~~~ 海狼伝 ~~~

いやあ、本ブログを更新する時間が随分遅れてしまいまして、大変申し訳ございません。今日は朝から大事な会議がありまして、先程首尾良く終わった所です。議事進行の大役を務めたものですから、少々消耗気味ですが、午後からの仕事も頑張ろうと思います。

勧君金屈巵 満酌不須辞 花発多風雨 人生足別離、この杯を受けておくれ どうぞなみなみと注がせておくれ 花に嵐のたとえもあるさ サヨナラだけが人生だ、唐の詩人、干武陵の五言絶句「歓酒」、訳は文豪井伏鱒二であります。本当に秋風が吹く頃になりますと、野球ファンの僕は寂しくなっちゃうんですよ~。かって一世を風靡した名選手達も己の衰えを知り野球を断念する訳でして、阪神城島選手の引退は、諸行無常の響きありの感が否めません。長崎出身の日本を代表するキャッチャーである城島選手は、プロ野球選手になるべく、別府の高校に進学したんですね。僕、高校時代の城島選手のプレーをこの目でしかと見ていまして、その堂々たる体躯、強い意思を感じさせるその大きな瞳、そして抜群のキャプテンシー、優れた絵画と同様、離れていても直ぐに分かるオーラがありました。驚いたのは打球の飛距離です。バットが一閃すると、打球は場外に消えてしまう程でして、こりゃあプロは間違い無しの逸材だ、と思っていましたら、ダイエーホークスに入団後、数年の時を経て、あっと言う間に日本を代表する捕手となりました。課題だったリード面にキャッチング技術も向上、日本代表としてWBCで世界一となり、アメリカはメジャー・リーグでも、日本人初のレギュラー捕手となったのですから、怪童恐るべしでした。僕、長い間野球を見続けていますが、座ったまま二塁まで送球が出来たのは彼一人、盗塁阻止率はメジャー・リーグでもナンバー・ワンでした。ヤクルト古田、西武伊東、中日谷繁も確かに名捕手ですが、そこまでの筋力は無かった様に思います。阪神に入団してからの城島選手は満身創痍、怪我に泣かされ、満足にプレー出来たのは僅か1年間だけでしたが、本当にご苦労様でした。「肘が思う様に動かない。現状では4億円貰える選手では無い。」との事でして、これが詰まらない男なら、契約期間は未だ1年間残っている筈ですから、黙っていても給与は出る訳でして、この潔さは将に侍です。あなた程の男なら、第二の人生もきっと成功するでしょう、辞めてもずっと応援してますよ!

さてさて、今日は何を書こうかと些か迷っていたんですが、折角ですから、城島選手の出身地である長崎、その地に因みまして、僕の大好きな歴史小説家、佐世保出身の白石一郎先生のお話を。僕が敬愛し愛読し、枕頭の書とする歴史小説家と言えば、海音寺潮五郎先生を筆頭に、吉川英治、山岡荘八、池波正太郎に司馬遼太郎、子母澤寛、そして少々毛色が違いますが松本清張に船橋聖一、忘れちゃいけません森鴎外と、誠に多士済々、人材は沸き出る雲の如く、という感じなんですね。皆さん夫々特色があって大変面白いんですが、白石先生はその中でも珍しい小説家と思います。それは、日本人作家としては非常に珍しく、「海」をテーマにした題材が多いんですよ。

海洋小説と言えば欧米、特にイングランドの独壇場でありまして、ハヤカワ文庫に収められている、ボライソー・シリーズ、ジャック・オーブリー・シリーズ、トマス・キッド・シリーズ、ホーンブロワー・シリーズ、馴染みの無い方が多いでしょうが、これらはいずれも全世界で超ロング・セラーなんですよ。僕も若かりし頃は、将に巻を擱く能わず、血沸き肉躍ると言いますか、深更に及んでも読み耽ったものです。一言で言いますと、少年が厳しい大自然と戦いながら、仲間に恵まれ、幾多の試練を乗り越え成長して行く、まあ一種のビルディングス・ロマン、教養小説の一種と言いましょうか。平成の今で言うならば、累計2億7000万部突破のメガ・ヒット漫画「ONE PIECE」の原型ですね。

日本は四方を海に囲まれている国ですけれど、何故か海洋小説の書き手は殆どいないんですよね。江戸時代における長い長い鎖国が強い精神的影響を及ぼし、かってのベストセラー「縮み志向の日本人」じゃありませんが、小さくまとまってしまったのかもしれず、こうなりますと当院の先生方のご意見、或いは岸田秀先生のお話を拝聴した方が良さそうですが、いずれにしても数が少ない事は確かです。

さて、前置きが長いのが本ブログの特徴で、大変申し訳ございませんが、いよいよ白石先生の登場でありまして、そのバイオグラフィーは「サムライの海」「海狼伝」「海王伝」「戦鬼たちの海」「南海放浪記」「航海者」「海の夜明け」「水軍の城」、物の見事に海のオン・パレードです。また、文章が格調高く、スケールは大きく、男の世界を描いたものでして、歴史小説の大家である海音寺潮五郎先生がデビュー作を絶賛したのも大いに頷けます。その文章は皆さんがお読みになって、是非ご確認頂きたいですね。

最もお薦めは「海狼伝」「海王伝」の直木賞受賞作でして、選考委員だった田辺聖子さんの評を引用します。「読み終えて私は確かに潮の匂いを嗅ぎ、海鳴りの音を聞き、波のしぶきが顔にあたるのを感じた。」でして、田辺さんも女流作家では希代のヒット・メーカーですから、プロの同業者からこれ程褒められるんですもん、その出来栄えが分かるというものです。そして、実際の船乗りが驚いた程の操船の描写、瀬戸内の島々の取材は20回を軽く超え、わざわざ台風の日を選んで玄界灘に面したホテルにチェック・イン、一昼夜に渡り荒れ狂う海を凝視していた、というんですから、プロの仕事ですねえ。

どうも僕、メジャーよりマイナーに惹かれる癖がありまして、白石先生の様に直木賞まで取りながら、いまいち恵まれて無い方にスポットを当てたくなるんですよ。今週末は台風襲来の由、たまには読書も良いもんですよ。それでは又来週お会いしましょう、ごきげんようさようなら!
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