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❁ 鬼龍院花子の生涯 ❀

若草や 人の来ぬ野の 深みどり、猫逃げて 梅ゆすりけり 朧月、世の中は 三日見ぬ間に 桜かな、時は既に啓蟄を過ぎ、そろそろお彼岸でありまして、随分暖かくなりましたねえ。春眠暁を覚えず処々鳴く鳥を聞く、とは将に其の通り、僕、最近、眠くて眠くて…。故桂枝雀、関西の爆笑王と謂われた偉大な噺家でしたが、「師匠、ご趣味は」と問われ、「そうでんな。趣味と聞かれて、人様に言える程の事はありまへん。ただ、布団の中で、な~んもせんと、うつら~うつら~するのが趣味でしょうか。」ですって。師匠、流石です!全くの同感ですし、特に今の季節、僕、毎朝そうしたいですよ~。

しかしねえ、垂乳根の千早振る草枕、拙ブログの枕言葉は自民党の悪口ばかりで、我ながら嫌になるんですが、こうも連日ニュースが出ますと、取り上げざるを得ません。新潟一区選出の石崎徹議員、二股交際を繰り返した挙句、自分の秘書には連日連夜のセクハラ三昧なんですって。其の秘書さん、可哀相に1か月で辞めてしまったとか。おまけに、自分の選挙区の若い女性に声をかけまくるそうでして、此の人、殆ど病気でしょう。去勢した方が良いんじゃないかしら。甘利元大臣は利益斡旋を追求されている真っ最中に、睡眠障害と称して休養に入りましたけれど、未だ時間が掛かるそうで、もう2か月お休みされるとか。国会議員はお気楽な仕事ですねえ、其の間も給与はしっかり出るんでしょ。イクメンと称しながら浮気三昧。ゲイ売春。未公開株を支持者に売りつける。暴力行為の連発。自分の秘書が謎の不審死。告訴される寸前に証拠のパソコンをドリルで破壊。まともに国会答弁に応えられない。下着泥棒。これらは全て、別々の自民党議員の所業であります。よくまァ此の国は動いていると、何だか不思議な気持ちになりますよね。政治家は三流でも、官僚が一流だから日本は大丈夫だと、かって良く言われていました。でもね、其れも眉唾でありまして、僕、今朝、干物と納豆と海苔とおみおつけの朝食を摂りながら、NHKを見ていたんですよ。アメリカ大統領選のニュースでして、何だかトランプが勝ちそうな勢いじゃないですか。ヒラリーのライバルであるサンダースの支持者は、トランプを応援している人が殆どだそうで、こうなりますと、暴言王がアメリカ大統領ですよ!?「其の状況を踏まえ、外務省はトランプ氏の情報収集に乗り出しました。」ですって。あのねえ、幾ら何でも余りに too late、遅過ぎませんか!?外務省と謂えば外交のプロフェッショナルでしょ。僕、アメリカは大嫌いですけれど、衰えたりと謂えど、世界一の強国である事は間違いありません。其の大統領候補の面々、確か民主・共和併せて10数人の候補者が居ましたよね。苟も外交のプロならば、其の10数人については、大統領選の前に詳細な情報を集め、其れが既にファイリングされているぐらいじゃないと駄目でしょうに。そしてね、複数のパイプやコネクションを造り、誰が大統領になっても直ぐに話が出来る様にお膳立てしておく、其れが外交官の役割じゃないのかなあ。ホント、上記の男どもの無能ぶりには、ほとほと愛想が尽きる思いがしますし、●玉付いてんのか、と聞きたくなりますよ。は~、情けない…。目の上にずうっと水滴を垂らして、眠らせない様にしてやろうかしらん。

男は本当に情けない、つくづくそう思えてなりません。昨日のフランスAFP通信のニュースに、91歳の女性が、博士号を取得したという記事がありました。「20世紀後半におけるブザンソン市の移民労働者」という論文を書き、口頭試問にも見事パス、フランス史上最高齢の博士が誕生した訳です。此れ、タイトルを見る限り、社会学系統の論文でしょう。僕、大学院の修士の時に、2本論文を書き、共に雑誌に載せて貰いましたけれど、文系の論文って、かなり大変なんですよね。大体100頁は書く必要がありますし、其れに伴って、必要な文献--僕の場合は100冊程度でしたが--は全て目を通さねばなりません。1本書くのに、其れだけに集中して、半年は優にかかった記憶があります。ですから、91歳のお祖母ちゃん、其の向学心は本当に凄い事ですし、起立して拍手を贈りたいと思います。それにしてもね、上には上が居まして、此れは去年の話ですが、先のフランスの隣国ドイツでは、102歳の小児科の女医さんが、博士号をお取りになりました。博士号取得前に、ナチス・ドイツの迫害に合い、試験を受けられなかったそうなんです。月日は流れ幾星霜、80年後に再試験の運びとなり、見事に合格したってんですから、こんな目出度い事はありません。少年老い易く学成り難しという諺、訂正の必要があるかもしれませんね。

昨日、貧弱とは雖も、自分のオフィスや私室の書庫を見ていましたら、句集や小説が出て来ました。何れも女流の方でして、恐らく亡母の形見でしょう。湯の中に 乳房愛しく 秋の夜、体内に きみが血流る 正座に耐ふ、此処にまた 浮気男と 蘭の花、肉感に 浸りひたるや 熟れ石榴、甘へるより ほかにすべなし 夾竹桃、黒人と 踊る手先や さくら散る、花の夜や 異国の兵と 指睦び、雪こんこん 死びとの如き 男の手、いや~、此れを詠んだのは、鈴木しづ子さんという、昭和20年代の伝説の俳人ですが、此の感性、此の生々しさ、吃驚ですよね。もっときわどい物もあるのですけれど、男性には決して詠めない句でありましょう。

そしてね、此れは偶然なんですが、先週末、宮尾登美子さんの小説を久方振りに購入、其れからずっと読んでいたんですよ。そうしましたら、亡母も随分と好きだった様で、上記の書庫の奥から、「寒椿」「序の舞」「一絃の琴」「天璋院篤姫」等々、数冊出て来たんですよ。此の本が人の手に触れるのは、恐らく数十年ぶりでしょう。其れを手に取ったのは、死んだ母の年を超えた僕でありまして、深い感慨に耽り、感傷に浸りました。

さて、今読んでいますのは、宮尾先生の代表作である「陽暉楼」でありまして、僕、本当に吃驚したんです。物語は昭和の初め、舞台は高知一の料亭、其処で働く芸者衆のお話なんですね。冒頭、其の芸者さんの新年の1日の描写から、此の小説は始まるのですけれど、宮尾先生の文章力には、卓越したものがありました。濃密で繊細で嫋やか、丁寧で静謐で格調高く、もう何とも言えない味わいでして、僕、すっかり、昭和初期の高知の大料亭に居続けしている気持ちになりましたもん。だってね、芸者さんの1日の描写で50頁は費やしていまして、主人公のモノローグも入りながら、物語は行きつ戻りつし、オム・ファタール、運命の男性への出会いへと進んで行くんですね。

その音に重なって、房子の手足が今ひとりでになぞっているのは、去年の会のとりに舞った清元の「保名」で、長い置き浄瑠璃のあと、素襖袴を引いて花道の七三に走り出たときのもの狂いの振りが思うようにつかないのを、しきりと歯痒がっているのであった。~中略~あのとき、保名の形は出来ていたかもしれないが、ひとり省みて、しんから恋のもの狂いになり切れなかった残念は、日頃廻りの人から思慮深さを褒められ、口の堅さを信頼されている房子の気質への深い関わりとなって思われて来る。浅い夢の中で、私じゃとて女子じゃもの、乱れぬ事が何のあろうかと反撥している自分があり、地の節の、姿はいつか乱れ髪、の虚けた様を、ここで身も心も思い切って放つ、思い切って放つ、と躰を励ましているのであった。

いやァ、こんな文章、書けといわれて書けるもんじゃありません。デモーニッシュ、何かに取り憑かれたかの様な、どうしても此の小説を書く、という息せき切った情熱が、ひしひしと伝わって来る気がしませんか?

宮尾先生は、大正の終わりに高知に生を受け、やはり大きな置屋に生を受けた方です。若くして両親を亡くし、大病を何度も患い、満州からの引き揚げで九死に一生を得、教師に保母に農家と様々な職を経て、作家として大輪の花を咲かせるのです。40前の遅咲きでデビューでしたが、50を過ぎての直木賞を皮切りに、太宰治賞吉川英治賞文化勲章に菊池寛賞、紫綬褒章と殆どの文学賞を総なめでありました。一貫して、女性の性愛と自立を書かれた大作家でありましょう。齢60を過ぎて、クレオパトラの生涯を書く為に、単身エジプトに取材に行き、ベストセラーの傑作を生むんですもんねえ。84歳で書いた「錦」でも文学賞を受賞、いやはや何とも、素晴らしい生命力と思います。

先の自民党の懲りない面々、剃髪の上、斎戒沐浴して、仏独の女性博士や、宮尾登美子先生の真摯な努力を見習いなさ~い!!
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