新手一生

CIAO!という訳で皆様如何お過ごしですか?僕、何だか非常に慌ただしい一週間でして、それも今日で漸く一息つけそうでホッとしています。でも、こういう時って、季節の変わり目でもありますし、風邪を引いたり体調を崩したりしがちですから、気を付けなくちゃ。

昨日のニュースを見ていましたら、福島第一原発一号機ですか、毎時1万ミリシーベルトの放射能がまだ出ているとか。何でも人の致死量が7000ミリシーベルトだそうで、東電のコメントは「有効な対策は無い、人が現場に入れない」由で、これ、とんでもない話なんですが、テレビはそれを大きく取り上げる事も無く、淡々と10秒程流して終わり、消費税の話を延々やっていました。とっととコンクリートで覆いを作って封じ込めろよ!!放射能垂れ流しと消費税、どちらが大事な事なのか、赤子でも分かる事と思うんですが、僕がおかしいんでしょうか?本当に、菅から始まってドジョウまで、放射能を垂れ流し続け、有効な対策は何一つ打てず、この両名、江戸時代ならば、親族一同を含めて市中引き回しの上、打ち首獄門(さらし首です)は決定ですし、国民はもっともっと怒りの声を上げるべきと思います。

本当に嫌な話ばかりでほとほと疲れますから、今日は僕の敬愛する日本人の一人、将棋界の至宝、升田幸三名人のお話でもして憂さを晴らしましょう。

升田幸三?将棋に興味の無い方からの、ところで誰やねんそいつ、という声が聞こえてきそうですが、この人を評した有名な言葉がありまして、「将棋というゲームに寿命があるならば、その寿命を300年縮めた男」と呼ばれています。では、この升田先生の一代記、早速参りましょうか。

升田先生は大正生まれで広島出身、13歳で、日本一の将棋指しになる、と宣言、お母さんの物差しの裏に「この幸三、名人に香車を引いて勝つ」と墨痕鮮やかにしたため、家出しちゃうんですね。男児志を立てて郷関を出ず 学もし成らずんばまた還らず 骨を埋むるに何ぞ期せん墳墓の地 人間到るところ青山あり、幕末の僧侶、月性の漢詩そのままの世界でありまして、放浪と丁稚奉公を繰り返し、単身大阪に出て、プロの道へと進みます。順調に昇段を続け、名人間違い無しの大器と、衆目の一致するところでしたが、好事魔多し、太平洋戦争が勃発、長い間従軍する事となり、そこで大病を患ってしまうんですね。

運命とは皮肉で過酷なもの、復員した升田先生は勝ち続けますが、その前に立ちはだかったのは、かって手取り足取り将棋を指導した弟弟子の大山名人でした。升田先生は「将棋とは二人で造り上げる芸術である。序盤の一手から最後の着手まで、一筋の糸を引いた様に必然性がある。」という理想主義、大山名人は「人は必ず間違う。ミスの少ない方が将棋に勝つ。」という現実主義でして、この両雄は三十年の長きに渡って、死闘を繰り広げるのです。

升田先生の絶頂期は、大山名人を倒し、全てのタイトルを独占、そして、名人より駒が少ない状態で完勝を収めるという、少年時代からの夢を果たした時でしょう。そして、升田先生の渾名に、「名人に香車を引いた男」という冠が付けられる事となります。因みに、将棋界四百年の歴史で、この偉業を成し遂げたのは、升田先生只一人です。そして、何よりも凄いのは、「新手一生」の理想を高く掲げ、新たな定跡を幾つも造り上げた事でしょう。タコ金、ひねり飛車、駅馬車定跡、急戦矢倉、穴熊、棒銀、腰掛銀、左美濃、将棋の戦法の名称は分かりにくいと思いますが、これらは指された当時から半世紀を経て、今なお残っていまして、将棋界の若手達がそれをアレンジメントし実戦で指し、平成の今も升田先生の将棋は生き続けているのです。平成の将棋界を代表する二人の天才、谷川十七世名人と羽生十九世名人は、奇しくも全く同じ発言をしています。「一度で良いから升田先生に将棋を教わりたかった。」と。

升田先生の最後の輝きは、53歳で大山名人に挑戦した、名人戦でしょう。素人の将棋、と馬鹿にされていた石田流という作戦を改良、升田式石田流、という誰も見た事の無かった新戦法を引っさげて、大山名人をカド番まで追い込んだのです。最後はポカが出てしまい、名人位の大魚は逃げてしまいましたが、升田先生の棋譜は不滅の輝きを放ち続けています。亨年73歳、不世出の天才は平成に入り亡くなり、その後を追う様に、弟弟子の大山名人も死去、将に巨星墜つ、一つの時代は終わりを告げたのです。

最後の升田先生の語録を。

棋士は無くても良い商売だ、だからプロはファンにとって面白い将棋を指す義務がある。

大切なのは創造です。人真似を脱して新しいものを造り出すところに進歩が生まれる。

勝負は、その勝負の前についている。

僕は、不利だ、不可能だ、と言われるものに挑戦する。

(全てのタイトルを獲得して)辿り来て未だ山麓。

升田先生の偉業を書いているだけで、何だか元気が出て来ましたよ!それでは皆様、良い週末をお過ごし下さい!
スポンサーサイト