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一瞬の夏

品性や感受性に欠けた人って、本当に罪だと思います。世の所業は全て他人事、自分とその家族のみが可愛く、人の苦しみには見て見ぬふり気付かないふり、己の得には敏感ですが、妬み嫉み僻みばかりが得意技、そしてトラブルには知らぬ存ぜぬ、挙句の果てには問題が起きてからじゃないと対応しないなんて、そりゃあ処世術としては有効なのかもしれませんが、僕、唾棄したいし軽蔑したい、詰まらん輩です。こんなのにはとても頼れませんし、本当に小さい野郎だねえ。♪ オイ、馬鹿な神よ お前は現実では生きてないのさ ♪、そう泉谷しげるが唄っていましたが、こういう詰まらん人は、水島新司先生の野球漫画、「一球さん」でも読めば良いのに。この「一球さん」、野球漫画には珍しく、ベースボールがメイン・テーマじゃないんですよ。野球よりも大事な物、それは人間性であり、人間関係である、という漫画なんですね。主人公の一球さんが属するのは巨人学園という高校でありまして、これでは読売ジャイアンツを嫌でも想起しますけれど然に非ず、巨きな人を造る学校なんですよ。依って、野球の勝利よりも大事な事は沢山あり、豊かな感受性と人間性を育むべきで、それが巨人学園の役割である、というお話なんですね。

その高校野球も今日がいよいよ準決勝ですか。お空の様子は心配ですけれど、早稲田実業-仙台育英、関東一-東海大相模、こりゃ野球ファンならゾクゾクする様な、屈指の好カードでありましょう。早稲田にはアメージング・ルーキーの清宮君に、抜群のキャプテンシーと豪打の加藤君、仙台育英には今大会ナンバー・ワンのショート・ストップの平沢君、フォーク・ボールの切れが抜群の好投手佐藤君がいます。関東一高には、ナイジェリア人の父君を持つ、卓抜した運動神経の飛び抜けた超快速外野手、ハーフのオコエ君がいます。僕、以前の拙ブログで優勝候補筆頭と書きましたのが東海大相模、ここは大会ナンバー・ワン・サウスポーの小笠原君--恐らく、我が愛する阪神タイガースの左腕の誰よりも、球が速いです…。--と、エースの右腕吉田君の両雄が居ますし、控えの2年生投手も145㌔を投げるってんですから、プロ顔負けの豪華な陣営と言えましょう。さて、とは言え、今大会最大の注目は、やはり何と言っても1年生で早稲田の3番を打つ大器、清宮君でしょうねえ。

その清宮君、少し身体が重い気がしますし、松井・清原・中田の下級生当時を思い出せば、迫力・凄味・筋力という点では劣るでしょう。長距離打者と言うよりもスプレー・ヒッター、身体の軸がぶれませんから、アベレージを残すタイプの様に感じます。それなのに、今大会で2本の見事な本塁打に打点8、いやはや何とも、脱帽でありましょう。おまけにお父さんがラグビー元日本代表で日本一に輝いた監督さんであり、弟さんもリトル・リーグ日本一でしょ。そのスター性も相まって、僕、素直に凄い男だなあと感動しています。ところがね、ネガティブ・キャンペーンと言いますか、此処に来て、清宮君を貶し貶める様な記事が多く見られるんですよね…。曰く、「もう伸びしろが無い」「打ち方が悪い」「守備が下手」「今大会では打てない」「ビッグマウスだ」、悪評紛々であります。でもね、未だ弱冠16歳、つい数か月前まで中学生ですよ。その子供が、日本中の注目を浴びてホームランをかっ飛ばし、毎日早朝から5万近い大観衆を集めているんですよ。とんでもない大器であり、麒麟児であり、伏龍鳳雛じゃありませんか。この16歳を、大の大人がよったかって悪口雑言を浴びせるだなんて、シェイム・オン・ユー、恥を知って欲しいですよ。じゃあテメエらが16歳の時、どうだったのかと問えば、どうせ田舎出身の、冴えないあか抜けないモテない、汚いニキビ面の高校生でしょ。清宮君への悪口なんて、冒頭に紹介した詰まらん連中同様、そりゃ薄汚いジェラシーですよ。負けるな清宮君、僕は応援しているし、今日も特大のホームランをかっ飛ばして、馬鹿な大人を黙らせてやれ!

閑話休題、そういう記事を書くのが所謂スポーツ・ライターですけれど、これまた玉石混合でありまして、先のジェラシー丸出しの阿呆連中も居れば、素敵な大人も居るんです。という訳で、今日は僕の敬愛するスポーツ・ライター、日本の三銃士のお話を。

先ず、世界的に有名なスポーツ・ノンフィクション・ライターと言えば、やはりアメリカのノーマン・メイラーでしょうか。彼は、「ザ・ファイト」という、モハメド・アリVSジョージ・フォアマンの世紀の一戦を描き、一躍有名になりました。けれど僕、これは読みましたが、それ程では無かったんですよね~。ボクシングというよりも、それを借りて自分を語っている気がしまして、僕、これなら、日本人ライターの方が余程上じゃん、と感じました。

さてさて、ボクシングとノンフィクション・ライターは余程相性が良いのか、親和性があるのか、優れた作品が多く存在しています。先ずは、故人となりましたが、佐瀬稔先生です。彼は、元報知新聞の記者から独立、犯罪ノンフィクションで名を揚げたんですが、ボクシング関連の本も多いんですね。特に、「彼らの誇りと勇気について」「破れてもなお」、この両著は名著と思います。特に、辰吉選手について触れたものは白眉でありまして、この誤解されがちな天才ボクサーの豊かな感受性や、他者を思いやる優しさに触れた一節は、涙無くして読めません。だってね、辰吉選手が、「ボクサーに彼女が居たら悪いんでしょうか。ジムの全員から反対されるんです。」と佐瀬先生に訊いた時、「何が悪いんだい。ボクサーだって闘う機械じゃない、一人の青年じゃないか。愛する人がいるなんて素晴らしい事だ。」と答えたんですね。そうしますと、辰吉選手が嬉しそうに照れ笑いをして、強く肩をぶつけて来ただなんて、年齢を超え、本当に理解しあえる男同士の絆を感じ、とっても素敵でした。

お次は、これはビッグ・ネームですが、沢木耕太郎先生でしょうか。アット・ヒズ・ベストと言えばやはり、「一瞬の夏」でしょうねえ。これ、カシアス内藤というミドル級の優れたボクサーを、沢木先生がマネージメントするお話なんですね。これまた男同士の友情でして、沢木先生は私費を投じて内藤選手をバック・アップ、先ずは東洋太平洋チャンピオンを目指し、そして世界タイトルを…、というお話なんです。結末は未読の方の為に書きませんけれど、現在の内藤選手は、沢木先生の援助もありボクシングジムを開設したんですね。内藤選手の息子さんもボクサーとなり、現在は無敗の日本フェザー級チャンピオンでありまして、今後どうなるか、本当に楽しみですし、彼の試合のリング・サイド席には、沢木先生がきっと居る事でしょう。そうそう、炎のチャンピオンと謳われた、輪島功一選手を沢木先生が描いた物がありまして、文春文庫の「王の闇」という本なんですが、その中に、「コホーネス 肝っ玉」という一節がありまして、これは必読、素晴らしい作品と思います。

最後は、後藤正治先生です。後藤先生は、人間に興味があるんだなあ、と痛感するんですが、画家、棋士、ドクター、新聞記者、女流詩人、体操選手、ラガーマン、野球選手、と取り上げる範囲が非常に多岐に渡っているんですよね。また、登場する人物が非常に僕の好みに合うので、後藤先生の新刊が出た際には、必ず目を通しています。さて、後藤先生がボクシングについて書かれたのは、「遠いリング」「リターンマッチ」「噛ませ犬」の諸作品です。この作品群、大阪の名門、グリーン・ツダジムに何年間も通い、コツコツと書かれた物なんですね。当時、二階級制覇の世界チャンピオン、井岡選手がツダジムに居まして、勿論彼の事も一章を割いてきちんと書いているんですが、後藤先生の目は、素質に恵まれない中堅ボクサーや、日の当たらないベテランへと向いて行きます。結果、ジムに所属する殆どのボクサーについて触れる、という大変長い作品になったのですが、人と人との繋がり、本当の意味での優しさを強く感じる、素敵な一冊でした。

この偉大なスポーツ・ライターの三銃士の先生以外にも、藤島大、関川夏夫、故山際淳司、原功、故山本茂、林壮一、小林深緑郎、優れた先生方は沢山いらっしゃいます。来週は僕、久方振りの東京出張ですし、八重洲ブックセンターか、渋谷のジュンク堂、新宿紀伊国屋、或いは神田神保町で、これらの諸先生方の本を沢山買って来ようっと!
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