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守ろうとすると後ろ向きになる。守る為にも攻めなければならない。

私事で恐縮なんですが、我が愛犬が昨日より体調を崩しまして嘔吐の連続、彼女ももう13歳ですから、流石に年かなあ、と悲しんでいたんです。獣医さんにお聞きしましたら、どうやらエアコンの所為だそうで、熱中症になると思い、つけっ放しだったのが拙かったんですね。冷気が下に溜まってしまい、犬には宜しく無い由、常に扇風機をかけて空気を攪拌しないといけないんですって。犬にはとても済まない事をしました。拙ブログの読者の皆様方にも、きっと愛犬家や愛猫家がいらっしゃるでしょうから、どうぞお気を付け下さいませ。今朝の彼女は随分体調が戻りまして、すっかり元気になったのは良かったんですが、早暁の街中を、1時間半の散歩には、僕が参ってしまいまして、すっかり疲れ果てています…。でもね、獣医さんが言われるには、「犬の夏バテには、馬のレバーを食べさせてあげて下さい」って、先生、それ、何処に行ったら売ってますか!?それは確かに人にも良さそうですが、仕方がありませんから、近々、鳥のレバーでも煮てあげる事にしましょう。

さて、この時期になりますと、お経を聞く機会が多いものです。僕、昨日は仏事がありまして、神妙にお坊さんの唱えるお経を聞いておりました。何故か大分は浄土真宗が多く、不信心な僕も、お経の一部は覚えています。と、その中で、「迦陵頻伽」、という言葉が出て来たんですね。これ、かりょうびんが、と読むんですが、仏典に出て来るんですが、極楽浄土に棲む伝説の鳥なんですね。勿論、架空の鳥でありまして、上半身が人、下半身が鳥なんですが、こういう半人半獣の生き物って、世界中の逸話の中に居るんですよ。欧州全域で言い伝えられる人魚、ギリシャ神話のケンタウロスにミノタウロス、ケルト神話のドラゴンメイド、インドのガネーシャ等々、枚挙に暇がありません。面白いのは、インドの伝承に出て来ますガンダルヴァでありまして、これは人様の形をしているんですが、頭には角、背中には羽が生えておりまして、大変な女性好きな神様の由、帝釈天の家来であります。でもね、この手の半人半獣、シャーマニズムやアニミズムといった、古代の宗教から来た事はほぼ間違い無く、そして、極めて人間臭いんですよね。先の女好きの神様のガンダルヴァにしたって、そりゃ、その村々に、単なる助平親父が居ただけじゃないのかなあ。僕、さっきスポーツ新聞を読んでいて笑ったのが、「つぐない」「時の流れに身をまかせ」でメガ・ヒットを飛ばし紫綬褒章受章の、作詞家の荒木とよひさ先生です。70歳を過ぎて、何故か京都に単身で在住、連日連夜、お茶屋さんで舞妓はんや芸妓衆や女将さん達と放蕩三昧、とうとう3度目の奥様と離婚だそうで、これこそ、リアル・ガンダルヴァですよね!?おまけに、ついこの間リリースされた荒木先生の新譜、そのタイトルが、「70歳はセブンティーン」ですって…。どんだけ若い積もりですか!?まァ、うちの親父も酷いもんでしたが…。

話を迦陵頻伽に戻しましょう。この架空の鳥は、非常に美しい妙なる声で鳴くそうでして、僕はスピリチャルな話は一切信じないんですが、それを聞いた事がある人が居たんですよ。それは、将棋の米長邦雄名人であります。さて、米長先生は、「世界一将棋の強い男」と持て囃されたんですが、唯一、名人のタイトルだけは獲った事がありませんでした。15年間で6回挑戦するも1度も勝てず、米長先生は、唐招提寺に参拝に出掛けます。唐招提寺とは、中国の鑑真和尚が祀られているお寺なんですね。鑑真和尚は、仏教を日本に広めようと海を渡る事5回、全て失敗し遭難されたんですが、失明するも6度目に漸く来日し、この唐招提寺で10年間、仏の道を講義したという、伝説の高僧です。米長先生が、ご自身の運命を鑑真和尚に託したのかどうかは分かりませんけれど、御堂で端座する事暫し、すると美しい鳥の音が頻りに聞こえたそうなんです。勿論、米長先生は、迦陵頻伽の事なぞ何も知らなかったそうですが、不思議な事ってあるものですよね。鳥のお告げという訳でも無いんでしょうが、どうしても取れなかった名人位、それを4連勝で奪取に成功します。

米長先生にとって、我が世の春の気分だったでしょうが、翌年の挑戦者は、何と羽生さんでありまして、名人位を1年で明け渡す事になるんですね。それ以来、羽生さんは、20年以上に渡り、ありとあらゆるタイトルを取り続けます。ついこの間、45歳の羽生さんの持つタイトルに、25歳の俊英豊島七段が挑戦しました。ところが、羽生さんの3勝1敗、完勝に終わりまして、恐らく、もう彼の持つ記録を抜く棋士は、今後決して現れないだろう、それ程の圧倒的な強さを誇っています。謂わば、絶対的な強者であり、難攻不落のチャンプでありまして、そうですねえ、僕の大好きなボクシングで言えば、メキシコの英雄フリオ・セサール・チャベスの若い頃、或いはマーヴェラス・マービン・ハグラーの全盛期、それぐらいの強さの羽生さんなんですが、今日は僕から見た、彼の凄味を分析してみましょう。あ、尤も、僕はアマチュアの将棋3段に過ぎませんし、最近はちっとも指す機会がありませんから、随分弱くなっているとは思いますが、そこはご勘弁下さいね。

さて、羽生さんと雖も人の子でありまして、勿論、負けてタイトルを取られた事も何度もあります。瞬間的とは言え、羽生さんに、タイトル戦で勝った事のある代表的な棋士は、谷川・森内・佐藤・藤井の各氏であります。非常に興味深いのは、皆さん、夫々の個性で羽生さんに挑んでいるんですね。谷川17世名人は、光速流と呼ばれ、敵の王様を仕留めるそのスピードは棋界随一、その武器で羽生さんを倒しました。初太刀で相手を倒し、相打ちも辞さない薩摩の古剣法、示現流の感があります。森内先生は、相撲ならば横綱と言いましょうか、敵の廻しを取ったら腰を落として盤石の構えでありまして、まるで全盛期の貴乃花、兎に角負けにくい鉄壁の守りで勝負しました。佐藤先生は、誰にも真似出来ない、見た事の無い独創的な将棋でありまして、皆が知っている定跡を外し、力で勝負しようぜという、謂わば何でもありのストリート・ファイト、喧嘩殺法の趣があります。藤井先生は、たった独りで、「藤井システム」という新作戦を造り上げました。この藤井システム、従来からあった作戦を理詰めで突き詰め、全ての無駄を省き、相手の王様に迫るという考え方でして、非常にロジカルなんですね。新しき酒は新しい革袋に盛れと申しますか、今まであった柔道では無く、国際的なJUDOに変わったかの様なアプローチで、見事羽生さんを破りました。皆さん、夫々の長所を生かし、羽生さんを倒した訳です。

ところが、羽生さんに同じ手は通用しないんですよ。相手の長所すら飲み込んでしまうと言いますか、谷川先生の速度、森内先生の鉄壁の守り、佐藤先生の独創性、藤井先生のロジカルなアプローチ、強敵と対戦する間に、それらのエッセンスを、全て羽生さんが吸収しきった感があります。羽生さんはそれに加え、苦手な作戦なぞ全くありません。幾ら高段者とは言え、皆さん、こういう形は不得手とかがあるんですけどね。そして、極めて難しい局面で、それを益々複雑化する様な、相手を混乱させる勝負術があるんですよ。ううん、無敵だなあ…。

僕、羽生さんの最大の長所、それは決して逃げない事と思います。相手もプロな訳で、羽生さんに挑戦するまでにトーナメントを勝ち上がっているんですから、弱い筈が無いんです。勿論、相手なりの必殺技もある訳で、それでも羽生さんはあえて敵の得意戦法に飛び込むんですね。羽生さん曰く、「自分が成長する為に敢えて相手の得意技に挑む」そうなんですよ。第一人者にしてこの向上心、いや、頭が下がります。だってね、相手が悪手を指した時、普通ならば自分に勝機が増える訳ですから、喜ぶじゃないですか。ところが羽生さんは、「エッ、それじゃあ将棋が終わってしまう、もっと指したいし、あなたの得意戦法を教えて欲しいのに」、と非常に不機嫌になるってんですから、凄い男です。そして、先入観を決して持たず、素直に相手の強さを認め、教えて貰おう、という姿勢が見られるんですよ。決して相手を貶めず、常に「宜しくお願いします」というこの態度、実に素晴らしいと思います。何処かの原発を推進する大馬鹿総理には、羽生さんの爪の垢を煎じて飲んで欲しいです。また、実は羽生さん、将棋の海外普及の為に、独学で英語はペラペラ、チェス・プレイヤーとしても日本一でありまして、当分彼の牙城を揺るがす人は出そうに無いですね~。

話は変わるんですが、僕、今日の午後、若手職員達と面談の予定なんです。羽生さんの域に達して下さい、とまでは言いませんけれど、当院の未来は、彼らや彼女達のやる気に掛かっているんですから、自分自身の至らない処を見つめ直し、是非とも頑張って欲しいなァ…。
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