで出世したのは、柴田・丹羽・羽柴・明智・滝川の5人です。柴田、丹羽の両名は譜代の臣、信長公が幼い頃から仕えて来た人達ですよね。でも羽柴、後の豊臣秀吉公ですが、元々は素性が分からない浮浪児でしょ。明智も流れ者の浪人であり、滝川もどういう出かは良く分からず、忍者の一族では、と言われています。信長公が如何に出自や前歴に拘らなかったが良く分かりますが、家臣には、公家やクリスチャンや盗賊、海賊に坊主に黒人まで居た訳で、国を治めるって、其の多様性を活かす事に尽きると思います。

古代ローマもそうですよね。ローマの素晴らしさは、他国を占領した際に、決して敵国民として扱わないんです。皆がローマ帝国の仲間ですよ~♡、という訳でして、民族も宗教も慣習も、全て受け入れちゃうんです。一応、属州と言いまして、植民地の様な扱いなのですがしっかりとした自治権があり、一定の基準を満たせば、誰でもローマ市民になれるシステムです。奴隷になったとしても、ちゃんと給与も出ますし、何年か働けば市民になれます。中近東にアフリカに地中海に欧州全域、そしてイギリスまでの広大な地域がローマ帝国だった訳で、肌や髪の毛や目の色が異なっていても、皆がローマ人であります。よって、歴代皇帝をざっと見てみますと、ペリティナクスは奴隷出身、マクリヌスやセウェウルスは植民地であるアフリカ生まれ、ヘリオガバルスは中近東、トラクスはドイツ系、ガレリウスはポーランド系、デキウスは東欧、ゴティクスに至っては、何処で生まれたかすら分かりません。其れでも皇帝になれるという、活気があり、多様性を認める社会だったのが、古代ローマ帝国でした。

最も端的な例が、司馬遷の書いた史記の世界でしょう。古代中国を史上初めて統一したのが秦の始皇帝、ですが彼は短命で、直ぐに亡くなりました。当然群雄割拠となり、世は乱れに乱れます。勝ち抜きトーナメント戦の様な状態を経て、残ったのは2人、楚の国の項羽と、漢の国の劉邦でした。此れ、元々は項羽が圧倒的に優勢だったんです。年は若く、貴族の出身であり、体力知力容姿に恵まれ、有力な家臣が多く、戦は百戦百勝、一時期は中国の大部分を手中に収めました。対する劉邦は、農家の生まれの流れ者、頼りになる家臣はおらず、門閥なぞ無く、年は老い、項羽と戦えば逃げるばかりでした。其れでも、最終決戦となった垓下の戦いで、初めての大勝利を得て、項羽を滅ぼし、中国を統一したんですね。どう考えても、劉邦には勝ち目はありませんでした。では何故勝てたのか?答えは簡単、百両の馬にも難がありまして、項羽には大きな欠点があったんです。其れは、部下を大事にせず非常に排他的でして、他国出身者を嫌い、自分の親族ばかりを依怙贔屓していた事でした。対する劉邦は、自分には何の力も無い、ならば、賢者や勇者の力を借りねばならぬと、どんな経歴の人でも、能力とやる気さえあれば、大抜擢しました。

劉邦の重臣達を見てみましょう。兵糧や輸送を担当した簫何は、元々は市役所の戸籍係です。曹参は刑務所の看守、慮綰は幼馴染、両人がゲリラ戦を担当しました。夏候嬰は県の馬車の従者であり、ボディーガードを務めます。常に先陣を担った周勃は葬儀屋さん。大軍師の張良と陳平は他国人。大将軍の韓信、鯨布は、元々は敵軍に居ました。後方攪乱のエキスパート、彭越は漁師さん。優れた外交官の酈其食--れきいき、と読みます--は、極貧の村の門番でした。

如何でしょうか!?意見が合わないからと、直ぐに排他的になる様では、国や組織は決して伸びません。自分と異なる感覚や感性の持ち主を、如何に受け入れ認めるか、其れが発展するか否かの分かれ目、僕、そう思えてなりませんねえ。アメリカも日本も、もう少し余裕を持ち、マイノリティの意見に耳を傾けねば、おかしな方向に行きますよ~。
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